プリンター・複合機でスキャンデータをPDF化するメリット・方法

ビジネスシーンにおいては、「PDF」という言葉を耳にする機会が多々あります。
しかし一方で、PDFのことがよく分からず、困っている人もいるでしょう。

そこで本記事では、プリンター・複合機でスキャンデータをPDF化するメリット・方法を解説します。
PDFのことがよく分かっていない人は、ぜひ参考にしてください。

目次

そもそもPDF形式とは?

PDFは「Portable Document Format」の略であり、直訳すると「持ち運び可能な文章形式」です。
文字や絵などを実際に紙に印刷した時と同じ状態で、そのままパソコンへと保存できる形式のことを言います。

例えばお客さんから頂いた契約書類をプリンターや複合機でスキャンし、PDFで保存すれば、電子データとしていつでもパソコン上から確認できるようになります。

あらゆる書類の保存方法として、多くのビジネスシーンで活用されているのがPDFです。

スキャンデータをPDF化するメリット

スキャンデータをPDF化すると、以下のようなメリットがあります。

【PDFのメリット①】オフィスの書類を減らせる

PDFで書類を保存しておけば、紙に印刷した書類は破棄できます。もし紙の書類が再び必要になったとしても、PDFファイルからいつでも再印刷可能です。日頃から書類をPDF化するよう心掛けていれば、オフィス周りもスッキリするでしょう。

【PDFのメリット②】書類の劣化や紛失を防げる

紙で書類を保存していると、経年劣化による黄ばみ・紛失が生じたり、うっかり失くしたりすることもあるでしょう。しかしPDFでパソコン内に保存しておけば、劣化や紛失の心配は一切不要です。

【PDFのメリット③】書類をメールでやり取りできる

PDFで保存した書類は、メールで送受信できます。書類の郵送やファックスの手間がなくなるため、業務効率の向上にもつながります。

【PDFのメリット④】セキュリティー強化ができる

PDFで保存した書類は、パスワードを設定して閲覧を制限できます。重要な書類を厳重に管理できる点もPDFのメリットです。

PDFとJPEGの違い

スキャナーで読み取ったデータは、基本的に画像データです。
画像データとして最も一般的なデータ形式は「JPEG」です。1,677万色のカラーに対応出来る上に、コンパクトなデータサイズにする事が可能で、インターネットで利用される画像データの主力として活躍する、世界共通のファイル形式です。

JPEG形式のファイルならば、当然メールで送ることも出来ますし、世界中のどんな端末機器でも相手の環境を問わずに、受け取ったデータを開くことが出来ます。受け取った相手はデータの加工をすること無く、webデータとしてなどインターネットに即利用する事も可能です。

では何故?JPEG形式では無く、PDF形式でスキャンデータを保存する必要があるのでしょうか?

それは、JPEG形式の特性が文章保存に向いていないことが、大きな理由の一つです。
JPEGは、多くの色に対応する事は得意ですが、色数が少なすぎるデータは苦手としています。色の境界がハッキリしている画像は、境目を明確に区別する事が出来ずに、ぼんやりした画質になります。文書文字はその典型で、全体的に冴えない画質データになってしまいます。

写真スキャンしたデータを鮮明に保存するなら、JPEG形式のファイルで保存して、文書保存をする場合は、文字だけでも写真が入っていても、PDF形式のファイルで保存する使い分けも必要です。

PDFだから出来る事

PDF化した書類は、世界中のどんな端末や環境下でも、日本語フォントが入っていないパソコンでさえ、作成者の意図をそのまま伝えることが出来ます。

しかし、それ以上にスキャンしたデータをPDFにする、最も大きなメリットは、「単純に書類文章の画像化ではない」という事です。

PDFは、文字情報と画像情報を区別して保管しています。
もちろん、単純にスキャンしただけでは、PDFファイルが認識しているだけで、人間や扱うパソコンには、具体的に何が書いてあるのかを把握する事は出来ません。書いてある内容に検索をかけても、ヒットすることは有りません。

具体的に文字内容を把握するためには、OCR処理をする事が必要です。
OCR処理の定番は、PDFを開発しているAdobe社がリリースしている「Acrobat DC」というソフトを利用します。PDFを閲覧する「Acrobat Reader」は無料で配布されていますが、こちらのソフトは有料です。

OCR処理が済んでいるPDFデータは、中身を文字文章として把握する事が出来るため、ペーパーレス化で業務効率を上げるのに必須と言えます。必要な書類を、文書内容まで含めて全体検索が可能になります。
また、PDFの文書をword形式に書き出すことや、画像部分をPhotoshop等でデータの再利用する事も、簡単に出来る様になります。

複合機でPDF化するメリット

FAX機能が使える複合機なら、PDFファイルを利用することが、最も始めやすいペーパーレス化です。

受信するFAXを紙で出力することを止めて、PDFファイルとしてデータで保存して、送信する時もプリントアウトした紙をFAXするのではなく、PDFデータをそのままFAXすることが基本です。

受信したPDFファイルをOCR処理すれば、FAX文章を文字データとして保存する事が可能になり、書類の仕分けや整理、後で必要になった時に探す時間が大幅に短縮出来て、業務効率が大幅に上がります。

送信したPDFファイルは紙と異なり、何度でも劣化無く使い回しが可能になります。

PDF化するデメリット

新しく購入する場合は機器導入費用が掛かりますが、スキャン出来る複合機が既に有るなら、デメリットは殆ど有りません。

OCR処理を行うのには、専用の有料ソフトの購入が必要な事と、処理を行うのには一定の時間が必要になり、パソコンの能力により大きく左右されます。業務効率を考えれば、ハイスペックのパソコン導入が必要な場合も有ります。

PDF化してペーパーレス化する事は、当初慣れるまでには手間も時間も掛かります。

プリンター・複合機でスキャンデータをPDF化する方法

プリンター・複合機でスキャンデータをPDF化するにあたっては、まずはパソコンとの接続が必要です。取扱説明書の指示に従い、手持ちのパソコンとプリンター・複合機を接続してください。

細かい手順は機種によって異なりますが、ほとんどのプリンター・複合機では以下の手順でスキャンデータをPDF化します。

①プリンター・複合機にスキャンしたい書類をセットする

原稿送りにセットする場合はスキャンしたい面を上向きに、ガラス面にセットする場合はスキャンしたい面を下向きにします。

②スキャンボタンを押下する

ほとんどの機種においては、ホーム画面にスキャンボタンが配置されています。

③保存先を指定する

PDFデータを保存するフォルダを検索し、選択します。

④スタートボタンを押下する

スタートボタンを押下するとスキャンが開始され、PDFでの保存が完了します。

まとめ

ビジネスシーンにおいて、PDFは必要不可欠な存在です。「PDFで送付してください。」と指示を受けることもあるため、意味や保存方法を理解しておく必要があります。

PDFについて理解し、いざと言うときに困らないよう準備しておきましょう。

この記事を書いた人

はじめまして、東京在中の35歳です。
私は以前某プリンター会社に勤めていました。以前の経験や知識を生かして何かできないかと考え、このブログを運営することにしました。
興味がある方が少しでも見て頂ければ幸いです

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