コピー機、複合機の月の電気代はいくら?削減方法

業務終了時に照明やパソコンの電源を落とすのは当たり前ですが、複合機コピー機はFAXを受ける都合から、電源を落とすことは殆どありません。

ランニングコストとして、リース代とカウンター料金・用紙代は明確に把握していても、電気代まで考える事は殆どありません。
しかし、複合機コピー機を運用するためには電力が不可欠です。

大まかな電気代の把握と、削減方法について解説します。

目次

一般的な消費電力はどれくらいか

扇風機や照明と違い、複合機コピー機の電力消費は常に一定では無い事は、想像つきますよね。
一番電力を消費するのは、やっぱり印刷する時?と考えがちですが、不正解です!
各メーカーとも、機種ごとの状態による消費電力数値を公表しています。

  • ■最大電力
    最も電気を消費するのは、印刷する準備を整える時です。
    具体的には、複合機コピー機の電源を入れた時・待機状態から復帰する時です。
    ○平均値としては1,100W~1,500W
  • ■動作時(稼働時)平均電力
    印刷している最中の消費電力で、継続して動作している平均値です。
    ○平均値としては400W~600W
  • ■待機時電力(実際に使っていない状態)
    スタンバイ状態での消費電力です。
    ○平均値としては100W~150W
  • ■スリープモード(一定の時間が経過)
    最も消費電力が少ない状態です。
    ○平均値としては0.5W~3W

待機時電力・スリープモード電力が絶対時間では多くなるので、各社とも消費電力を少なくすることに力を入れています。

新しい機種ほど優秀な数値が出ています。

月間の電気代

上記の様な数値が機種ごとに出ていても、実際にかかる電気代はどれくらいなのか?解りにくくピン!と来ませんよね。その目安として有効なのが使用実態を想定したTEC値です。

TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略です。
財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値で、概念的1週間(稼働とスリープ/オフが繰り返される5日間+スリープ/オフ状態の2日間)の消費電力量(TEC消費電力量)(Wh)を指します。

一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会の発表では、2005年と2015年を比較した場合、消費電力量(TEC消費電力量)は80%削減していることを明らかにしています。
つまり、いつ頃のどんな機種を使っているか?(TCE値はいくらか?)で電気代は変わります。

具体的に計算してみます。
電気料金は、電力量1kWhあたり27円(税込)(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会による新電力料金目安単価)27円/kWh
週は年間52週とします。

  • ■2005年 機種
    消費電力量(TEC消費電力量)11kWh/週
    11kWh/週×52週×27円/kWh=15,444円(年間の電気代)
    15,444円÷12ヵ月=1,287円(月間の電気代)
  • ■2015年 機種
    消費電力量(TEC消費電力量)1.9kWh/週
    1.9kWh/週×52週×27円/kWh=2,668円(年間の電気代)
    2,668円÷12ヵ月=222円(月間の電気代)

コピー機やプリンターの電気代削減方法

機種変更

上記の年間差額は、12,776円になります。
調子が悪くないからという理由で、古い機種を使い続けると「電気代」というコストを余分に払っている可能性も考慮して、新しい機種に入れ替えるのは解りやすい削減方法です。

コピー機複合機の多くは、レーザープリンター方式を採用しています。レーザープリンター方式は、電気を熱に変える事で印刷作業を行うため、本来多くの電力を消費します。電気ストーブやドライヤーの消費電力が大きいのも、同じ理由です。

消費電力の優等生と言えばLED照明ですが、それ以前の蛍光灯も白熱電球と比較して大きな節電効果をもたらしました。その蛍光灯の消費電力を同様に計算すると、一般的な40Wの蛍光灯を週に5日10時間程度利用すると仮定すれば、1週間の消費電力は2kWh/週になります。前述の新しいコピー機では1.9kWh/週ですから、蛍光灯と比較しても電力を消費しないことに驚きます。

思った以上に、新機種に替える事は節電効果をもたらします。

印刷するタイミングをまとめる

最大電力は前述にあるように、印刷する準備を整える時に消費します。
この状態をなるべく発生させないように、印刷し始めたらまとめて一気にすることで、結果的に電気代は節約出来ます。

ビジネスインクジェットプリンターを加える

「オフィスにインクジェットプリンター?遅いし、文字が滲んで見にくいし、家庭用でしょ?」という、インクジェットプリンターに対して、家庭で使う写真印刷用と考えていらっしゃるなら、それは大きな誤解です。

確かに、以前のインクジェットプリンターはそうでした。しかし、現在はインクジェットプリンターの弱点を潰した「ビジネスインクジェットプリンター」が、オフィスに次々と導入されています。

インクを用紙に染みこませるのでは無く、レーザープリンターに近い、用紙にインクを乗せる「顔料インク」を使っているので、文字は鮮明で滲みにも強く、マーカーを利用しても文字が崩れません。印刷スピードもレーザープリンターに迫る勢いです。

ビジネスインクジェットプリンターは、コピー機で多く採用されているレーザー方式とは異なり、印刷時に熱を必要としないため、消費電力も大幅に抑えられます。機種やサイズにより異なるため一概には比べられませんが、概ね最大電力では1/10以下・1週間の消費電力量でも約半分になって、大幅に電気代が削減出来ます。

こまめにちょこちょこ印刷する場合でも、ファーストプリントが早く消費電力も抑えられます。

今利用しているリース導入の大型複合機コピー機に加えて、ビジネスインクジェットプリンターの複合機タイプを導入すれば、電気代の削減だけでなく、業務が集中しても分散することが出来て効率も上がります。
プリント革命のレンタルプリンターサービスを導入すれば、月額の定額レンタル料のみで初期費用も掛からない上に、カウンター料金も発生しないため、電気代以外にも多くの経費を削減出来ます。

スリープモード・省エネモードの活用

多くの複合機コピー機には、省エネモードが搭載されています。
待機時の消費電力を極力抑える機能をONにしましょう。

印刷が終了してからスリープモードに切り替わる時間は、設定で切り替える事が出来ます。
短めの設定にすることで、節約に繋がります。より細かく、定時以降や曜日時間帯なども自動的にスリープモードに切り替えるなど、活用しましょう。

コピー機複合機の利用の仕方によって、活用の仕方も変わってきます。
長時間利用しない場合は当然スリープモード・省エネモードは、節電に対して有効に働きますが、節電モードから通常モードに起動する時に大きな電力を消費するため、頻繁にコピーをするオフィスでは、通常モードを継続する方が電力を消費しない可能性が有ります。

最新機種では、「オートパワーシャットアウトモード」機能が搭載されているものが有ります。各社使わない時の節電について力を入れていますが、これは徹底的に電気を消耗しないモードで、待機状態時にタッチパネルや定着部の電源を完全に落として、最も低い消費電力の状態にします。
もし機能として付いていても使っていないなら、このモードを使う事で積極的な節電に繋がります。

機器の統合

FAXやプリンターなどが別に設置されている場合、複合機コピー機に集約することで消費電力は抑えることが出来ます。

電力会社の変更

2016年に電気の自由化が行われて、電力会社を自由に選べるようになっています。
オフィスの使い方にあったプランを提供してくれる電力会社に乗り換える事で、複合機コピー機だけでなく、電気代全般の削減に繋がる事もご検討してみては如何でしょうか?

電力会社変更には、工事等は不要で手続きのみで完了します。

無駄な印刷物の撲滅

そのプリントは、本当に必要ですか?ペーパーレスへのチャレンジも、是非ご検討ください。
無駄な印刷をしないことで、電気代だけでなくカウンター料も節約出来て、環境保全にも繋がり、業務効率化も実現します。

 電気代削減をする時の注意点

コピー機・複合機の電気代は、削減出来ることに越したことはありません。
オフィスで電気代削減をする時の、NGをまとめてみます。

電源はOFFにしない・コンセントを抜かない

節電機能を使っていても、少ないながら電力を消耗しています。
完全に電気を使わないためには、コンセントを抜けば・・・と考えたくなりますが、基本的にNGです。

特に、ビジネスインクジェットプリンターのコピー機・複合機では、コンセントさえ入っていれば電源がOFFになっていても必要な時には自動的にクリーニング作業を行います。
これは、インクの凝固を防ぎ印刷品質を保つのに必要な行為です。OFFにしておくと、使おうと思った時に利用出来ないだけでなく、復帰するのに多くのインクを消耗する事になります。

レーザープリンター方式の複合機では、夜間の使わない時間帯にコンセントを抜くオフィスもありますが、復帰時に大きな電力を消費する上に、FAXの受信が出来なくなるため、オススメしません。

印刷をしない

電気代節約のために、印刷枚数を減らすことは理にかなっていますが、業務効率を考えれば、必要な物まで印刷を躊躇すれば本末転倒です。

ペーパーレス化する事も印刷をしない事に繋がりますが、計画的に導入をせずに、闇雲に号令だけ掛ければ、業務効率は著しく低下します。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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