プリンターの印刷する方式で、主に利用されているのはインクジェット方式とレーザー(LED)方式です。
レーザー方式は、オフィスで利用されている大型複合機コピー機も多くはそうですし、中型の複合機でも採用されるなど、仕事で利用するプリンターで多く見かけます。
インクジェットプリンターでは、インクを直接用紙に吹き付けて印刷を行いますが、レーザープリンターでは、トナーと呼ばれる粉を、熱処理をして用紙に定着させますが、直接用紙にトナーを乗せる事はしていません。
では、どうしているかというと、トナーを別のパーツに付着させてから、用紙に転写する工程を経て印刷が行われます。
この付着させる別のパーツが、ドラムと呼ばれるものです。
ドラムはメーカーによって、呼び方が異っています。
「感光体」や「ドラムユニット」と呼ばれる事も有りますが、今回は表記を「ドラムカートリッジ」に統一します。
ドラムカートリッジの役割や交換のタイミング、廃棄方法について解説します。
ドラムカートリッジとは
ドラムカートリッジを理解するには、レーザー方式のプリンターの印刷工程を簡単に見ていきましょう。
レーザープリンターの印刷工程
- ドラムの表面全体に、帯電ローラーによってマイナス静電気を帯びさせます。この工程でドラムは数百ボルトの高電圧になっています。
- 帯電しているドラムに向けて、レーザー(LED)を照射することで、当たった部分の静電気が除去(電圧が下がる)されます。レーザー方式と呼ばれている所以です。
- 帯電させたトナーをドラムに接近させると、ドラムの電圧が下がった部分にトナーが付着します。
- 用紙を送り出してドラムに密着させて、用紙にトナーを転写します。用紙の裏側からプラスの電荷を与えているため、トナーは用紙側へ吸い寄せられていきます。この状態は、トナーが用紙に乗っかっているだけです。
- 定着ローラーの熱と、加圧ローラーの圧力工程を経る事で、しっかりとトナーを用紙に定着させます。
ドラムカートリッジは原盤
ドラムカートリッジは、印刷する原稿の原版の役割を担っていることが、印刷工程を見ればご理解頂けると思います。
ドラムは非常に繊細なパーツで、帯電不良や少々の傷でも印刷結果に大きな影響を及ぼす重要な部品です。
丁寧に扱っていても、経年劣化や印刷枚数によって、本来の実力を出すことができなくなります。
交換の目安となるタイミング
ドラムカートリッジには、「一体型カートリッジ」と「分離型カートリッジ」の2種類があります。
一体型カートリッジ
一体型カートリッジは、ドラムとトナーが一つにまとまっています。
トナーを消耗して交換するときに、ドラムごと交換されます。
コスト的には割高になりますが、ドラムの交換時期を気にしなくても良く、メンテナンスも簡単なため、大型複合機コピー機では多く採用されています。
分離型カートリッジ
分離型カートリッジは、ドラムとトナーが別々のパーツになっているタイプです。
交換時期が近づくと、プリンターのディスプレイに「ドラムカートリッジを準備して下さい」の表示が出ます。
しばらくはそのまま使用出来ますが、「ドラムカートリッジを交換して下さい」の表示に変わったら、交換を行って下さい。
ブラザーのレーザープリンター・複合機は、この方式を採用してるケースが多いです。
カートリッジの廃棄方法
トナー一体型のドラムカートリッジの廃棄処分については、トナーカートリッジの処分と同意義です。
トナーカートリッジは一般のゴミ処理や廃棄は、危険を伴うだけでなく、環境保護やSDGsの観点から見ても大いに問題が有ります。
一体型ドラムカートリッジ(トナーカートリッジ)の処分に関しては、別項の「トナーの廃棄方法って?使用済みでも安全に処理する方法を解説」を、合わせてご拝読頂ければ幸いです。
分離型ドラムカートリッジの処分方法も、基本的には一体型と同様です。
メーカーの回収サービスを利用する
ドラムカートリッジの処分はトナーカートリッジと合わせて、メーカーの回収サービスを利用することが一般的です。
回収サービスについてはメーカーによって対応が様々ですが、無償で対応してくれるケースがほとんどです。一箇所に不要になったカートリッジ類をまとめておき、引き取りに来た際に渡すようにしましょう。
各メーカーは、地球環境維持改善に対して、大きな意欲を持って臨んでいるケースが殆どです。そのため積極的にトナー・ドラムカートリッジの回収を行っています。
〇キャノン
使用済みトナーカートリッジを1点から無料で訪問回収するサービスです。
上記のサイトからオンラインで申し込むか、FAXで申し込むこむ事が可能で、その際に利用するフォーマットのPDFデータもサイト内にあります。
〇エプソン
web上から回収サービスを頼める他、先述のベルマーク活動の申込みも、このサイト上で可能です。
FAXでの依頼も可能です。
〇ブラザー
訪問回収がweb上から申込みが出来るだけでなく、電話やFAXでも依頼をかけることが可能で、回収時の注意なども解りやすく解説されています。
輸送による環境への負荷低減、資源エネルギーの消費低減の為、複数本での回収を呼びかけています。
〇コニカミノルタ
回収の申込みは電話(フリーダイヤル)になります。
日本通運が代行して回収を行っています。
〇京セラ
web上から回収の申込みが出来て、FAXでも可能です。
専用の申込用紙もPDFで配布しています。
〇リコー
販売会社・販売代理店の回収が基本になっていて、1本でも回収に来てくれます。
FAXで回収依頼を行うことも可能です。
〇シャープ
回収出来るトナーカートリッジが、細かく表記されています。
指定カートリッジ以外は、「お買い上げの販売店にお問い合わせ下さい」というスタンスです。
回収申込みは、フリーダイヤルので申し込みます。
日本通運が代行していて、無料で回収引き取りにきてくれます。
〇東芝
シンプルにFAX依頼書の案内がされています。
〇富士フィルム
基本的にはweb上の申込みのみです。
販売店に回収をお願いする
ドラムカートリッジを販売しているショップが、ドラムカートリッジを無料回収している事があります。
一例として、事務用品通販アスクルが行っています。
お客様がご使用されたレーザープリンター用トナーカートリッジ(ドラムカートリッジ、感光体ユニットを含む)回収について
プラスティックゴミとしての処分は可能ですが・・・
ドラムカートリッジを、トナーカートリッジと同様に産業廃棄物として処理したり、自治体によっては不燃物として処理したりする方法もありますが、環境保護の観点から回収に協力する方が処理方法としては適切です。
大型複合機コピー機でカウンター保守契約を結んでいる場合は、ユーザーがトナーカートリッジと同様に、ドラムカートリッジの処分について頭を悩ませる必要はありません。サービスマンにお任せしましょう。