プリンターを新規で購入する際に気になるものとして、印刷速度を上げる方も多いかと思います。
印刷速度が遅くなると待ち時間が長くなり、ストレスを感じてしまうかも知れません。
そのため機種を比較検討する場合、メーカー公表の印刷速度のスペックをチェックするはずです。
しかしこのメーカー公表スペックを見た上で購入したプリンターを実際に使ってみると、そのスペックほど速く印刷できないというケースもあります。
果たしてそれはなぜなのでしょうか?
プリンター選びを失敗しないためにも、ぜひその原因を知っておいきましょう。
メーカー公表スペックとは?
メーカーで公表されているスペックは、当然ですがすべての印刷内容に対して同じ結果になるとは限りません。
そのため、まずはメーカーが公表しているスペックとは、どのようなものなのかについて説明していきます。
メーカーでは印刷速度の参考としてスペックを記載している場合がありますが、これにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる条件が設定されています。
速度の単位「ipm」とは?
まずよく目にするプリンターの印刷速度を表す単位がこの「ipm」です。
ipmは「images per minute」の略で、日本語で訳せば「1分あたりのイメージ(印刷)」と言うことになり、1分で何枚印刷されるかという数値となります。
このipmというのは、国際的な基準となっていて「ISO( 国際標準化機構)」によって定められています。
数値の見方としてはipmが20(枚)であれば、ISOが指定した印刷イメージを1分間に20枚印刷できるということになり、これはつまり3秒で1枚プリントしていることになります。
ipmはモノクロやカラー、インクジェットとレーザーなど、それぞれの特徴ごとに異なる基準で測定されています。
メーカーによっては「ppm」
ipmに対して独自の単位として用いられているのが「ppm」です。
こちらは「pages per minute」の略で、意味的にはipmとほぼ同じとなりますが、ppmは国際的な標準ではなく、メーカーごとに異なる方法で測定された数値となっています。
ipmとppmの違いは?
ではこのipmとppmには、どのような違いがあるのでしょうか。
ipmはISOが定めていますから、印刷する際の条件が細かく指定されています。
そのため、その条件に従って各メーカー、各機種の数値が出てくるため。ipmが公表されている機種同士であれば、異なるメーカー沖首藤氏で、どちらが高速で印刷できるのかの参考に使えます。
一方のppmはメーカーごとに印刷基準が異なるため、同一のメーカーの機種同士での印刷スピードの比較ができますが、異なるメーカー同士の比較は正確にはできないということになります。
ipmなら他メーカーの機種との比較ができますが、ppmは同一メーカーの比較しかできないと考えておけば良いでしょう。
ただしメーカーによってはipmともppmとも表記されずに、1分あたりの印刷枚数という表現で、スペックを出している場合もあります。
メーカー公表のスピードが出ない理由
さて、ではこのようなメーカーのスペックと比較して実際に印刷する際に速度が遅いという場合には、どのような理由でそうなってしまうのでしょうか。
簡単に言えばメーカーで測定した時の印刷条件と、実際に自分が印刷した際の条件が異なるため、ということになるのですが、その条件というのは次のような要因で変わってくるのです。
メーカーの測定条件と異なる条件で印刷している
まずはメーカーの速度を測定する条件と、実際に自分が印刷する際の条件が異なり、条件が悪くなると印刷速度がスペック通りに出ないということになります。
さらにメーカーのスペックは純粋にプリンターが動作している時間という印刷速度が公表されていますが、実際にプリンターを使用する際はパソコンから印刷の指示を出し、それをプリンターが受け取ってから印刷がスタートします。
そのあたりのタイムラグによって、公表スペックよりも印刷速度が遅いと感じることがあるかも知れません。
パソコンなどのハードウェアスペックが十分でない
もし今使っているパソコンが古い場合、印刷データをプリンターにお車での時間が余分にかかってしまうかも知れません。
あるいは搭載しているメモリーが少なかったり、CPUが古いものだったりする場合、処理に時間がかかり印刷速度のストレスを感じることもあるでしょう。
ネット環境が悪く負荷がかかってデータ転送が遅い
多くのプリンターは社内ネットワークに接続され、ネットワーク経由でパソコンからのデータを受け取ります。
そのためもしこのネットワークの負荷が高く、転送速度が落ちてしまっていると、プリンターに印刷データを送るのに時間がかかり、結果として印刷速度が遅いと感じてしまうこともあるでしょう。
これもプリンター自体の性能ではなく、プリンターまでデータを送る時間がかかっているということになります。
印刷内容のデータサイズが大きすぎて処理に時間がかかる
印刷データは解像度が高い画像を含んでいると、データサイズが非常に大きくなってしまいます。
印刷データが大きくなるとまずそのデータをパソコンでファイル化するのに時間がかかりますし、ネットワークで送信するのにも時間がかかります。
さらにプリンター側でもサイズの大きなデータを印刷するためには、通常よりもそれぞれの処理に時間がかかりますので、印刷自体も遅くなります。
メーカー公表スペックの際に使われている印刷データよりも大きなデータを印刷すれば、当然ながらスペックよりも時間がかかるということです。
印刷キューのタスク量が多すぎて印刷が間に合わない
ネットワークを使って複数の人が印刷を開始し、印刷タスクが多すぎても印刷速度は遅くなります。
プリンターは1枚ずつしか印刷できませんから、複数の人からデータが送られてくると、早い者勝ちで印刷され遅い人は順番待ちになり、その結果印刷が遅いと感じることがあるかもしれません。
プリンタードライバーの設定がうまくできていない
プリンターを使うためにはプリンタードライバーをパソコンにインストールしなければなりません。
このプリンタードライバーはプリンターの機種ごとに用意されていますので、正確にインストールする必要があり、もし異なるものを使っていると基本的には印刷できないのですが、場合によってはなんとか使えるけれど非常に処理が遅くなるという場合もあります。
印刷品質、画質が違う
メーカー公表スペックよりも印刷速度が遅くなるケースとしては、メーカーがスペックのために使っている印刷物の基準よりも、プリント設定でより高画質、高品質にしていると、メーカーの測定時よりも印刷の時価がかかり、処理が遅くなります。
メーカーが公表しているスペックは、高画質で印刷する場合ではなく、標準的な画質で印刷した場合の数値になっていることを忘れてはいけません。
まとめ
メーカーが公表している印刷速度のスペックは、あくまで一般的な印刷をする際の数値となっています。
それが特別に印刷を早くするための条件というわけではありませんが、実際に使用する際にはそれよりも悪条件で印刷している場合もよくあります。
メーカー公表スペックというのは基本的にそう言うものだということを理解し、数値をチェックするのであれば実際にどのような条件でどのような印刷をするのかを事前に考慮して、スペックを比較した方が間違いがないはずです。