用途別、コピーの時の紙の選び方

コピーの際に気になるのが、どのような紙を選べばいいのかという問題です。コピー用紙にもいくつかの種類があり、目的に合わせて選べますが、どの用紙がどんなタスクに最適なのかは意外と知られていません。

今回は、用途別にコピー用紙を選ぶためのノウハウをご紹介します。

目次

非加工紙と加工紙

まず、コピー用紙は非加工紙と加工紙という、二つの分類に分けられています。それぞれで特徴やコストが異なり、場合に応じた使い分けが可能です。

非加工紙

非加工紙は、最も一般的なコピー用紙のことを指しています。特別な加工は特に施されておらず、様々な用途に活用可能です。

またプリンターもレーザープリンター、およびインクジェットプリンターの両方に利用できるため、ハードの都合で紙が使えないという心配もありません。

直接ペンで紙に字や絵を書くのも容易なので、メモの機会が多い資料の印刷にも有効です。

一枚あたりの価格も安く大量に使ってもコスト負担は小さい分、耐久性には欠け、印刷品質も普通であるため、仕上げを美しくしたい場合にはあまり向いていない用紙です。

加工紙

加工紙とは、通常の紙に加工を加え、光沢を出したり耐久性を高めたりしたコピー用紙のことを言います。

通常の非加工紙に比べて印刷品質の向上に特化した品質となっているため、写真やイラストをきれいに出力したい際には活躍してくれます。

ただ、加工紙はインクジェットプリンタに特化した性質を持っているため、レーザープリンタに活用することはできません。

また、一枚あたりの価格も非加工に比べて高額なため、大量に印刷するのには向いていない点にも注意しましょう。

印刷するものは?テキスト?写真?

コピー用紙を加工紙と被加工紙で悩んだ場合には、印刷の目的から逆算して最適な紙を選ぶのが良いでしょう。

テキストを印刷するだけであれば非加工紙で十分

まず、毎日の資料作成や事務書類の印刷であれば、非加工紙を利用するのが最も有効です。被加工紙はコストの面で優れるだけでなく、筆記性にも優れているため、書き込みをペンで行うのも容易なためです。

また、折り曲げたりくるくるとまとめて持ち運んだりすることも可能なので、様々なシーンで活躍できます。

テキストを印刷する機会が多い現場という場合は、ひとまず被加工紙のみを用意しておくと良いでしょう。

プリンターを選ばず使えるので、ハードウェアに紙が依存する心配もありません。

写真やイラストを綺麗に印刷したいなら加工紙を

一方の加工紙ですが、こちらは、一枚あたりの価格が非加工紙に比べて高い分、優れた耐久性と描画能力を持っている点が特徴です。

ポスターやチラシ、広告の仮刷りなど、写真やイラストを精細に出力したい機会は意外と多いものです。

そんな時は加工紙を使って、一度印刷してみるのが有効です。加工紙は光沢があるため、イラストや写真が綺麗に出力されるため、非加工紙と比べて美麗さが違います。

また、加工紙は耐久性も高く、ある程度屋外に放置しても破れたり滲んでしまうこともありません。ポスターを貼り付けておきたい時なども、加工紙がおすすめです。

非加工紙から選ぶ

もう少し詳細を見てみましょう。

非加工紙には、「普通紙」・「上質紙」・「再生紙」が有ります。

普通紙を選ぶ

最もポピュラーな、Theコピー用紙です。
幅広い用途に利用可能で、最も安価に流通しています。

コストを重視した普段使いに最適です。

上質紙を選ぶ

化学パルプ100%原料で製造されています。
くっきりきれいに印刷が出来て、筆記するのにも適しています。
モノクロインクが滲みにくい特性が有ります。

記入してもらう必要が有る申込み用紙・オフセット印刷の用途等に最適です。

色上質紙という、着色がしてあるカラータイプも有り、モノクロ印刷をするカタログ用途に最適です。

再生紙を選ぶ

新聞や雑誌等の古紙を再生利用して製造されています。
先の2タイプと比較すると、やや黄色っぽい、くすんだ白になっています。
一昔前はコストパフォーマンスの良い用紙でしたが、現在では再生に掛かる費用が上昇したことから、普通紙よりも高い価格で流通している事が多くなっています。

SDGsを標榜する企業では、ペーパーレス化が基本ですが、再生紙を使う事で、ブレない一貫した姿勢をアピール出来るため最適です。

加工紙から選ぶ

加工紙には、「光沢紙」・「マット紙」・「コート紙」が有ります。

光沢紙を選ぶ

写真用紙と呼ばれるタイプで、紙の表面に光沢を持たせるコーティング加工がしてあります。
基本的にインクジェットプリンターで使用します。

カラーの写真印刷に最適です。

マット紙を選ぶ

マットコート紙とも呼ばれます。艶消しのコーティング加工がしてあります。
反射しにくい特性があるため、写真印刷では落ち着いた印象をもたらします。
比較的文字の書き込みも、し易い特性を持っています。

チラシやパンフレットの印刷、落ち着きの欲しい写真カラー印刷の他、葉書にも最適です。

コート紙を選ぶ

コート剤を加工してあります。発色が良い特性が有り、鮮やかな色表現印刷が可能です。
マット紙よりも比較的安価に流通しています。

ポスターやチラシの用途に最適です。

白色度で選ぶ

同じ白でも、どれくらい白いのか?が白色度で、数値が高いほど白くなります。
真っ白は100%で、真っ黒は0%です。

概ね一般的な普通紙は86%程度で、再生紙は70%程度、ちなみに新聞紙は55%程度です。

カラー印刷をきれいに仕上げる用途

白色度90%以上が目安です。
より白色度が高い方が、鮮やかな発色の美しい仕上がりが期待出来ます。

SDGs・エコに気を使っている事を主張したい用途

白色度70%以下程度になると、その差が明らかに解ります。
白色度が高い再生紙もありますが、敢えて低いタイプを使う方が、環境に対して注力している事を容易にアピール出来ます。

用紙サイズで選ぶ

利用する用途によって、最適な用紙サイズは変わってきます。

A0・B0~A3・B3サイズを選ぶ

利用出来るプリンターも限られますが、大きさが必要なシチュエーションも有ります。

店舗用・選挙・宙づり広告等のポスター類や、設計図・デザイン図などの利用に最適です。

A3~B3サイズを選ぶ

一般的なプリンターで利用出来る上限サイズです。

二つ折りタイプのパンフレットやカタログ、広告チラシや店内POPの利用に最適です。

A4~B5サイズを選ぶ

最も一般的に利用されているサイズがA4サイズです。

オフィスで利用する文章用紙や、契約書等にも最適なサイズです。

A5~B6サイズを選ぶ

一回り小さいサイズ用紙は、添付する用途や渡す前提の用途に使い勝手が良いです。

添付する説明書や、小冊子の利用の他、アンケート用紙・書き込みを求める用紙の用途に最適です。

A6サイズを選ぶ

最も小さいサイズです。

ダイレクトメールやポストカードの用途に最適です。

紙の厚さや重さで選ぶ

用紙の重量の単位は「坪量」と表記されて、縦横が1mのサイズ時の重量です。
一般的なコピー用紙の坪量は、概ね65 g/㎡前後になっています。

この数値は、どれだけしっかりとした紙かを表します。
要はペラペラか?そうでないか?ということです。

重要性を含む必要が有る用途

同じ印刷物でも坪量が変われば、受け取った相手に伝わる重要度や印象が変わります。

重要な契約書や履歴書等の利用には、坪量の大きな厚めの、しっかりした用紙を使うことが最適です。

紙が合わないとどうなるの?

加工紙と非加工紙には得意分野がありますが、一方で苦手分野の印刷をさせてしまうと、どういった事態になるのでしょうか。

非加工紙は写真の印刷に不適

例えば非加工紙に写真やイラストを印刷した場合、出力された印刷物のクオリティは非常に低いものとなってしまいます。

解像度が低く、写真本来の良さを体感できなくなるため、正しい価値判断は難しいでしょう。

プリンターを間違えると故障の恐れも

また、レーザープリンターで加工紙を印刷すると、レーザーの熱で加工紙の光沢が焼けてしまい、正しく印刷できません。

それどころか、故障の原因にもなりかねないため、レーザープリンターを使う際には必ず非加工の紙を使いましょう。

おわりに

コピー用紙は、それぞれの役割に応じて得意分野と苦手分野が存在します。特徴を理解し、最適な印刷ができるよう理解しておきましょう。

この記事を書いた人

家電・電化製品を専門とするWebライター。前職は電機系メーカーにて設計職に従事。理系出身ならではの観点で、プリンター・複合機を解説します。

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