エコタンクプリンターとは?メリット・デメリットもあわせて解説

インクジェットプリンターのビジネスモデルは、プリンター本体価格を安く販売して、インクカートリッジを頻繁に交換してもらう事で、収益の帳尻を合わせる事が一般的です。

印刷量をそれなりにすれば、印刷コストが高くなるだけでなく、交換する手間も強いる事が、インクジェットプリンターの大きなデメリットになっていました。

そのデメリットを克服するモデルが、次々と各メーカーから登場しています。
従来のインクカートリッジタイプと比較して、10倍くらい長持ちする大容量インクタンクを搭載したプリンターです。

エプソンでは「エコタンク」・キャノンでは「ギガタンク」・ブラザーでは「ファーストタンク」という名前がそれぞれ付いていますが、最も速くこのタイプを登場させたエプソンの「エコタンク」が、大容量インクタンクの代名詞のポジションを獲得していて、このタイプの販売面でも他社をリードしています。

大容量インクタンクを搭載するプリンターの、メリットやデメリットも合わせて解説していきます。

目次

1. エコタンクプリンターとは

大容量インクタンクプリンターは、日本ではエプソンが2016年頃から販売をスタートしていますが、東南アジア向けでは2010年頃から販売を始めています。

エコタンクは無断改造から始まった?

エプソンが販売をスタートさせた2010年以前から、インドネシアなどの東南アジアでは、当時のインクカートリッジタイプを業者が勝手に改造を行い、外付けの大容量インクタンクを付けたものが販売されていました。

改造モデルが順調に販売されているのは、インクジェットプリンターの弱点を克服するモデルとして、ニーズがあるのも確かです。メーカー側でもそのニーズは当然理解していたと考えられますが、従来からあるインクジェットプリンターのビジネスモデルを破壊するとして、各社で対応が分かれました。

このタイプを販売する事で、インクカートリッジをユーザーに頻繁に購入してもらう機会は、大幅に減るからです。

日本を含む先進国でエコタンク投入が遅れた訳

東南アジアに投入した時期から、日本を含む先進国への投入が遅くなったのは、頻繁にインクカートリッジを購入してもらうことで、大きな収益を上げているビジネスモデルを守りたかった思いがあります。

いち早く腹を括ったのがエプソンで、現在販売しているプリンターの7割が大容量タンクを搭載したタイプになっていて、他社をこの分野で大きくリードしています。

エコタンク搭載プリンターの、メリットから見ていきましょう。

2. エコタンクプリンターのメリット

エコタンクプリンターのメリットは3つあります。インクの交換の手間が少ないこと、環境に優しいこと、コストパフォーマンスがいいことです。

インクの交換頻度が少ない

エコタンクプリンターは大容量のタンクが入っているため、インクを交換する回数が少なく済みます。たとえば、エプソンのエコタンクプリンターなら1回分のインクで、A4用紙6,000枚ほどを印刷できるタイプもあります。

比較的同時期に出た、買いやすい価格の普及タイプで比較した場合、エコタンク方式 EPSON EW-M752Tでは1セットのインク購入で、約1,000枚を印刷する事が出来ますが、インクジェットプリンターEP882Aでは1セットのインク購入で、約600枚です。

環境に優しい

インクカートリッジタイプと比較して、インクボトルは交換頻度が少なく、処分も簡単でリサイクルや回収に対しても、特別気を配る必要がありません。

資材やパーツも少なく済み、回収やリサイクルなども含めて、余分なエネルギーを消費しません。

通常のインクジェットプリンターと比較して、大量印刷が可能な耐久性を持つため、長期的に利用する事が可能で、その意味でもエコだと言えます。

コストパフォーマンスがいい

従来のビジネスモデルが成り立っていたのは、消費者にとってコスパが良くなかったからです。

大容量タンクのプリンターは、1枚あたりのコストパフォーマンスが大きく向上しています。

A4カラー文書のコストで比較してみましょう。
エコタンク方式 EPSON EW-M752Tでは約2.9円ですが、インクジェットプリンターEP882Aでは12円になり、大きな差が出ます。

最新のビジネスインクジェットプリンターエコタンク搭載のEW-M5610FTでは、同じA4カラー文書が1枚あたり1円程度になっています。

3. エコタンクプリンターのデメリット

エコタンクプリンターのデメリットは、本体価格が割高なこと、インクを注ぐ際に汚れる可能性があること、本体が幅を取ることです。各項目にわけて詳しく解説します。

本体価格が割高

従来のインクカートリッジで収益を出す事が出来ない事から、本体価格は高くなる傾向にあります。

先述の最新ビジネスインクジェットプリンターEW-M5610FTでは、2022年7月現在で7万円から8万円程度で販売されています。

先述の普及タイプでも比較してみましょう。
エコタンク方式 EPSON EW-M752Tは概ね35,000円から40,000円程度で販売されていますが、インクジェットプリンターEP882Aでは概ね3万円を切る27,000円程度です。

本体価格は割高でも、エコタンク搭載のプリンターは1枚あたりのコスパが良く、機種にもよりますが、概ね1,000枚から2,000枚を印刷した時点で総費用は逆転して、それ以降はどんどんお得になる計算になります。

逆にあまり印刷をしないことが最初から解っているユーザーなら、従来のインクジェットプリンターを購入する方が、コスパは良くなります。

インクを注ぐ際に汚れる可能性がある

エコタンクプリンターは、タンクにインクを注ぐ必要があるため、手や周囲が汚れる可能性があります。しっかり手順書を読んで、説明通りに注げば汚れることはないので、自己流で行わないようにしましょう。心配なときはビニール手袋の利用や、周囲に新聞紙を敷いておくのがおすすめです。

まだ比較的新しい方式なので、機種によっても扱いやすさが異なっているのも事実です。どちらにしても、カートリッジタイプと比較すれば、一手間掛かってしまう事は認識しておく必要があります。

本体が幅を取る

エコタンク搭載モデルは、カートリッジよりも大容量を謳うだけインク収納サイズも大きくなり、プリンター本体のサイズがどうしても大きくなります。

デザイン的にもシャープさが控えめで、どちらかというと、ずんぐりした形になります。
プリンターにデザインは関係ない派には余計なお世話ですが、毎日目にするものであるだけに、デメリットに感じる方も少なく有りません。

まとめ

エコタンクプリンターの特徴とメリット・デメリットについてご紹介しました。エコタンクプリンターは、インクの交換頻度が少なく、コストパフォーマンスがいいのが特徴です。

初期費用は若干割高ですが、長い目で見ればエコタンクプリンターの方が、インクカートリッジ方式よりも安い可能性が高いです。気になる人は、利用方法や目的に合ったエコタンクプリンターを探してみてください。

この記事を書いた人

新卒でIT企業に入社し営業を経験。現在はフリーのWebライターとして活動しています。
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