複合機の中には「ICカード認証付き」というモデルがあります。
このICカードとは、現在ではキャッシュレス決済などでタッチ式の支払いができるカードでもおなじみの、カードの中にICチップが埋め込まれたもののことを指します。
これはカードの中のICチップと、複合機に内蔵されたICカードリーダーが通信して、認証を行うというものとなります。
ではなぜこの認証が必要となるのでしょうか。
実はこの機能というのは、ICカード認証付きの複合機を使えば、ICカードを持っていないと印刷ができないというものなのです。
つまりICカードが複合機を動かすための「カギ」になるわけです。
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ICカード認証はどのように利用できるのか

ICカードが複合機のカギになるのがこのICカード認証付き機器の複合機となりますが、実際の使い方はどのようなものとなるのでしょうか。
パソコンからプリント作業をする際には一般的な複合機やプリンターと同じになりますが、ICカード認証付きの複合機はそれだけでプリントができません。
プリントを実際に紙に出力するためには、個別のICカードを複合機のICカード読み取り機にかざさないといけないのです。
さらにこのICカードに社員ごとの個別のIDを振っておけば、誰が何枚プリントしたのかというログを取ることも可能となります。
このICカードは複合機用に専用で用意する必要もなく、社員証のICカードや交通系のICカードと紐付けることも可能です。
ICカード認証することによるメリットは?

ではこのICカード認証付き機器を使うことによって、どんなメリットが得られるのでしょうか。
ICカード認証付きの複合機やプリンターを使うことのメリットは、大別して次の二つのものとなります。
情報漏洩を防ぐ
まず一つは情報漏洩を防ぐ、セキュリティ機能です。
プリントやコピーする際にスタッフそれぞれ個別に配布されたICカードを持っていないと印刷できませんから、印刷したまま本体のトレーに放置されるようなことがなくなります。
プリントやコピーを複合機のトレーに放置することは、そこから情報が漏洩するリスクとなります。
ICカードをかざさないとプリントができないのであれば、このようなプリントの放置を避けることができます。
無駄な印刷を防ぐ
さらにICカードと複合機で誰が何枚プリントしたかを記録しておけば、無駄にプリントをしているのが誰かを特定できます。
それに加えていったんプリントのキューを出してしまったあとで、書類の間違いやプリントしようと思ったファイルを間違えていて、再びプリントし直さなければならないということもよくあるはずです。
このようなミスも、ICカードをかざさなければプリントできないとなると、実際にプリントされる前にミスしたデータは破棄して、正しいファイルだけをプリントすることも可能です。
情報漏洩のリスクは「紙」から!

ここでいったん話を企業の情報漏洩について進めていきましょう。
情報漏洩のリスクとは
企業によっては情報漏洩が致命的なリスクになることがあります。
例えば顧客情報の漏洩は信頼が失墜すると同時に、多額の損害賠償請求につながります。
新製品の情報が漏洩すればそれまで多額のリソースを割いてきた新製品の価値が一気に落ちてしまいます。
自社の問題だけでなく、守秘義務契約を結んでいる場合は、それに関する情報が漏洩してしまうと、こちらもまた契約違反による損害賠償請求や取引停止などの厳しい結果を招いてしまいます。
・情報漏洩波の原因は「紙」媒体が多い
そんな情報漏洩に対して、多くの人がデジタルデータの漏洩をイメージしているのではないでしょうか。
しかし実際には、情報漏洩する際のメディアは、デジタルデータだけでなく「紙媒体」も同じくらい漏れてしまっているのです。
紙媒体といえば当然ですが複合機やプリンターで印刷した印刷物が大半となりますので、データをプリントしたものやコピーする際の扱いも、情報漏洩を防ぐためには、厳密に管理しなければならないのです。
ICカード認証付き機器では何ができる?

このようにICカード認証付きの複合機を導入すれば、情報漏洩を防止するためのセキュリティや、無駄なプリントを防ぐコスト低減というメリットを得られます。
そんなメリットを実現するために、ICカード認証付き複合機にはどのような機能があるのかを詳しくチェックしていきましょう。
・セキュリティ管理
まず中心となるのがこのセキュリティ機能です。
先ほど説明したプリントを複合機のトレーに放置しなくなるよう、プリントした本人が複合機の前でICカードをかざさないとプリントが出力されないというのが、セキュリティのためのメインの機能となります。
基本的にICカード認証付き複合機では、プリントしたあとに複合機内に一時保存されているデータが削除されますので、本体内からのデータ流出のリスクも抑えられます。
認証付き機器はICカードをかざしていない時はロックされた状態になっていますので、外部からのボタン操作を受け付けず、そのような意味でもセキュリティを高めているといえるでしょう。
・コスト管理
プリントのコスト管理に限らず、節約しましょうという方針はいくら言葉で伝達してもなかなか徹底されません。
その点ICカード認証付き複合機を導入すれば、機能的に無駄な印刷を防げるのと共に、誰がプリントしたのかも可視化できますので、無駄なプリントが大幅に削減できます。
部署ごとにプリントの枚数を管理したり、1枚あたりのプリント単価を計算して、月間でどのくらいのプリントコストがかかっているかを明確にすれば、具体的な数値として節約を呼びかけることも可能となります。
さらにコストの高いカラープリントの枚数もICカードごとに見られるようになるため、無駄なカラープリントをしないように個別に通達できます。
ICカード認証を使うデメリットは?

では逆にICカード認証付き複合機を使うことに、何かデメリットはあるのでしょうか。
いくつかその例を紹介しておきますので、デメリットについて把握してください。
ICカードを紛失してプリントできない
まずはプリントの際に必要となるICカードを紛失してしまう人が、必ず一定数現れるという問題です。
社員証とICカードを共用している場合はそのようなことも防げるでしょうが、専用のカードの場合紛失してプリントできないというスタッフも出てきます。
もちろん他のICカードを使えばプリントできるようになりますが、それを煩雑と考える人もいるかもしれません。
紛失して他人からICカードを借りてプリントするようになると、もし誰がプリントしたかの個人データを蓄積してセキュリティ管理をしている場合、その仕組み自体が無意味となってしまうため、注意が必要です。
さらにカードの破損や不具合、認証できないというトラブルも起こりえます。
このようにICカード認証付きの複合機を導入すれば、
情報漏洩を防ぎやすくなると同時に、コスト削減も可能となります。
もし機密情報の管理をプリントした書類でしている場合は、複合機自体から情報漏洩しないように、ICカード認証付きの機種の導入を検討してみてはいかがでしょうか。