スマホの写真は基本的にデータで保存するという人がほとんどでしょうが、記念写真や想い出の写真は紙にプリントして残しておきたいということも珍しくはありません。
そんなときに、写真をプリントする用途として一般的な「L判」を使うと、写真の端の部分が一部プリントできずに切れてしまう場合があります。
このL判にプリントすると端が切れてしまうという問題は、果たして何が原因となるのでしょうか。
そしてどうしたら切れずにキレイに印刷できるようになるのでしょうか。
●写真印刷の際の用紙サイズの主流はL版
ではまず、この端が切れてしまう問題に関わる、写真をプリントする際の「L判」というサイズについて見ていきましょう。
・L版のサイズは89mm×12mm
L判というのは、写真プリントのサイズのポピュラーなものとしてよく使われているサイズ感です。
そのサイズは正確に言えば「89mm×12mm」で手軽に保存できるサイズでありながら、目視でしっかり写真の内容を見ることができる最適な大きさとして、古くからよく使われているものとなっています。
・写真アルバムに収納しやすい
現在ではほとんどのカメラがデジタルカメラで、データとして保管するケースがほとんどでしょう。
しかし例えばフォトフレームに入れて部屋に飾ったり、子供の記録として紙のアルバムで保存するような場合には、高画質専用用紙にプリンターで印刷することも珍しくありません。
本来であればプリンターで印刷する用紙サイズは自由に設定できるのですが、デジタルカメラの写真をプリントする際にはこのL判の用紙を指定することがほとんどです。
これは古くからのアナログカメラのプリント印画紙サイズの名残で、プリントサイズを統一しておけば新旧織り交ぜた写真をアルバムで管理できるというのも、L判がいまだによく使われる理由のひとつではないでしょうか。
・なぜL版と呼ばれるの?
ではこのL判というサイズは、一体なぜこう呼ばれるのでしょうか。
実はこのL判というのは、デジタルになる前のアナログフィルムカメラでプリントする際の用紙の名残サイズとなっているのです。
昔はカメラで撮影した写真を、まずはフィルムを現像してから印画紙にプリントして、写真ができあがりました。
この際標準サイズだった印画紙のサイズを、サイズアップしてより見やすくしたのがL判というサイズだったのです。
つまり、従来のサイズよりも大きい(L)サイズ、という意味で、L判と名付けられたのです。
カメラがアナログのフィルムからデジタルカメラに変わった今でも、このL判というサイズが生き残ったことになるわけですが、写真を保存するアルバムのサイズなどを考慮しても、古い写真と混在させて保管できるというメリットも見逃せません。
●スマホ写真をL判で印刷すると端が切れる原因
ではなぜスマホの写真をL判でプリントすると、端が切れてしまうのでしょうか。
・スマホの比率とL版の比率が異なる
スマホの写真をL判でプリントすると端が切れてしまうのは、スマホの写真とL判の、縦横比率が異なるからです。
スマホの写真は機種によって比率が異なりますので、L判と同じ比率の写真機能を持っていれば端が切れることはありません。
iPhoneの場合は標準のカメラ機能を使った場合、縦横比率はおよそ「3:4」となっています。
一方でL判の比率は「2:3」となるため、この比率の違いによって端が切れてしまうのです。
比率を比較するとスマホの写真データの方がL判の比率よりも長辺側のサイズが大きいため、この余分な部分がL判に反映できず切れてしまうことになります。
もちろん写真の多くは端の部分に余裕があり、切れてしまっても問題ない場合が多いはずですが、恥に大切なものが写っていると、それが切れてしまうという問題は切実になってしまいます。
・プリンターの用紙設定がL判以外になっている
プリントする環境にもよりますが、スマホの写真が切れてしまう原因として、設定した用紙サイズが間違っているという問題があります。
これは、プリント時の設定で用紙サイズをL判以外に設定している場合がひとつ。
もう一つが用紙がL判ではない場合です。
まずはプリント字の印刷設定で、用紙がL判に設定されているか、そしてプリンターにセットした用紙が本当にL判なのかを確認してみましょう。
・プリントショップなどに依頼する場合
プリントショップにデータを渡して写真をプリントする方もいらっしゃるかもしれません。
この場合、原則的にプリントサイズをどうするかは、お店のスタッフに確認されるはずです。
もし写真の端を切りたくない場合、その旨をスタッフに伝えると対応策を教えてくれる場合もあります。
自分で対処したい場合は、スマホの写真プリントはL判を使わずに、「DSCサイズ」に指定すれば、切れる範囲がほとんどなくなるはずです。
このDSCサイズとは縦横比がスマホの写真と同じ「3:4」となっているため、端が切れなくなるわけです。
ちなみにDCサイズは「89mm×119mm」で、L判の「89mm×12mm」と比較すると、短辺が同じで、長辺がやや短いサイズとなっています。
●スマホ写真を切らずにプリントしたい場合
さて最後に、スマホの写真をL判でプリントしても、端が切れなくなる方法をご紹介します。
・写真アプリで比率を変更する
iPhoneやAndroidの写真アプリでは、アプリの編集機能で写真の比率を変更可能です。
この写真の比率変更をする切り抜き機能で、比率をL判と同じ「3:4」に変更しておけば、L判に印刷しても写真の端が切れてしまうことがなくなります。
ただし比率を変更する際には、切り抜くことで写真の端の部分が切れてしまいますから、そのままだとプリントの際に端が切れてしまうのと同じ結果になってしまいます。
切り抜きの際には、必要な部分を残し、不要な部分を切り取ってしまうなどの工夫が必要となります。
・画像加工アプリで余白や塗り足し分を作る
もう一つの対処法が、スマホの画像加工専用アプリを使うというものです。
高機能なスマホの画像加工専用アプリの中には、画像の比率変更の他に、画像の枠の外に色をつけたり余白を作れる機能があります。
この機能を利用すれば、元の写真を切ることなく、L判と同じ2:3の比率に余白を作っておけば、キレイに印刷することが可能となります。
もしどうしてもプリントした写真に余白があるのが嫌というのであれば、プリントしたものの余白をカッターやはさみでカットしてしまえば問題ありません。
・プリンターの設定で端を切れないようにする
プリントに余白を作るもう一つの方法が、プリント時の縮小設定を調整し、画像を縮小してプリントするというものです。
縮小印刷すれば自動的に余白が設定されて、端が切れない状態で印刷が可能となります。
パソコンから印刷する場合は、印刷の設定で「縮小して全体を印刷する」「用紙サイズに合わせる」と言った設定がありますので、これにチェックを入れれば最適な縮小率が自動的に設定され、プリントの際に用紙の端に余白が作られて、端が切れなくなります。
●L判印刷で端を切りたくないなら各種調整を
このようにスマホの写真をL判の用紙に印刷する際に、ちょっとした工夫で端を切らずにプリントできるようになります。
さらにカメラアプリ自体を変更すれば、標準の比率ではなくL判の比率「2:3」で撮影できるアプリもありますので、そもそもの写真をこの比率で撮影するというのも、ひとつの対策方法となります。