プリンターの前面給紙と背面給紙とは?メリットとデメリットを解説

プリンターや複合機には2種類の給紙形式があるのをご存じでしょうか。一つは前面給紙、もう一つは背面給紙という形式です。言葉は聞いたことがあるけれど、意味やそれぞれの違いについて今一つピンとこない人もいるかもしれません。そこで今回は、プリンターや複合機の給紙形式の違いと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

目次

前面給紙と背面給紙とは?

前面給紙と背面給紙の違いについてそれぞれ紹介します。自宅や会社で使っているものに照らし合わせながら読み進めてみてください。

前面給紙とは

前面給紙とは、プリンター本体に給紙トレイがあり、手前に引き出して紙を補充する給紙形式です。大型複合機をイメージしてみるとわかりやすいと思います。紙がなくなったら、下にあるトレイに紙を追加しますよね。前面給紙はプリンターや複合機の内部で紙をU字に曲げて印刷しているのが、背面給紙との大きな違いです。

背面給紙とは

背面給紙とは、プリンター本体の背面に給紙を立てた状態でセットして、印刷すると紙が手前に出てくる給紙形式です。インクジェットプリンターには、背面給紙形式のものがよく見られます。ハガキや名刺サイズを1枚ごとに印刷できる機能も、背面給紙のプリンターに多い傾向があります。

給紙方式にも流行?

一般家庭に導入されることが多い、インクジェットプリンターは、その時々の流行が有り、そのため機能が変化することがあります。

プリンターが家電化?

家庭の中で利用するインクジェットプリンターは、常時利用するケースは少なく、使わない時間の方が圧倒的に長い事が大半です。
リビングルームに置いても違和感の少ない、家電的なデザインとフォルムが売れ行きに大きく影響を及ぼす事から、ある意味機能は二の次になる事が有ります。

事務機器臭を極力排除して、できる限りコンパクトなサイズにまとめる事が優先されます。印刷をする時だけ部分的なパーツが開いたり、広がったりする事で初めて機能が果たせる様になって、利用時だけ初めてプリンターに見えるような変身する機種が、当たり前になりました。

プリンターのサイズ感に最も大きな影響を与えるのは、用紙です。
A4とA3の違いのように、用紙サイズも大きな影響がありますが、給紙と排紙も大きな影響を与えます。
2010年代初頭頃までは前面給紙と背面給紙を備えるインクジェットプリンターが一般的でしたが、中頃になると多くのインクジェットプリンターの背面給紙は姿を消しました。背面給紙を備えたプリンターは、壁際に置く事が難しい事も原因に有ります。

トレンドの変化とユーザーのギャップ

背面給紙に変わってトレンドになったのは、二段引き出し方式の前面カセット給紙です。前面と背面の給紙で、2通りの用紙を使い分けてきたユーザーにも不便を掛けず、スッキリと収まるデザインで、むき出しになる用紙も無い事から、ユーザーにもきっと喜んでもらえる!との、メーカー技術者の想いが伝わってきます。

しかし、ユーザーの使い方は少々異なっていました。
通常使うA4用紙は前面給紙に格納しておいて、背面給紙は普段使わない特殊な用紙を利用する時だけ使う事が多く、サイズだけで無く、紙に厚みが有って金額の張る用紙を使うケースが多くなります。

当然、厚紙も前面給紙で利用できる様に改良されていますが、プリンターの後ろ方向から真っ直ぐ排紙方向に降ろしてくる背面給紙とは異なり、U字方向に用紙を曲げて排紙方向に送る前面給紙では、紙詰まりのトラブルをどうしても誘発する頻度が高くなります。

また、通常のコピー用紙とは異なる、シール等の用紙は1枚あたりの単価が高額で、印刷設定を間違えたり、印刷内容のミスに印刷ボタンを押してから気が付いたりした場合、表に出ている背面給紙なら慌てて直ぐに貴重な用紙をプリンターから抜き取る事が可能なので、プリンターにエラーは出ますが、貴重な用紙を無駄にせずに済みます。

背面給紙の復活

ユーザーのニーズに対してメーカーは軌道修正を行い、2010年代の後半になってくると背面給紙が復活してきます。デザイン性を考慮して、枚数を沢山背面に挿すタイプは殆ど有りませんが、1枚を大切に使う用途に見合った設計変更がなされています。

2021年の9月現在で、価格コムのインクジェットプリンター・A4サイズに限定すると、134製品が掲載されています。その中で背面給紙に対応している機種は72製品が登録されています。

前面給紙と背面給紙の用途による使い分け

インクジェットプリンターで前面給紙と背面給紙が有るタイプは、使う用紙によって使い分けをする事を前提に設計されています。
背面給紙には、1枚を手差しで行う場合も多くなっています。

前面給紙は、普段最も普通に使用する通常のA4コピー用紙(ユーザーによってはB5サイズや、A5サイズの場合も有ります)を収納しておいて、コピー用紙以外の用紙は背面給紙を行います。

前面給紙の場合は、対応する紙の厚みは80g/m2程度が多く、コピー用紙で考えれば60~80gsm用紙が多い為、一般的なコピー用紙の使用には充分で、厚さはどれも0.09mm前後である事が殆どです。

背面給紙の場合は、最大紙厚0.6mm程度である事が多く、前面給紙の許容量よりも大幅に厚み対応力が増しています。
具体的には写真専用の光沢・絹目調用紙や、葉書・シール印刷・ラベル印刷・工作用の紙などを、取っ替え引っ替え利用する前提になっています。

前面給紙のメリット・デメリット

ここからは、前面給紙と背面給紙それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。まずは前面給紙について詳しく解説していきます。

前面給紙のメリット

前面給紙のメリットは、大量印刷ができる点と、スペースが小さくおさまる点です。前面給紙形式のプリンターはトレイに大量の用紙を設置できるため、印刷できる枚数が多いのが特徴です。トレイが複数あれば、給紙の頻度も低く済みます。

また背面給紙のように用紙を立ててセットする必要がないため、後ろにスペースを取る必要がなく、壁際や窓際の角などに設置できる利点があります。

前面給紙のデメリット

前面給紙のデメリットは、U字に紙を印刷するので紙詰まりがしやすい点です。特に厚めの用紙は紙詰まりがしやすく、一度詰まってしまうと取り除くのに手間がかかってしまいます。

背面給紙のメリット・デメリット

前面給紙に比べると、背面給紙は用紙のセットに手間がかかる点があげられます。一方で用紙が詰まりにくいのが、背面給紙のいいところです。メリットとデメリットを一つずつ見ていきましょう。

背面給紙のメリット

背面給紙のメリットは紙が詰まりにくい点と、残っている用紙の枚数を把握しやすい点です。背面給紙の場合、縦にセットした紙がプリンターの内部を通って、まっすぐ手前に排出されます。そのため紙が曲がらず、ハガキや写真などの厚い用紙でも印刷しやすいところが優れています。

またセットされている用紙は常に見える状態のため、残っている用紙が何枚あるのかすぐに確認できるのもいいところです。

背面給紙のデメリット

背面給紙のデメリットは一回あたりの給紙枚数が少ないところと、本体のうしろにスペースが必要な点です。前面給紙と違いトレイがないため、給紙できる枚数が少なく、こまめに用紙を補充する必要があります。

また用紙をセットするユニットは垂直ではなく、後方に向かって少し斜めにしなければいけません。そのためプリンター本体のスペースだけでなく、給紙ユニットの幅も考えて設置する必要があります。

まとめ

プリンターや複合機の給紙形式について解説しました。前面給紙と背面給紙の違いはあまり語られることがありませんが、それぞれのメリット、デメリットがあります。これからプリンターを購入する際は、どちらの給紙形式がいいか考えておくと、購入後にイメージとのギャップを感じずに済むでしょう。どちらの形式が使いやすいか、用途や印刷の頻度によって適切な方を選んでください。

この記事を書いた人

はじめまして、東京在中の35歳です。
私は以前某プリンター会社に勤めていました。以前の経験や知識を生かして何かできないかと考え、このブログを運営することにしました。
興味がある方が少しでも見て頂ければ幸いです

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