複合機、コピー機は経費計上できるのか?勘定科目はなに?

仕事で複合機やプリンターを使っている人は、印刷に関わる費用を経費として計上できるのか気になるのではないでしょうか。印刷にはさまざまなコストがかかり、契約形態や用途によって勘定科目は変わります。複式簿記や財務諸表を記入するときに勘定科目を間違えないために、それぞれの計上の仕方を理解しましょう。本記事ではリース、レンタル、購入の3つの項目にわけて経費の勘定科目の考え方を解説します。

目次

リースの場合、レンタルの場合、購入の場合

複合機やプリンターは契約形態によって勘定科目がそれぞれ違います。使っているプリンターの契約形態を調べて、どれが当てはまるのかチェックしてくださいね。

リース

リース契約の場合は、契約形態がファイナンシャルリースかオペレーティングリースかによって勘定科目が違います。まずファイナンシャルリースは、リース中のメンテナンス責任がユーザーにある契約形態です。ファイナンシャルリースの場合、勘定科目は「リース料」として仕分けします。

その中でもっとも多いのが「所有権移転外ファイナンシャルリースという形態です。リース終了後にプリンターを返却する契約になっていたら、このリース形態が該当します。所有権移転外ファイナンシャルリースの場合は、取得時は「リース資産」、支払時は「リース債務」、決済時は「減価償却費」として経費を計上できます。

一方でオペレーティングリースの場合は、勘定科目は「賃借料」です。リース契約中のメンテナンス責任がユーザーにない場合はこの形態が該当します。

なお、リース契約でも中小企業なら「消耗品費」として計上できるケースがあります。たとえばリース契約が1年以内だったり、総額が300万円以下だったりすると勘定科目を変更できます。条件に当てはまりそうな場合は、税務署に確認してみましょう。

リース時の具体的な勘定科目例

本来は、すべての所有権移転ファイナンス・リース契約+一部の所有権移転外ファイナンス・リース契約については、売買取引に準じた会計処理を行います。
リース物件(使用する権利)をリース資産・リース債務をリース負債として計上して、リース料支払い時には、借方にリース負債と支払利息・貸方に支払い方法(普通預金等)と仕訳をした上で、決算処理として、リース資産に対する減価償却費計上と、リース負債の短期と長期振替をします。

しかし、中小企業では殆ど行われていません。一般的には支払ったリース料を、そのまま勘定科目で仕訳します。

○15,000円のリース料支払いが、普通預金から支払われた時の仕訳

借方 貸方
リース料 15,000円 普通預金 15,000円

レンタル

複合機やプリンターをレンタル契約した場合の勘定科目は「賃借料」になります。レンタル契約はリースとは異なる契約なので、間違えないよう気を付けてくださいね。

レンタル契約にかかる費用は、一般的にはレンタル料のみ。月額のレンタル料を「賃借料」として処理すれば問題ありません。

レンタル時の具体的な勘定科目例

複合機・プリンターをレンタルした場合の、仕分け作業はとてもシンプルです。
支払った費用の全額を、貸借料として計上します。

○25,000円のレンタル料を支払い時の仕訳

借方 貸方
貸借料 25,000円 普通預金 25,000円

プリント革命のレンタルプリンターサービスでは、カウンター料金も別途インク代の請求も、メンテナンス費用も掛からないため、簡単な一つの仕訳で完結します。

購入

複合機やプリンターを購入した際は、金額によって勘定科目が変わります。分かれ目となる金額は10万円です。10万円以上なら「工具器具備品」として仕分けします。この場合は固定資産税になるため、耐用年数を5年として金額を分散しながら計上します。一般的な大型複合機は金額が大きいので「工具器具備品」に該当するでしょう。

一方で10万円未満の場合は消耗品費(もしくは販売管理費)として一括計上します。ただ、中小企業の場合は特例を使うと30万円未満でも消耗品費になるケースがあります。

購入時の具体的な勘定科目例

10万円以内で取得購入した場合は、購入時に一括で処理します。

○90,000円のプリンターを購入して、現金で支払いした場合の仕訳

借方 貸方
消耗品費 90,000円 現金 90,000円

10万円以上20万円未満で取得購入したものは、個別の減価償却を行わずに、3年間に渡り3分の1を必要経費として計上することができます。
「一括償却資産」に計上した上で、3年かけて均等償却を行います。

○180,000円のプリンターを購入して、現金で支払いを行って、均等償却を行う場合の仕訳

購入日

借方 貸方
一括償却資産 180,000円 現金 180,000円

決算仕訳

借方 貸方
減価償却費 60,000円 一括償却資産 60,000円

決算仕訳を、3年間同金額を計上します。期中で取得時にも、減価償却の月割り計算はしません。

青色申告を行っている中小企業の事業者(個人事業主を含む)は、取得購入金額が30万円未満のものを少額減価償却資産として処理が出来て、一括で全額を必要経費にして処理する事が出来ます。(年間合計300万円まで)

○280,000円のプリンターを購入して、現金で支払いを行い、少額減価償却資産の特例適用時の仕訳

購入日

借方 貸方
工具器具備品 280,000円 現金 280,000円

決算仕訳

借方 貸方
減価償却費 280,000円 工具器具備品 280,000円

固定資産台帳にも記入してください。

大型複合機コピー機は、30万円以上の金額になる事が大半です。
法定耐用年数に応じて時間の経過と共に、価値の下がる償却資産で、5年間で減価償却を行う必要があります。
減価償却には、定額法と定率法の2つが有り、どちらかを任意で選択します。

個人事業主の場合は、定額法で計算する事が基本です。定率法で計算するためには、事前に税務署への申請届出をして許可を得る必要が有ります。

○1,000,000円のプリンターを購入して定額法で減価償却

定額法償却率は「0.2」で、残存価格は取得価格の10%で計算します。
大型複合機コピー機を100万円で購入した場合は、

(取得金額100万円-残存価格10万円)×0.2=18万円

1年間に償却出来る金額は、18万円になります。
5年で残存価格は10万円です。

*年度途中での購入初年度は、使用した月数÷12ヵ月(1年間)の数値を掛けます。
3月決算の事業者が9月7日に収得して、直ぐに使い始めた場合は、使用期間は6ヵ月になり、18万円×0.5=9万円が初年度の減価償却出来る金額になります。
起点になるのは購入日ではなく、利用を始めた日です。購入が9月7日でも、利用開始日が10月1日になった場合、18万円×5/12=7万5千円になります。

決算仕訳

借方 貸方
減価償却費 180,000円 工具器具備品 180,000円

○1,000,000円のプリンターを購入して定率法で減価償却

定率法償却率は「0.5」です。
大型複合機コピー機を100万円で購入した場合は、

1年目 100万円×0.5=50万円
2年目 50万円×0.5=25万円
3年目 25万円×0.5=12万5千円
4年目 12万5千円×0.5=62,500円
5年目 62,500円×0.5=31,250円

償却出来る金額は年数によって変わり、5年で残存価格は31,250円になります。

1年目の決算仕訳

借方 貸方
減価償却費 500,000円 工具器具備品 500,000円

2年目の決算仕訳

借方 貸方
減価償却費 250,000円 工具器具備品 250,000円

の様に、5年目まで繰り返します。

印刷に関わる経費

印刷に関わる経費はプリンター本体以外にもあります。設置した際の搬入費用やインク代、用紙の仕分けはそれぞれ違います。本体以外にかかる経費の勘定科目を表にまとめました。

本体以外の経費は消耗品費、事務用品費、修繕費の3つに分かれます。保守にかかる費用が修繕費なのはわかりやすいですが、事務用品費と消耗品費はどう違うのでしょうか。

国税庁の資料によると、消耗品費は使用可能期間が1年未満、もしくは本体価格が10万円未満のものが該当します。事務用品費とは、消耗品の中でも特に事務を目的としたものを指すようです。
参考:帳簿の記載の仕方 国税庁

インクやトナーは使用期限があるため消耗品費、用紙は期限がなく事務目的に使われるため事務用品費と覚えておくといいでしょう。

印刷経費の勘定科目

リースした場合

カウンター料金はリース料と別途支払いますが、全額消耗品費で計上します。

○20,000円のカウンター料金払いが、普通預金から支払われた時の仕訳

借方 貸方
消耗品費 20,000円 普通預金 20,000円

コピー用紙を事務用品費で計上している会社は、カウンター料金の勘定科目を事務用品費で計上することもありますが、どちらでも問題ありません。

レンタルした場合

レンタルサービスの内容により、別途費用が掛かる場合は計上しますが、プリント革命では月額リース料以外に、カウンター料金もインク・トナー代も掛からないため、計上する仕訳は無くなります。

購入した場合

○20,000円のトナーを、現金で購入した時の仕訳

借方 貸方
消耗品費 20,000円 現金 20,000円

○コピー用紙代として、5,000円を現金で購入した時の仕訳

借方 貸方
事務用品費 5,000円 現金 5,000円

用途に合わせて導入を検討しよう

それぞれの契約形態に合わせて、経費を計上する際の勘定科目を紹介しました。リース契約か、レンタルか、購入かによって仕分け項目は違います。減価償却できる条件もそれぞれの形態によって異なります。印刷に関わる経費をうまく計上できれば、節税のメリットを受けやすくなるでしょう。

またリース契約の場合は初期コストを抑えられる、レンタルなら短期間契約も可能、購入の場合はプリンターが資産になる、といった具合に契約形態ごとのメリットがあります。これから複合機やプリンターを導入する人は、用途に合わせて導入を検討してください。

まとめ

複合機やコピー機に関わる経費の勘定科目について紹介しました。契約形態によって勘定科目はまったく違います。自身が使っているプリンターの導入形式を事前に確認することが、会計処理を間違えないためのポイントです。

またプリンター本体以外の事務用品や搬入についても経費計上が可能です。こちらも勘定科目がそれぞれ違うので、最適なものを選んで仕分けしてください。印刷に関わるコストは決して小さくありません。きちんと仕分けして、スムーズな会計処理ができるようにしておきましょう。

この記事を書いた人

家電をはじめ、複合機などのオフィス備品にも強いWebライターです。今後は主にプリンターなどの備品を中心にリースやレンタル業界についても記事にしていきたいと思っています。

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