プリンターの印刷速度のipmとppmとは

プリンターの導入を検討する時には、大切な要素が色々あります。
特に仕事の現場で使用するプリンターは、その環境に合わせた印刷速度が重要になります。

カタログを見てみると、見慣れない単位で書いてある数値に、面食らったことありませんか?
比較検討するのには、単位が解って比べる方がしっかり理解出来ます。

印刷速度の基準には、一枚をより早く印刷したい時に重要な速度と、大量に印刷する場合に時間が掛からない速度の二つがあります。

これを理解すれば、プリンターのカタログを見たときに、この機種はどんなスペックなのか?大量プリントには向いているのか?素早く1枚が印刷出来るのか?など、利用する用途によって見分けることが可能になります。

プリンターの印刷速度について解説します。

目次

3つの印刷速度

印刷速度と一口に言っても、色々な基準があります。
大きく分けると次の3つです。

プリンターに「どんな生産性を求めるか?」の、重要な指針になります。
求める生産性が明確になっていれば、注意する視点が変わってきます。

より詳細な情報は、「プリンターの印刷速度は大量印刷か、素早く一枚かを確認しよう」も、併せてご覧下さい。

ウォームアップタイム

プリンターやコピー機が、立ち上がるまでの時間です。
ウェイトタイムとも呼ばれ同じ意味です。

完全にOFFの状態から電源を入れる・スリープモードが解除されてから実際に操作が可能になるまでの時間を指しています。

レーザー方式の場合、冷え切ったままでは正常に動作しません。
定着器を一定の温度まで暖める必要があり、置いてある気温にも影響されます。
インクジェットプリンターと比較して長くなる傾向があります。

ファーストプリントタイム・ファーストコピータイム

プリンターやコピー機が既に立ち上がっている状態で、プリントの場合は印刷指示を出してから・コピー機の場合はコピーボタンを押してから、一枚目が出力されるまでの時間を指します。

ファーストプリントタイム

数枚の印刷を多様に行う事業所では、ウォームアップタイプとファーストプリントタイムの合計時間が、重要な指針になります。
連続印刷速度がどれだけ速くても、少数の枚数を繰り返し行う場合、印刷を指示してから印刷終了までの時間が長くては、業務効率が悪くなるからです。

たとえば、ウォームアップタイムが14秒・ファーストプリントタイムが8秒になっている場合、印刷開始の指図から1枚目が印刷出力されるまでに要する時間は、概ね22秒ということになります。

モノクロとカラーでは、変わってくる事が一般的です。

ファーストコピータイム

コピーの場合は印刷速度に加えて、コピーの読み取り速度が重要です。

コピーでは、原稿読み取り速度にも注目してください。
読み取り速度はコピーだけで無く、ペーパーレス化に必要なスキャナー機能にも共通しますので、使う用途に応じてスピードが速い機器を選択すれば、生産性はおのずと高くなります。

少々余談になりますが、多くの書類をコピー・読み取る事が解っているなら、ADFと呼ばれる原稿自動送り装置が装着されている機器が、仕事の効率を大きく上げます。
その場合は、用紙がセット出来る最大枚数にも注目してください。

仕事の用途にもよりますが、昨今では効率重視と経費削減から両面印刷が増加しているため、両面同時に読み取れる機能が有ると、業務効率の向上が期待出来ます。
大量の両面印刷された書類を、1枚1枚ひっくり返す作業が不要になる事を考えれば、増加するコストを業務効率アップで取り戻すことは難しく有りません。

また、ADFを使って大量の原稿を読み込む場合、内蔵のメモリーが大きいほど、処理に余裕が出来て時間が短縮され、トラブルも少なくなり業務効率が上がります。
カタログ値で比較してみてください。

一枚から数枚の印刷を都度行う機会が多い場合は、ここまでのウォームアップタイプと、ファーストプリントタイムの合計時間に注目して選んでください。

連続複写速度・連続印刷速度

プリンター連続印刷速度・コピー機なら連続複写速度は、1分間に4Aサイズの用紙が何枚出力出来るかが基準になります。

大量に印刷・コピーする場合は、この速度が大きく作業時間に関わってきます。
大量に印刷する場合は、この速度が最も大切です。

意外と見逃しがちですが、片面印刷が速い機種でも、両面印刷では劣るケースがあります。
両面印刷を良く利用するなら、片面印刷の速度だけで無く、両面印刷の速度にも注力しておく必要が有ります。

ipmとppmとは

大量印刷する場合に、最も重視したいポイントが連続印刷速度です。
この単位は、以下の2つがあります。

ipm

主にビジネスインクジェットプリンターの、連続印刷速度を表す基準単位です。
この数値が大きければ大きいほど、印刷速度は早く生産性が高くなります。
単位のipmはimage per minuteを略した単位で、国際標準化機構(ISO)が定めた条件に基づき計測された1分間の出力枚数です。

1分間の間に何枚出力出来るかの枚数を表しています。
ipmでは、異なる内容データを連続印刷した数値を表します。

ppm

ppmはpaper per minuteを略した単位で、ipmとは異なりメーカーが独自に決めた条件による算出値です。
そのため、「A4横のカラー約20ppm(当社測定値)」の様に表記されています。

1分間の間に何枚出力出来るかの枚数を表しています。
ppmでは、同じ内容データを連続印刷した数値を表します。

レーザープリンターの場合は、印刷する内容に関わらず一定のスピードで紙を送り出し、一気に印刷する仕組みであるため、ipmとppmの差は殆ど出ません。

ipmとppmの違い

どちらの単位も、1分間に印刷出来る枚数を表していて、数値が大きいほど大量印刷に掛かる時間が短くなります。

印刷速度は、何を印刷するか?でも変わってきます。また、使用しているプログラムやパソコンの能力・出力までの伝達方法でも異なってきます。
どちらも一つの指針として見てください。

ipmは同じ基準で測られるため、異なったメーカーで機種を比べる時に用いる基準です。
対してppmはメーカー独自の基準のため、同一メーカーの中で比較検討する場合の指針になります。他社との比較は一概に出来ません。

一般的には印刷速度が速いと高額になる

プリンター・コピー機のスペックにおいて、一番の指針になるのが印刷速度です。
印刷速度に応じて機器の価格が大幅に変わります。

印刷速度による金額差

当然ハイスペックの高速タイプなら高額になり、低速モデルなら安価になります。
同じメーカーでも印刷速度の違いだけで価格は大幅に異なり、大型複合機コピー機では、20枚程度/1分間の機種と50枚程度/1分間の機種での金額差は、100万円以上になります。

一般的に利用されるタイプでは、印刷速度が変わる以外において、出来る事は殆ど変わりません。
必要な印刷速度の機種に、利用したい機能はオプションで追加するのがオーソドックスです。
一例として同一メーカーで、連続複写速度と販売価格を見てみましょう。

RICOH(リコー)のデジタルフルカラー複合機の販売価格(税抜)は、以下の通りです。

・RICOH IM C6000          2,440,000円~    カラー60枚/分 モノクロ60枚/分

・RICOH IM C5500          1,960,000円~    カラー55枚/分 モノクロ55枚/分

・RICOH IM C4500          1,710,000円~    カラー45枚/分 モノクロ45枚/分

・RICOH IM C3500          1,490,000円~    カラー35枚/分 モノクロ35枚/分

・RICOH IM C3000          1,270,000円~    カラー30枚/分 モノクロ30枚/分

・RICOH IM C2500          1,070,000円~    カラー25枚/分 モノクロ25枚/分

印刷枚数と印刷速度の関係

目安としては、月に印刷合計枚数が3,000枚程度なら、20枚~30枚/1分間程度の印刷速度を持つ機器で充分対応出来ます。

5,000枚以上をコンスタントに印刷する環境では、金額が張るのを覚悟してハイスペックな高速タイプを導入するか、中型複合機を複数台導入する事が合理的です。

印刷速度は業務効率を上げるだけでなく、機器の寿命にも大きく関わってきます。
印刷速度が速い機種では、設定された耐久枚数も多くなっていて、印刷速度が遅い機種では、設定された耐久枚数も少なくなっています。

法定耐用年数の5年をスムーズに利用する為にも、適正な印刷速度の機種を選ぶ事がポイントです。

詳細については「印刷枚数から見る、複合機の最適な速度はどれぐらい?」も併せてご覧下さい。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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