プリンターの価格は、1万円程度のローコストのモデルから、10万円を超えるようなハイエンドモデルまでがありますが、なぜそんなに価格に開きがあるのか、疑問に感じたことはありませんか?
今回はそんなプリンターの本体価格を決定づけるいくつかの要素について、紹介していきます。
プリンターの価格を決める「印刷速度」とは?
まずひとつ目が、印刷速度の違いによって価格が変わってくるという話です。
印刷速度の基準はどうやってチェックするのか
印刷速度というのは、例えば1分間に何枚プリントできるのかといった数字で表されています。
この数字は「ipm」や「ppm」という単位で表示されることがあり、ともに1分あたりのプリント枚数を示しています。ipmは国際的な基準の単位であることに対してppmはメーカー独自の基準で表されています。
実際にはメーカーの公表している印刷スピードは、毎分○○枚と表記されていることがほとんどで、同じメーカー同士の印刷スピードの比較は可能となります。
他のメーカーとの比較も基準が多少違ったとしても「1分間に○○枚」の数字が近ければ、ほぼ同じ程度の印刷スピードと考えても、おおむね問題はないはずです。
印刷速度を上げるためには複雑な機械が必要
さて、ではなぜ、印刷スピードが違うと本体価格が変わっているのでしょうか。
当然ですが、印刷スピードが速いほど、本体価格は高くなります。
印刷スピードを上げるためには、例えばインクをより早く噴射したり、インクヘッドを素早く移動させたりしなければ、印刷スピードは速くなりません。
そうなるとより複雑な機械的な仕組みが必要となり、そうなると部品点数が増え、さらに高速化するための設計コストも必要となります。
このような要因によって、プリンターの印刷スピードは、結果的に本体価格に大きく影響する要素となるわけです。
印刷速度をどのように決めれば良いのか
ではこの印刷速度は、プリンターを購入する際の参考にするために何をチェックすれば良いのでしょうか。
当然ですが印刷速度が速ければ速いほど使い勝手が向上します。
しかし、そこまで大量に印刷する機会がない場合や、印刷の際の待ち時間に対してあまりこだわらないというのであれば、高価で速いプリンターを購入しても宝の持ち腐れになってしまいます。
例えば1分間に10枚印刷できるそこまでハイスペックでないプリンターでも、6秒に1枚という計算になります。
比較的早いプリンターとなると1分間に20枚程度印刷でき、これは3秒に1枚という計算になります。
この数字を参考にして、普段の使い方からどのくらいのスピードが必要なのかを検討してみると良いでしょう。
プリンターの価格を決める「機能」とは?
プリンターとはその名の通り、プリント、すなわち印刷するための機械です。
しかし近頃のプリンターのほとんどは、プリントの専用機としてではなく、その他の「機能」も搭載されています。
この機能が増えれば増えるほど、本体価格が高くなります。
では、具体的にどのような機能がプラスされるのでしょうか。
印刷機能以外に付いている機能は?
今売られているプリンターの多くは「コピー機」としても利用できます。
コピーをするためには、原稿を読み取る「スキャナー」機能が必要となり、このスキャナー機能もプリント機能にプラスされる付加機能と言えるでしょう。
その他に原稿を読み取る際、自動的に原稿を給紙する「オートシートフィーダ」という機能が搭載されていたり、オプションが用意されている場合もあります。
本体価格が高くなる「複合機」機能
プリンターの中には「複合機」と呼ばれる多機能なモデルも存在します。
複合機というのは、以前はビジネスオフィス機器として利用されていた大型の機器でしたが、現在はプリンターを多機能化した、中型モデルも多数ラインナップされています。
この複合機というのは、オフィスに欠かせない「ファックス機能」や、先ほど紹介した「コピー機能」「給紙機能」など、様々な機能が付与されたプリンターということができ、その分本体価格も高くなるのが一般的です。
機能をどのように選べばいいのか
ではこの機能面から使い方にあったプリンターを、どのように選べば良いのでしょうか。
おそらくほとんどの用途ではコピー機能は必要となりますので、コピーやスキャナー機能付きのモデルは必須となるはずです。
オフィスにFAXが必要であれば、若干本体価格が高くなりますが、FAX機能付きの複合機を導入すれば、より使い勝手が良くなります。
さらに何枚かの原稿を自動的に給紙して、一度にコピーしたい場合は、給紙カセットやオートシートフィーダ付きのモデルが便利です。
プリンターの価格を決める「用紙サイズ」とは?
プリンターの本体価格はこのように、印刷スピードや機能によって決まってきますが、もう一つ価格に影響する要素があります。
それは、対応する用紙サイズです。
A4サイズを基本として大きくなるほど価格が高くなる
現在ほとんどのビジネス文書の用紙サイズは「A4」となっています。
これは文書の保管の際に、異なるサイズの用紙が混ざってしまうと効率が悪くなるため、暗黙の了解だったり、あるいは企業によっては指定されている用紙サイズです。
そのため多くのプリンターはこのA4サイズ対応が基本となっています。
プリンターのスペックをチェックしていると、このA4サイズのモデルが多数を占めていることがわかるはずです。
A4モデルであれば、当然ですがはがきや封筒など、A4以下のサイズなら印刷可能です。
なぜ用紙サイズで価格が決まるのか
ただし用途によってはA4よりも大きな印刷サイズが必要になる場合があります。
例えば図面などはある程度大きく印刷しないと読みにくかったり、あるいは原寸サイズで印刷するとA4ではおさまらないこともあります。
そうなると、より大きな用紙に印刷しなければならず、その場合A3、あるいはA3ノビサイズに対応したプリンターが候補に挙がります。
さらにこれ以上の用紙にサイズで切るプリンターもあり、横幅の長いロール紙に対応している機種もあります。
用紙サイズが大きくなれば、当然ながらプリンター本体も大きくなりますし、大きな用紙に安定して印刷するためには、小さなプリンターよりもしっかりとした作りにしなければならず、その結果本体価格は高くなります。
大判のロール紙にプリントできるタイプのプリンターは、構造自体が一般的なプリンターとは異なりますので、さらに本体価格は高くなるのです。
用紙サイズをどのように決めれば良いのか
用紙サイズはある意味A4が基本となるはずですから、A4のビジネス文書を印刷するだけであれば、その他のスペックなどをチェックして、価格と機能が満足のいくモデルを選べば良いでしょう。
A4しか印刷しないのであれば、それ以上の用紙サイズに印刷できるプリンターを選ぶ意味はありません。
A3サイズに印刷したい場合、A3またはA3ノビ対応のプリンターから選ぶことになりますが、機種によってはA3サイズの用紙を給紙できても、縁まですべてプリントできない場合もあります。
そのためA3を選ぶ場合、印刷の範囲を事前にしっかり確認したり、少しサイズに余裕のあるA3ノビ対応モデルを選ぶのが正解と言えるでしょう。