写真をきれいに印刷するためのプリンター、複合機を選ぶ4つのコツ

スマートフォンやカメラを使って写真撮影をする人は、写真を印刷できるプリンターや複合機選びに悩むこともあるかもしれません。画質がよく、きれいに印刷するためにはいくつかチェックしたい点があります。

本記事では、写真をきれいに印刷したいときのプリンターや複合機の選び方について解説します。

目次

プロ並みのクオリティを求めるかどうか

まずは、写真の印刷においてどのくらいのクオリティを求めるのかイメージしましょう。写真印刷向けのプリンターは2、3万円で買えるものもあれば、高価なものだと10万円近くにまでなります。予算内におさまる機種で、求めるイメージに近いものを選ぶことをおすすめします。

ただプロ並みのクオリティを求める場合は、機種に依存するところが大きいのが実情。そのため、今回は一般的なプリンターに焦点を当てて、写真印刷に適したプリンターの選び方を紹介します。

プリンタータイプで選ぶ

一口にプリンターと言っても、印刷する方式が大きく異なっています。
大きく分けて3通りあります。

フォトプリンター

文字通り、写真を印刷する事に特化したプリンターです。

写真印刷用のため、印刷出来る用紙サイズはL版程度に限定されていて、A4等の通常サイズは印刷する事が出来ません。

利用方法が限定される分だけ、美しい写真印刷をする事が出来て、サイズもコンパクトな筐体に収まっています。
据え置きタイプだけでなく、持ち運びを考えたモバイルタイプも有ります。

印刷タイプは、機種によって異なります。

○昇華型熱転写方式

最近の機種で多いのは、「昇華型熱転写方式」です。
熱を使ってインクを用紙に転写します。
他の方式に比べて、非常に滑らかできれいな階調表現が出来て、細かい濃淡が出せるため、綺麗に写真を印刷する事が出来ます。

印刷を行うには、専用の用紙とインクリボンが必要になります。
ランニングコストは高額になる傾向があります。

○ZINK方式

「ZINK方式」は、インクが既に染みこんでいる感熱紙を使用します。
専用用紙に熱を加えることで発色して、印刷する方式です。

インク不要で印刷出来る事と、プリンターサイズがコンパクトに出来るメリットから、以前はフォトプリンターの主流でした。
昇華型熱転写方式と比較すれば、写真の画質が若干粗く見えるケースも有りますが、きれいに写真を印刷する事が出来ます。

当然ですが、フォトプリンターは、複合機など他の機能は持ち合わせていません。

レーザープリンター

レーザー方式のプリンターは、トナーを熱処理して紙に定着させる方式です。

トナーは粉状で混じり合う事が無いため、繊細な階調表現を必要とする写真印刷には、比較的不向きと言えます。

ビジネス文章の中に挿入する写真なら、充分に美しい写真として役割を果たすことが出来ます。締まった文字の表現と合わせて、写真を使うビジネス文章には最適で、美しい出力をします。

プリンター機能だけでなく、FAXやスキャンなど多機能を搭載した複合機も有ります。
オフィスにある大型複合機コピー機も、基本的にはレーザー方式です。

インクジェットプリンター

写真印刷だけでなく、幅広い用途への汎用性も含めて、家庭に一台導入するプリンターとしては、インクジェットプリンターが最適です。
写真専用用紙を利用する事で、より美しい表現力のある、きれいな写真印刷が出来ます。

インクジェットプリンターは、何色かのインクを搭載していて、混じり合うことで色表現を行います。

インクには大きく分けて2タイプ有り、詳細は後述しますが「顔料インク」と「染料インク」があります。

染料インクを使う、一般家庭用の汎用タイプが多く流通していますが、顔料インクを使うビジネスインクジェットプリンターの他、高額ですが写真印刷に特化した写真印刷プリンターも発売されています。

文字用の黒に顔料インクを搭載して、写真用には染料インクの黒を含めて搭載した、文字にも写真の表現力にも優れた、ハイブリッドタイプも有ります。

インクジェットプリンターで、写真をきれいに印刷する為のポイントを見ていきましょう。

プリンターの印刷性能をチェック

写真をきれいに印刷するためには、あらかじめプリンターの印刷性能をチェックしましょう。注目したいのは画像解像度の高さと、最小インク滴サイズの小ささです。

画像解像度が高い

まずチェックしたいのは画像解像度の高さです。プリンターの場合はdpiという単位で解像度を表していて、数字が大きいほど密度が高く、品質が高くなる傾向にあります。目安としては約5,000×1,200dpiあれば、写真の印刷に適しているといえるでしょう。ただプリンターの解像度は厳密なものではないため、用紙の質によって出来上がりが変わることがあります。あくまで目安として、選ぶ基準の一つだと考えておきましょう。

プリンターの最小インク滴サイズが小さい

次に見ておきたいのは、プリンターの最小インク滴サイズです。これはplという単位で表し、数字が小さいほど一滴が小さく、高品質な印刷が可能になります。写真では、いかにインクの粒を小さくして高精細な印刷ができるかが肝心です。目安としては、1.5pl以下のものを選ぶといいでしょう。

写真印刷に向いたインクを選ぼう

性能と併せて確認したいのは、使われているインクの種類と数です。写真印刷に向いているのはカラー数が多い機種や、染料インク、最上位顔料インクを使用している機種です。インクに関するチェック項目を詳しく見てみましょう。

使用するインクのカラー数が多い

一般的なプリンターのカラーはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色が入っています。しかし写真を印刷するのなら、5色か6色以上のインクが入っているものを使いましょう。その方が陰影や、風景の繊細な色調をくっきりと再現できるからです。プロ向けのプリンターや複合機だと8色、10色展開しているものもあり、数が多いほど高精細になります。

インクの種類

プリンターに使われているインクの種類も、事前に見ておきたいポイントです。文字の印刷には顔料インクが適していますが、写真の印刷には染料インクか最上位顔料インクが向いています。染料インクは一般的な写真向けのインクで、発色がよくツヤが出やすいのが特徴です。

一方で最上位顔料インクは、染料インクと同じくらいの仕上がりが期待できる、顔料インクの高品質版です。インク自体が耐水や耐光に優れており、染料インクに比べると劣化しにくいのがいい点といえるでしょう。

メーカーで選ぶ

色表現には好みがあるので一概には言えませんが、愛好家を含む写真印刷するユーザーに、大きな支持を集めているのは「エプソン」と「キャノン」だと言えます。

機種によっても異なりますが、大きな傾向として「エプソン」は繊細な表現力、「キャノン」は鮮明な表現力に定評があります。

写真印刷に向いている、インクジェットプリンターとしては、インク色数が6色以上で、フチなし印刷が可能な機種が向いていると言えます。

そんな条件を満たす中から、家庭用とプロ並みクオリティを一台ずつご紹介します。

エプソン「カラリオ EP-714A」は、コンパクトな筐体に6色顔料インクを搭載していて、スマートフォンとの親和性も高く、2万円程度で購入が出来るため、写真印刷用プリンターとして人気が有ります。

キャノン「imagePROGRAF PRO-G1」は、実売価格で8万円前後と高価ですが、プロ・ハイアマチュアフォトグラファー向けとして、人気が有ります。
マットブラックインクという従来よりも黒の濃度が高く、締まった描写と繊細な表現を両立する10色の最上位顔料インクを採用しています。
10色あるインクの中には、透明なクロマオプティマイザーがあり、光沢を均一化します。
圧巻の表現力を誇る、プロスペック機種です。

まとめ

写真をきれいに印刷するためのプリンター、複合機の選び方を紹介しました。写真印刷向きの機種は安価なものから高価なものまでさまざまですが、一般的なプリンターでも十分に高品質な写真が出来上がります。選ぶ際には解像度や最小インク滴サイズなどの性能を見て、写真に向いているかチェックしてみてください。また出来上がりを大きく左右するインクの数と種類も重要なポイントです。きれいに写真印刷できるプリンターを使用して、大切な思い出を残しておきましょう。

この記事を書いた人

テックライター歴5年。通信・ハードウェア業界を中心に、BtoB関連のライティング案件を多数担当。

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