オフィスで使うプリンターの選び方を紹介

一昔前までなら、オフィスで使うプリンターはレーザープリンター一択でした。
しかし、インクジェットが大幅に進化してビジネスの現場にも広がりを見せています。

オフィスで導入を考えられるプリンターの種類としては、大まかに「家庭用と共通のインクジェットプリンター」「ビジネスインクジェットプリンター」「カラー・モノクロレーザープリンター」「大型複合機コピー機」の4つがあります。

もちろん価格も全く違うゾーンになりますが、得手不得手や必要なニーズを考えて、選び方を解説していきます。

目次

必要な用紙サイズから考える

プリントする用紙のサイズから、選び方を考えてみましょう。
基本的な考え方としては「大は小を兼ねる」です。
どんなに優秀なプリンターでも、設計されたサイズ以上の印刷は出来ません。

ポイントはA4サイズまででOKか?それより大きなサイズが必要か?です。

実際のビジネス文書サイズは、A4サイズが扱えれば充分な事が圧倒的に多いです。
A4サイズより大きなサイズのA3は使わないならば、スペースを占有しない小型プリンターや中型複合機で充分です。各メーカーとも力を入れていて、豊富なラインナップから選ぶことが出来ます。

店頭のPOPなど、人目に付くインパクトを重視するプリント出力するなら、A3サイズが印刷出来ることは大きなメリットになります。
デザイン関係や建築不動産関係の書類は、A4サイズでは役不足で見にくい事も多く、A3サイズ用紙の出力が重宝されています。

印刷所とデータのやり取りがあるなら、実際の印刷する内容よりも一回り大きい位置にあって裁断の位置合わせに使われる「トンボ」と呼ばれる罫線を、ご覧になった事があると思います。
データ自体はA4であってもトンボまで印刷すると、A4サイズの出力では本来のサイズよりも縮小されたプリント出力になってしまいます。こんな場合もA3までのサイズに対応していれば本来のサイズで出力が出来ます。

最近のWebページは、縦に長くなっていることが増えています。
Webページを資料として印刷する機会が多くあるなら、A4サイズでの出力よりもA3サイズの出力の方が、圧倒的に見やすくなります。

カウンター料金はA4サイズでもA3サイズでも、加算される料金は同じ1枚です。普段使うA4資料をA3見開きにして2枚分出力することで、見やすくなる上にカウンター料金を節約する事を日常にすれば、経費節減の上でも大幅に合理的です。

A3タイプは大型複合機コピー機だけでなく、ビジネスインクジェットプリンターや、インクジェットプリンターにも対応している機種があります。

印刷速度から考える

印刷スピードから、プリンターの選び方を考えてみましょう。
印刷速度の比較検討する場合、メーカーによって表記の仕方が異なる上に、何をプリントするのかにもよって、大きく速度が異なるため一概に比べられません。

大量印刷時の速度

一般的に速度を求めるならレーザープリンターと言われてきました。
確かにコンスタントな安定性は、今でもレーザープリンターに分があります。
しかし、昨今のビジネスインクジェットプリンターは、大幅に速度が向上してレーザー方式に迫りつつあります。

大量印刷時の速度をカタログスペックで見るには、プリント速度の項目のipmという単位で掲載されている数値に注目して下さい。
ipm(image per minute)の数値は、国際標準化機構(ISO)が定めた条件に基づき計測された1分間の出力枚数です。

[カラー] 約20ipm(片面)、約11ipm(両面)

[モノクロ] 約22ipm(片面)、約12ipm(両面)

という記載がある機種では、片面カラー印刷で1分間に20枚・モノクロで1分間に22枚の印刷が出来る事を意味しています。

たとえば、200枚の印刷を行う場合、20ipmのプリンターで行えば完了までに10分掛かる事になり、40ipmのプリンターでは5分で完了します。

印刷速度の「ipmとppm」についての詳細は、「プリンターの印刷速度のipmとppmとは」も併せてご覧下さい。

大型複合機コピー機の場合、印刷速度の速さは、そのまま本体価格の高額化に直結しています。
機能的な事に関しては、低価格機も高価格機も大きな違いが無く、必要な機能はオプション装着する事が一般的で、価格差はイコール印刷速度です。

モノクロだけの大量印刷ならデジタル印刷機

学校や学習塾など、同じモノクロ原稿を数千枚単位で印刷する機会が多い現場では、ここにご紹介している通常のプリンターではなく、デジタル印刷機を導入した方がメリットは多くあります。

最初の1枚の出力は、機械が原盤を作成するのに時間が掛かりますが、印刷が始まってからの速度は圧巻で、1分間に200枚程度の印刷が可能になっています。

先ほどの200枚の印刷なら、僅か1分間で印刷作業が完了します。

素早く1枚が欲しい場合の速度

一概にプリンターの印刷速度と言っても、大量印刷時の速度ではなく、最初の1枚が印刷完了するまでの速さが欲しいニーズがあります。

たとえば、顧客対応をするカウンターなどで使用するプリンターは、大量印刷する時の速度よりも、如何にお客様をお待たせしないで、印刷物をお渡しできるか?が重要になります。

この場合に注目するのは、「ファーストプリント速度」と「ウォームアップ速度」です。

ファーストプリント速度は、起動している状態から印刷指示を行って、最初の1枚が印刷出力されるまでの時間です。
ウォームアップ速度は、熱が印刷時に必要になるレーザー方式を採用するプリンターや複合機で、印刷可能になる温度になるまでの時間を言います。
この時間は気温などにも左右されるため一定では無く、印刷に熱が必要無いインクジェットプリンター・ビジネスインクジェットプリンターには、ウォームアップ時間は存在しません。

そのため、電源を入れてから最初の一枚目を出力するまでに掛かる時間は、概してインクジェット方式の方が早く、少量を頻繁に扱う事が多い場合は、ビジネスインクジェットプリンターの方に分があると言えます。

大量に印刷する事が多いなら、速度も安定して速いレーザー方式を選びましょう。

印刷物から考える

何を印刷するかで、プリンターの選び方を考えてみましょう。
通常の用紙にビジネス文章を印刷するなら、レーザープリンターかビジネスインクジェットプリンターが最適です。
大量印刷するなら、迷わずレーザープリンターか大型複合機コピー機を選択してください。
速度も早く、安定して出力することが可能です。

インクジェットのインクには、「染料タイプ」と「顔料タイプ」があります。
一気に大量印刷をしないなら、「顔料タイプ」を使うビジネスインクジェットプリンターは最適な選択です。
レーザー方式では扱えない用紙も幅広く使用する事が出来て、染料タイプのインクジェットと比較して速乾性があり、文字もクッキリ読みやすく実用的です。

写真クオリティの出力が必要なら、「染料タイプ」のインクジェットプリンターが最適です。
ビジネスインクジェットプリンターの中には、文字の黒に「顔料タイプ」を使用してカラー印刷に「染料タイプ」を使うハイブリッド型もあります。

モノクロしか印刷しないなら、モノクロレーザーが最適です。
選び方として難しいのは、普段の多くはモノクロでも、偶にカラーも使いたい場合があります。
モノクロを大量印刷しない場合はビジネスインクジェットも選択にあがってきます。これなら偶にカラーというニーズにも対応出来ます。
モノクロを大量に印刷する場合は、モノクロレーザープリンターの他に、もう一台インクジェットか小型カラーレーザープリンターと併用するのが良いです。

そんな時は初期費用が掛からずに、カラーもモノクロもプリントし放題なのに固定費用でOKの、「プリント革命」のレンタルプリンターサービスは、有力な選択肢になります。
A3タイプOKや、ビジネスインクジェットプリンター・カラー複合機も用意する多彩なラインナップで、ニーズに応えます。ハイブリッドインクタイプもあります。

プリント革命のレンタルプリンターサービスについては、「プリンターレンタルサービス「プリント革命」のメリット」を是非ご覧下さい。

他の要素でも考える

ここまでご紹介した要素以外でも、考えてみましょう。

設置サイズで考える

利用出来る用紙サイズもありますが、それ以上に印刷方式で、プリンターや複合機の筐体サイズは大きく変わってきます。

印刷に熱を必要として、大きなトナーを色数分収納する必要が有るレーザー方式は、インクジェットプリンター・ビジネスインクジェットプリンターと比較して、筐体サイズが大きくなってしまうことは否めません。

限られた場所を有効活用する視点では、インクジェットプリンター・ビジネスインクジェットプリンターの方が適していると言えます。

耐久性で考える

プリンターには印刷枚数による寿命が、必ず訪れます。
大量に印刷する事業所で、度々プリンターを買い換えるのには手間と費用が掛かり、不具合が出て凝れば業務効率も低下します。

印刷枚数の耐久性で考えれば、一般的にレーザー方式のプリンターの方が上です。
連続印刷速度の速い機種の方が、印刷枚数の耐久性も上がります。

消費電力で考える

SOHOや個人事務所などでは、電源事情が限られる事もあります。

レーザー方式は一気に大量の電力を消費するのに耐える、電源関連のキャパシティが必要になり、電源が足らない場合にブレーカーが上がってパソコンが落ちるなど、実用に適さない事態になる事があります。

消費電力と環境問題をセールスポイントにして、今後の戦略を変更するメーカーも出てきています。
エプソンではオフィス向けレーザープリンターから、2026年までに撤退してインクジェット方式に一本化する事を、2022年の11月に表明しました。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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