建設現場、施工会社、仮設事務所の印刷コストとは

建設や不動産・設計などに携わる事務所は、印刷枚数が比較的多くなる業種です。
建設現場にある仮設事務所は、施工主からの要望による変更や、それに伴う認可申請等の現場最前線で、特に印刷枚数が多くなり印刷コストが嵩みます。

現場の規模によって、導入される機器や印刷枚数も大幅に変わってきます。
CADと呼ばれる設計ソフトを使用した印刷では、通常の事務所では多く見かけない、プロッターと呼ばれる大判プリンターが使われます。

通常の事務所とは少々事情が異なる、建設現場仮設事務所の印刷コストを見ていきましょう。

目次

図面や点検表の印刷

大手ゼネコンでは、積極的にペーパーレス化に取り組んでいます。

たとえば清水建設が2021年3月に発表した中期経営計画では、国内の全作業所に電子掲示板「デジタルサイネージ」の導入を発表しています。
2021年9月末までに約900箇所の作業所に設置する計画です。
これにより必要だった経費、年間3,000万円の印刷コスト削減を盛り込んでいます。

建設業が、如何に印刷コストに普段から頭を痛めているかが見えます。
前述のデジタルサイネージは社内のペーパーレス化が中心で、建設業では図面や間取りなどのデータを紙でやり取りする習慣があり、同規模の一般的な事務所と比較して2倍以上印刷枚数があるのが一般的です。

建設は行政機関に提出する、確認申請用の書類も必要です。

規模や建設する内容にもよりますが、電気図面や厨房の図面等の多くの項目が必要になり、施工主からの変更要望があったり、実際に工事する中で変更を余儀なくされたりする場合は、その都度に確認申請用の書類を提出しなければなりません。

行政機関もペーパーレス化は遅れていて、紙での提出が主流です。
1つの現場に必要な申請種類だけで、数百枚になることも珍しく無く、印刷コストが増大します。
他にも工事台帳・仕入れ帳・工事別出面集計表等の、多くの印刷物が必要です。

行政への提出書類は、A4サイズが大半です。他の書類の多くもA4サイズです。
リースしている大型複合機コピー機での印刷は、枚数に応じてカウンター料金が掛かります。

CADを使った設計図の印刷には、プロッターと呼ばれる大判プリンターを使います。
通常の事務所で使うサイズは、最大でもA3サイズが主流です。CADに使用するA1サイズはA3用紙の4倍サイズになり、A0は更にその倍になります。
細かいところまで1枚の用紙で確認出来る様に、大きなサイズが必要になります。

通常は広く流通していないプリンターなので、印刷コストは割高になります。
機器本体価格は、30万円前後が相場です。
インクコストは、A1サイズ1枚で概ね75円前後です。
リースしている大型複合機コピー機のカウンター料金は、カラーで1枚10円から20円ですから、随分高額です。
紙も普通紙ロールタイプ50mで1,700円程度ですから、定型A1サイズで印刷した場合50m÷841mm=59.4 ですから、用紙だけで1枚あたり30円弱が掛かります。

FAXやスキャン

仮設事務所は充分な広さが無い場合も多く、FAX・コピー・プリンター・スキャナーなどが別途になっていては、機器に多くのスペースが必要になり空間効率が悪くなります。
多くの現場ではそれら全ての機能を備えた、複合機が導入されています。

業界の慣例としてFAXの受信・送信する事が多くなりますが、全てをプリントアウトしていては、膨大な枚数になってしまいます。
FAXの送受信はペーパーレス化が最も進めやすく、電子化を進める事で印刷費用は大幅に印刷コストを削減する事が出来ます。

施工主と現場の打ち合わせは、定期的に行われます。
打ち合わせに必要な図面や参考書類も、スキャンしてタブレットやパソコンで閲覧出来るようにすれば、印刷費用は大幅なコストダウンが可能です。

図面の印刷はコストを考えると、通常のプリンターでA3印刷したくなりますが、細部まで見る事は難しいのが現実です。デジタル化したデータなら、必要な部分だけを拡大して見せる事も可能です。

その他(書類、領収書、掲示物など)

スタッフの勤怠管理や、本社への連絡申請報告・経費精算など、通常の事務書類に関してはA4サイズが多く、通常のプリンターでこなす事が出来ます。

建設現場では安全第一。
事故防止のため、注意喚起の看板や掲示物の表記が必要です。

「段差注意」「頭上注意」「指差呼称」「立入禁止」等の看板掲示物は専門業者に発注しても良いですが、即効性や現場に合った注意喚起のために、耐水性のある用紙を使って印刷する事があります。

顔料インクを使うプロッターが有る建設現場では、CADの使用だけでなく看板印刷にも利用されています。耐水性のあるロール合成紙は30mで概ね15,000円程度です。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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