プリンターの種類として「大判プリンター」というものがあることはご存じかも知れません。
ではこの大判プリンターとは一体、どのようなプリンターのことを言うのでしょうか。
さらに大判プリンターと共に「プロッター」という機械もあります。
プロッターとは基本的にプリンターとはやや異なる構造となっていて、特定の業種で利用されています。
今回はこの大判プリンターとプロッターとはどのようなものなのか、そして普通のプリンターとは何が違うのかについて説明していきます。
プロッターとはどんな機械?
ではまずプロッターとは一体どんな機械なのかについて見ていきましょう。
プロッターは一般的なビジネス用途ではあまり馴染みがないかも知れませんが、線画に特化した印刷装置としては長い歴史を持ち、今でもなお重宝されているプリンターの一種となっています。
CADなどのデータを印刷するのがプロッター
そもそもプロッターが登場したのは、コンピューターで図面を作るようになった時、それを印刷するための機器として登場しました。
プロッターの原型となるものは1950年代から存在し、基本原理は今と同じようにペンを機械制御して線画を描画していました。
そのため、プロッターは一般的なプリンターとほぼ同じ時期に登場し、その後もプリンターとは少し異なる独自の進化を続けてきたということになります。
ペンやマーカーで描画する
プロッターの特徴としてあげられるのが、ペンやマーカーを使って描画するというその印刷方法にあります。
言ってみればプロッターは、人間が手でペンを持って図面を書いているのを、人間の手を機械に置き換えてより正確に描画できるようにするための機械であるとも言え、ある意味機械的にはわかりやすい仕組みとなっています。
プロッターは基本的には線画を描くための装置となっているため、特にペンを使ったペンプロッターは面を色で塗りつぶしたりといったカラー印刷よりも、線画を描くことに特化している装置となります。
このペンを使って描画するという仕組み自体が、私たちが普段目にしている一般的なプリンターとの大きな違いであるということができます。
近頃ではインクジェット形式のプロッターもある
しかし最近ではインクジェットプリンターの性能が向上してきたため、従来のペンを使ったプロッターではなく、CADなどの用途でもインクジェット方式のプロッターも一般的になっています。
印刷以外に用紙をカットする機種も
一般的なペンプロッターやインクジェットプロッターの他に、ペンの代わりにカッターを使って用紙をカットする「カッティングプロッター」というものもあります。
これはカッティングシートをCADなどのソフトウェアを使ってカットし、切り文字や切り絵を作るためのプロッターとなります。
プロッターの仕組みはこのように紙に印刷するためだけでなく、いろいろな応用によって印刷以外の分野でも利用されているのです。
プロッターの利用シーンは?
プロッターが活躍するシーンとしては、やはりはじめにご紹介したとおり、CADなどのコンピュータを使った設計図面を印刷する場合でしょう。
CADの図面を印刷するための機械として、より精確に細かな線画を描くことに特化して進化してきたプロッターは、やはり図面を印刷するために利用されることが多くなっています。
もちろん図面を印刷するという意味では、土木や建築と言った大規模な図面を利用する業務でも使用されています。
その他にテキスタイルのデザインを印刷したり、あるいは地図の作成など、特殊な分野でもプロッターが活躍しています。
大判プリンターとはどんなプリンター?
では続いて大判プリンターとはどんなプリンターなのかに付いてみていきましょう。
より大きなサイズの用紙に印刷する
大判プリンターというのは、その名の通り大判の素材に対して印刷できるプリンターのことを意味します。
通常オフィスにおかれているビジネスプリンターは、小さなものですとビジネス文書の基本サイズとなるA4対応となり、少し大型のものの場合その2枚分のサイズとなるA3対応機もラインナップされています。
そのため一般的なプリンターはA3サイズまたはそれよりも少し大きいA3ノビサイズまでが対応サイズとなりますが、大判プリンターはそれよりもさらに大きなサイズの素材に印刷するためのプリンターです。
大判プリンターの対応サイズは機種によって異なりますが、A1やA0サイズ、あるいはロール紙を使えば横サイズは限定されますが縦サイズはロールして好きなだけ長く印刷できるタイプの機種もあります。
特殊な素材に印刷できる機種も
大判プリンターのもう一つの特徴が、一般的な紙以外の素材にも印刷可能ということにあります。
例えば看板のような屋外広告でよく使われる「バナーマテリアル」と呼ばれる特種な素材であったり、あるいはキャンバス地に印刷することでアート作品やのぼりなどで特種な素材感を残した印刷が可能となります。
大判プリンターの印刷形式は?
プリンターの印刷形式にはレーザープリンターやインクジェットプリンターなどの種類がありますが、大判プリンターの場合、ほとんどがインクジェット形式が採用されています。
レーザープリンターは感光体に印刷イメージを写して印刷しますが、あまりに大判のカラー対応感光体は技術的に難しいため、コストの問題もあり一般的ではありません。
そのため、大判プリンターではほとんどがインクジェット形式が採用されています。
インクジェットならインクを塗布するヘッドを大判のサイズまで動かせば良いため、一般的なプリンターと基本的には同じ仕組みで印刷可能となります。
大判プリンターと普通のプリンターの違いは?
大判プリンターという名前は正式に何かで定義されているものではなく、普通のプリンターと比較して、大判の用紙などに印刷できるという意味で使われています。
そのため大判プリンターと一般のプリンターの違いというのは、基本的に対応している用紙サイズが違ったり、印刷できる素材が違ったりするという程度の違いとなります。
ただし大判プリンターの中には、産業用に使われる産業プリンターとでも呼ぶべきものもあります。
これは工場などで特定の用途のために常時稼働しているようなタイプのプリンターで、その機械的な仕組みは専用設計されていたりするため、使われ方は一般のプリンターとは大きく異なるものとなっています。
大判プリンターの利用シーンは?
大判プリンターはやはり通常の用紙サイズではなく、大判の印刷物が必要な場合に威力を発揮します。
ビジネス用途として考えれば、建築や土木の設計図面などの印刷で使われています。
建築分野では図面の他、プレゼン用の大型のパース図面の印刷でも活躍します。
カラー印刷で利用するなら、大判のポスターやアート作品の印刷も、以前は印刷機でなされていましたが、大判プリンターなら高画質で印刷できますから、印刷機が必要なほどの枚数が要らない時に役立つはずです。
広告的な使い方としては紙への印刷ではなく、布に印刷することで大判の「のぼり」にも活用できます。
その他教育関連や学術発表時のプレゼンテーションにも、大判プリンターでの印刷が利用されます。
まとめ
このようにプロッターと大判プリンターは、それぞれ異なる目的から生まれてきましたが、近頃ではインクジェット技術の向上と大型化により、従来のプロッターの役割をインクジェットプロッターが果たすようにもなってきました。
基本的な仕組みとしては、大判のインクジェットプリンターも通常のインクジェットプリンターも大きな違いはありません。
より大判の素材に印刷できるように、大型化したプリンターが大型プリンターとなり、大判の印刷が必要となる業界で利用されているわけです。