コピー機、複合機の多くには、書類をデータ化する「スキャン機能」が用意されています。
スキャン機能はパソコンに接続して読み込んだ書類をデータ化して保存できるようになります。
このデータ化の際に、一つ気をつけておきたいポイントがあります。
それは、データをどのような「形式」で保存するかという問題です。
データ形式にはいくつかの種類があり、それぞれの形式が異なる特徴を持っています。
そのため、目的別に保存するデータ形式を選ぶことが、効率の良いデータ管理を実現し、さらにその後使いやすいデータとなるわけです。
そこで今回は、コピー機でスキャンしたデータを、どんなファイル形式で保存できるのか、そしてどんな違いがあるのかについて、説明していきます。
スキャンデータの保存形式の種類と概要
まずはコピー機でスキャンした書類をデータとして保存する際に、どんなファイル形式が選べるかについて見ていきましょう。
基本的にスキャンしたデータというのは、一枚の「画像ファイル」として扱われます。
そのため、スキャンしたデータは画像ファイルのデータ形式で保存するのが一般的です。
JPG(JPEG)形式
まず画像ファイル形式として一般的なのが、このJPG形式です。
JPGというのはWindowsで扱う際のファイルの拡張子で、ファイルの形式としては「JPEG」と呼ばれます。
JPGは非常に汎用性の高いファイル形式で、画像を扱うアプリのほぼすべてで利用でき、ウェブブラウザで表示するウェブページの画像としても使用されています。
PDF形式
スキャンする原稿がビジネス文書の場合、保存形式としてこのPDFも選択肢となります。
PDFは本来画像のファイル形式というよりも、ビジネス文書をデジタル化するためのフォーマットとして使われています。
ただしスキャンした書類を画像としてPDFで保存するという方法も、現在では珍しくはありません。
PNG形式
PNGはJPGと同じように、画像ファイルの保存形式の一つです。
PNGの特徴は、背景を透明にする形式で保存できることにありますが、ビジネス文書をスキャンして保存する場合には、あまりその特徴は意味がありません。
TIFF形式
TIFF形式もJPGやPNGと同じように、画像を「ドット」として保存する形式で、古くから存在するものです。
ただし近頃ではあまり使われる機会がなく、若干古い仕様のファイルとなります。
XPS形式
XPSはマイクロソフトによる電子文書の形式です。
本来XMLという言語がベースとなっている形式で、画像そのものの保存形式とはやや異なります。
ビジネス文書で使うのはJPGかPDF
このようにスキャンした書類を画像として保存する場合、いくつかの形式があるのですが、この中で実際に使用するのは、JPGかPDFの二択となります。
そのほかの形式は一般的ではあるものの、汎用性に欠けたりやや仕様が古くなっていたりという問題点もあり、恒久的な保存を前提とするのなら、やはり標準形式ともいえるJPGかPDFが望ましいといえます。
JPGで保存するメリット
ではまず、JPGかPDFファイルの特徴について説明していきましょう。
JPGはファイルサイズを抑える圧縮された画像ファイルとして歴史が長く、汎用性の高い非常にメジャーなファイル形式であることが大きなメリットとなります。
ファイルサイズを軽くできる
メリットとしてあげられるのは、画像を圧縮することでファイルサイズが小さくなるという特徴です。
これは画像を形成するドットを一部省略することで、ファイルサイズを小さくするという技術が使われ、いまだに画像ファイルの形式として標準形式といっても良い地位を保ってます。
画質に合わせて圧縮比率を設定できる
この画像の圧縮率は画質に合わせて設定でき、高画質にしたい場合は若干ファイルサイズを大きくし、逆にファイルサイズを小さくしたい時は画質を落として保存するという、使い道に合わせた圧縮率が設定できるのも大きな特徴となります。
読み込めるアプリが多い
JPGは歴史にあるファイル形式で、圧縮する画像ファイル形式の先駆者のため、多くのアプリで利用可能なのもメリットとなります。
JPGで保存するデメリット
ではその一方で、JPGを使うデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
圧縮するため画質が劣化する
まずひとつは、画素を圧縮するため、元の画像と比較すると画質が劣化してしまうというのがデメリットとしてあげられます。
高画質な写真は圧縮すると画質が落ちてしまいますし、細かな文字なども圧縮するとにじんだりぼやけてしまい、場合によっては読みにくくなる場合もあります。
元のデータには戻せない
JPGの画像圧縮は「非可逆的」な仕様となっているため、一度圧縮してしまうと元の画質には戻せません。
そのためオリジナルの高画質画像を残しておきたい時には、JPGで保存するのは望ましくありません。
PDFには二つの使い道がある
ではスキャンデータを保存する、もう一つのファイル形式PDFには、どのような使い道があるのでしょうか。
PDFはもともと文書ファイルなどを汎用的に使えるようにするためのファイル形式で、画像そのものを保存するものではありません。
例えばWordで作った文書を、他のアプリでも閲覧できるように「PDFで書き出し」するような使い方が、本来の目的となっています。
しかし現在では画像そのものをPDFで保存することも珍しくなく、スキャンしたデータをPDFで保存することも多くなっています。
PDFで保存するメリット
ではPDFですキャンを保存するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
PDFはファイル形式として標準的な位置づけにありますので、多くのアプリやスマホでそのまま閲覧ができるというのがメリットとなります。
さらにファイル圧縮機能もありますので、JPGと同じようにファイルサイズを低減できます。
PDFでで保存するデメリット
ただしPDFのファイルサイズはJPGほど軽減できず、ファイルサイズ的には若干大きくなりがちです。
さらに閲覧は多くのアプリで対応していますが、PDFを直接編集するアプリはあまりありません。
なぜならPDFはフォトショップなどで有名なアドビ社の規格で、アドビ社がファイルに関する権利も有しているため、編集するためにはアドビの有料アプリが必要となるからです。
ただし画像編集アプリなどでPDFを開くことは可能ですから、ファイル形式をアプリ上でいったん変換して編集することは可能です。
目的別オススメファイル形式は?
さてこのようにコピー機でスキャンした書類を保存する際には、JPGやPDFで保存するのが一般的ということになります。
では実際にはそのどちらを使うのが正解かといえば、それぞれの特徴を活かして利用するのが正解といえます。
スキャンした書類のデータを、画像データとして考えれば、一般的にはJPGで保存しておけば問題ありません。
JPGは歴史が長く、これまでの遺産としてたくさんのJPGファイルが蓄積されていますので、それを活かすために今後急激にJPGが使えなくなるということは、考えにくいはずです。
一方でPDFは書類の電子化のためのフォーマットともいえ、WordやExcelで作られたデータを、閲覧専用ファイルとしてPDF保存することもよくあります。
そのような電子データと混在して、コピー機でスキャンした書類を保存するのであれば、ファイル形式を統一するという意味でPDF保存した方が、利便性が高まることが多くなります。