プリンターは小型から大型まで様々あり、印刷方式も異なりますが、共通しているのは精密に制御されて動く、精密機械であるということです。
精密機械でありながら可動部分は非常に大きく、オフィスに設置してあるプリンターでは、不特定多数が様々な利用方法を毎日する特異な機器という特性があります。
だからこそ、ちょっとした気遣いや使い方によって、プリンターの寿命は大きく変わってくる可能性があります。
プリンターの機器としての寿命を知るだけで無く、長く使うためのポイントを解説します。
プリンターの寿命はどれくらい?
プリンターの印刷方法は、大きく分けて2種類に分けられます。
インクジェットプリンターとレーザープリンターの寿命について、それぞれ見ていきましょう。
家庭用インクジェットプリンターの場合
通常の家庭で利用されているインクジェットプリンターでは、概ね「耐久枚数」が2万枚程度、「耐用年数」が5年程度になっていますが、メーカーや機種によっても異なっています。
実情を考えれば、生産終了から5年程度で保守パーツを含めた部品のストック管理が終了して、それ以降は故障が起きても修理することも叶わなくなり、使えなくなれば完全に寿命ということになります。
故障したインクジェットプリンターは、保証期間中なら別ですが、実費を支払って修理することを選択するユーザーは少なく、修理費の金額と新品に買い換える金額を比較すれば、大差が無い現状があります。
インクジェットプリンターの寿命は、機種によって異なるだけで無く、使い方によっても異なってきます。
単純に印刷枚数だけで無く、インクを大量に使用する高画質の写真印刷をメインで使用しているのか?ビジネス文書が多いのか?でも変わって来ます。
インクを大量に使うケースの場合、耐用年数や耐用枚数の前に、「印刷ヘッドの寿命」か「廃インクタンクの満量」が、多くの場合寿命とイコールになります。
通常のビジネス文書等が多い場合、毎月300枚程度を5年間の間で印刷すると、「耐久枚数」の2万枚に到達します。
レーザープリンターの場合
法定耐用年数を基準にして、「耐用年数」は5年で設計されています。
レーザープリンターは、インクジェットプリンターよりも、概ね「耐用枚数」は多くなっています。
SOHOやスモールオフィスに導入されている、レーザー中型複合機では、概ね10万ページから30万ページが「耐久枚数」になっています。
オフィスに設置されている、大型複合機コピー機の「耐久枚数」は、メーカーや機種によって大きな違いがあり、5万ページ程度から300万ページまで、大きな差が有ります。
レーザープリンターの「耐用枚数」は、印刷速度に応じて設計が変わってくることと、大きな相関関係があります。
大量印刷が可能になっている速度を持つスペックの機種では、耐用枚数も多くなります。
プリンターの寿命のサインとは
プリンターの寿命が近づいているサインとしては、いくつかの確認ポイントが挙げられます。
印刷がかすれている
ポピュラーなのは、正しく印刷を実行できない症状です。何度やっても文字がかすれたり、色が正しく反映されなかったりなど、印刷そのものに問題がある場合には寿命も考えられます。
ただ、そんな症状が出ても、パーツの交換や処置だけで蘇ることもあるので注意が必要です。
インクジェットプリンターの場合は、インクが固まってヘッドが正常に機能していないケースが多く、ヘッドクリーニングを行う事で改善する事があります。
レーザープリンターの場合は、定着ドラムに問題が有るケースでは、パーツを交換することで正常な印刷に戻る場合があります。
異音がする
プリンターから異音が発生するなどの場合も、寿命が近づいているサインとなります。
中のパーツが正常に稼働しなくなった場合に、異音がする事が多く、主な原因はパーツの経年劣化と使用による劣化によるもので、継続使用は控えた方が良いです。
大型複合機コピー機で保守契約を結んでいるなら、すぐにサービスマンに連絡を取り、通常のレーザープリンターやインクジェットプリンターでは、多くの場合で寿命と判断できます。
ごく希にですが、中に異物が入り込んで音が出ているケースもあります。
そんな場合なら、取り除くことで正常に戻ります。
正常に用紙が送られない
印刷時の用紙が正常に入っていかなくなったり、数枚が同時に入ってしまったりする症状の頻度が増えてきたら、紙を取り込むローラーに問題が起こっています。
ローラーに用紙の垢とも呼べる紙粉で汚れている場合は、クリーニングシートなどを利用するか、薄いアルコールを使って拭き取れば、問題無く利用出来るケースもあります。
しかし、ローラー自体が劣化している場合は、継続利用をする事が難しく、機種によっては買い換えか修理を迷う事になります。
インクジェットプリンターや小型のレーザープリンターでは、買い換えた方が安くつくケースが多くなります。
ドライバが対応しなくなった
ドライバはパソコンとプリンターを繋ぐソフトウェアで、メーカーが機種ごとにドライバを用意しています。
ドライバはパソコンのオペレーションシステム(OS)ごとに変わり、OSの中でもビット数やバージョンによっても細かく異なる場合が多く、全てのOSバージョンに対応することには無理があります。
耐用年数を経過したプリンターで、新しいOSに対応する事は少なく、利用するパソコンのOSに適したバージョンの、ドライバがリリースされなくなれば、ハードとしてのプリンターに問題が無くても、プリンターは利用しようが無くなり寿命と言えます。
既にサポートを終えたOSでなければ、古いパソコンで利用することも出来ますが、サポートを終えたOSのパソコンで利用する場合は、ネットワークからは外して単独利用する必要があります。
プリンターを長く使うためのポイント
寿命は必ず来るとはいえ、必要以上の負担は避けて少しでも長くプリンターは使いたいものです。プリンターの長寿に必要なポイントを押さえましょう。
純正消耗品を使用する
インクやトナーの消耗品は、メーカー純正の物と、サードパーティーによる互換品やリサイクル品があります。
問題が無いのは当然純正品ですが、価格が非常に高価です。
サードパーティーによる消耗品は、ピンキリで商品のレベル差が著しくあります。
安いだけで飛びつくと、プリンターの寿命を確実に縮めてしまう粗悪な物も販売されている事も確かですが、長期間屋号を守り通していて、リピーターが多く販売数が多いところの商品は、概ね問題無く利用出来ます。
また、インクカートリッジには使用期限が設定されています。
開封後は概ね6ヵ月程度で使い切る事が奨励されています。
期限を越えたインクの使用は、プリンターの寿命を縮めてトラブルに繋がる可能性があります。
定期的なプリンター利用を心がける
プリンターは使いすぎても寿命を縮めますが、使わなさすぎるのも寿命を縮める要因となります。最低でも週1〜月1での利用を心がけ、故障を回避しましょう。
特にインクジェットプリンターは、利用間隔が空くとインクがヘッドで固まり、正常に利用する事が出来ません。
コンセントを挿しておけば、電源が入っていなくても、自動的にヘッドクリーニング作業を定期的に行う機種もあります。
定期クリーニング機能が無い機種でも、電源を時々入れてあげるだけで、プリンターがヘッドクリーニングを行う機種が殆どです。
レーザープリンターや大型複合機コピー機は設置場所にも注意
レーザー方式のプリンターは、熱処理して印刷を行います。
風通しが悪く、周りに一定の空間が確保できない場所での使用は、確実に寿命を縮めます。
人間が過ごしにくい温度や湿度では、プリンターにも負担が掛かっています。
直射日光があたる場所の設置は、プリンターの寿命は短くなります。
不安定な場所への設置も避けて下さい。
印刷する度にプリンターが動くような環境や、水平でない場所への設置は、プリンターが早期に故障する原因になります。