テレビで繰り広げられているトークの中で、「Z世代」という言葉が頻繁に出てきます。
昨年までは聞いた記憶が無いので、今年になって出てきた言葉でしょう。
Z世代は10代から20代前半の若者世代を指す言葉で、デジタルを使いこなすデジタルネイティブの意味があり、元々はアメリカで使われた「ジェネレーションZ」から来ています。
その年を表すキーワードが毎年出てきますが、特に日進月歩のデジタルの世界では、新しいキーワードがどんどん登場します。
ちょっと前なら「ユビキタス」「ウェアラブル」「IoT」等を、耳にする機会が多かったのですが、今が一番ホットなキーワードとして「DX」「DX化」があります。
DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)を略したものです。
単純に略すのであれば、「DT」でも良さそうですが、英語では接頭辞のTransを、「X」で表記する習慣があるからです。
Transには横断するという意味があって、同じ意味のcrossを略する場合の、「X」が用いられたということです。
気軽に口にすれば、なんだかちょっと格好いい!感じで広がった側面もありそうですが、国は本気で促進をはかっています。
DXの旗振り役を担う経済産業省は、2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン) 」を定義しています。
デジタル化が進む世界において、このままでは日本が取り残される危機感から、DXを行う企業に対して税優遇策を講じるなど、各種の支援策も進めています。
DXの「D」はデジタル化のDだから、「IT技術をフル活用して、アナログで行っていた事をデジタルに移行する事?」と考えたくなりますが、それは「IT化」の事です。
「DX化」と「IT化」は混同されやすく誤解も多いのですが、これからの時代を考えれば知っておきたいキーワードです。
「DX化」と「IT化」について、違いを含めて解説していきます。
DX化とは
このDXに関しては、正確にどこかで定義されている言葉ではありません。
スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義しているため、この考え方がDXの基本コンセプトとして捉えられていることが多いようです。
日本では、IT専門調査会者のIDC Japanが2016年にDXを以下のように定義しています。
「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンス(経験、体験)の変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」
これを要約すれば、デジタル技術を活用して、抱えているか未来に起こりそうな課題に対して解決を図り、新しい価値を生み出していくということです。
DX化とIT化を間違えて認識しているケースとして、書類のペーパーレス化・情報のデータベース化は、DX化ではなくIT化です。
その違いと、関連性について見ていきましょう。
IT化との違いと関係性
IT技術をフル活用して、アナログで行っていた事をデジタルに移行する事がIT化であり、ペーパーレス化やオンライン会議などの1つの業務という視野ではなく、会社全体を意識して、IT化によって生まれた総合力を用いる事で、新しい仕事を生み出していく事・IT化をフル活用して生まれるマンパワーや資金と時間などを有効に利用して、新しい価値を生み出していくのか?
それこそがDX化の本質です。
IT化の意味
IT化というのはInformation Technologyの略で、コンピュータやネットワークなどのテクノロジーを利用することを意味します。
これまで紙で記録していたデータや情報を、パソコンを使い管理するといった、アナログからデジタルへのリプレイスの手段として、IT化は推進されてきました。
IT化は手段、DX化は目的
IT化=デジタル化であり、DXはITを活用することで、どんな新しいビジョンを描けるか?という経営戦略が問われています。
デジタル化・IT化を行っても、必ずしも到達先がDX化である必要はありません。
これもよく誤解されますが、DX化は「働き方改革」や「新しいビジネスモデル」などと、結果として繋がる事はあっても、達成目標として必ずしも結びつけて考える必要はありません。
DX化の第一歩がIT化であり、IT化・デジタル化はDX化のスタート地点に過ぎません。
DXは単なる技術的な事ではなく、もっと広義に会社やそこで働く人たちを変化させて、新しい価値を創出することにあります。
なぜDX化が注目されているのか
ではなぜ今DX化が注目されているのでしょうか。
まずは「スマートフォン」の存在を見逃すわけにはいきません。
いつでも情報にアクセスできるスマートフォンを使えば、ビジネスの多くをスマートフォンを使って処理可能です。
さらにそのことによって、既存のビジネススタイルが崩壊しつつあるのも、いまDX化が注目されている要因となっているでしょう。
さらに後ほど説明しますが、「2025年の崖」という大きな出来事も無視できません。既存システムからの脱却こそ、競争力のある企業にとっては不可欠な状況となっているのです。
DX化によって得られるメリット
しかしいくらDX化という旗を振られても、それが明確なメリットをもたらさなければ取り組む価値がないと感じるかもしれません。
では、DX化はビジネスに対してどんなメリットを提供してくれるのでしょうか。
働き方改革と業務効率化
業務プロセスやビジネスモデルをデジタル化することで、新しいビジネスの創造が期待できます。なぜならDX化に伴い、既存の業務プロセスを見直す機会が提供されるからです。
業務プロセスを改善すれば、当然ですが収益も向上します。
さらにDX化による情報の共有化などにより、セールスパワーも向上します。
そのほかに、働き方改革という意味でもDX化はビジネスに貢献します。
最近ではもう避けることができない在宅ワークやネットを使ったミーティングなどもDX化の一環としてさらに必要性が増してきます。
人材を募集する際にも、従来の形からよりデジタルを活用したものにすることでより優秀な人材を得られるようになります。
「2025年の崖」の解消
DX化が推進されている理由の一つに、2025年の崖という問題があります。
2025年の崖とは老朽化した既存のコンピュータシステムが残存した場合、国際競争に取り残されてしまうという問題です。
これは特に日本における旧型のシステムが引き起こす問題として取り上げられているもので、経産省のDXレポートの中でも問題が指摘されています。
このような旧型、あるいは既に開発者がリタイアしてしまってブラックボックス化してしまったシステムを捨て、新しいDX化によってシステムをアップデートするという意味でも2025年の崖は注目するべき課題と言えるでしょう。
企業がDX化を推進する際の導入手順
では実際に自社がDX化を進めていく場合、どのような導入手順を踏めば良いのでしょうか。
具体的にそのステップを見ていきましょう。
ステップ1:デジタル化
DX化をスタートするために何がまず必要かと言えば、それは当然様々なデジタル化です。
例えばペーパーレスのためのデジタル化など、従来アナログで実施していた業務を可能な限りすべてデジタル化することが第一歩となります。
さらにこれ以前に、DX化によってどのような改善を実現したいかという目標を明確化しておく必要があります。
ステップ2:効率化
しかしデジタル化すればすべての業務が効率良くなるかと言えばそうとも限りません。
慣れの問題もあり、さらにデジタルに慣れていない人にとってはかえって効率が悪くなる可能性もあります。
さらに業務プロセスもデジタル化に伴い変更しないと、効率化が見込めない場合もありますので、次のステップとしてはデジタル化によって業務を効率化するための、スタッフの教育や業務プロセスの見直しが必要となります。
ステップ3:共通化
DX化は様々なビジネスの業務をデジタル化していきますから、そのデータを共有しなければ効率化は難しくなります。
アナログ作業の時代には部署ごとに異なっていたプロセスを統一し、あるいはデータベース化することで、情報を共有できる仕組みづくりなどの、共通化が重要となります。
ステップ4:組織化
DX化は組織全体で適用しなければ意味がありません。
例えば組織全体のワークフローをデジタル化することも大切と言えます。
あるいはDX化に関する専任のスタッフを組織に置くということも、スマートにDX化を推進するためには必要と言えるでしょう。
ステップ5:最適化
DX化を進める際には、すべてが予定通り進むというわけにはいかない場合もあります。
初めての取り組みとしてDX化を実施する際には、むしろ予定通り進まないことの方が多いかもしれません。
そのような時はPDCAサイクルなどのテクニックを利用して、常にDX化の最適化を実施しましょう。運用や使用しているシステムなどを見直し、業務プロセスも改善していくことで、DX化による最終的な効率化が実現できます。
DX化が目的ではないことを忘れずに
DX化は単なるトレンドではなく、これからのビジネスシーンでは絶対に外せないものです。
今後訪れる時代の中では、テクノロジーを導入するだけでは、ビジネスの世界で優位に立つことは出来ません。
それを利用して、全社的にビジネスモデルの変革を考えて、自社のポジションを確立するのがDX化です。
2022年1月に、DX化を視野に入れた電子帳簿保存法が改正されています。
詳細については、「改正された電子帳簿保存法の内容を理解しDX化とペーパーレスを推進!その概要と注意点とは?」をご覧下さい。
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詳細は、「プリント革命ならDX化を推進しながら印刷コストカットや業務効率UPができる!」も、ご覧下さい。