ビジネスで利用するプリンターには、大別すると「インクジェットプリンター」と「レーザープリンター」のふたつに分類されます。
それぞれ同じプリンターながら、まったく異なる仕組みで印刷するため、オフィスで使用する場合はそれぞれのメリットデメリットを把握して、どちらを使うかを決めた方が良いはずです。
今回はそんな、インクジェットプリンターとレーザープリンターの特徴とメリットデメリット、そして用紙の種類や使い方について説明していこうと思います。
- インクジェットプリンターの仕組みとメリットデメリット
ではまず、インクジェットプリンターの特徴と、メリットデメリットについてみていきましょう。
インクジェットプリンターの特徴とは
インクジェットプリンターは、印刷する際に専用のインクを使用します。
データの画素をドットとして、ノズルからインクを噴射して、用紙にインクを定着させることで印刷します。
インクの種類はいくつかあり、それぞれ用途に合わせたインクを選択することになります。
さらにより高品質な印刷ができる機種は、CMYKの4色だけでなく、特別な色のインクがあり、10色や12色といった多色インクを使用する機種もあります。
インクジェットプリンターの優れている点
プリンターを導入する際に、最も手軽に扱えるのがインクジェットプリンターのメリットと言えるでしょう。
レーザープリンターと比較して本体価格がリーズナブルですから、本体を購入する際の初期費用の負担は軽くなります。
さらに印刷画質を決定づける「解像度」が高いのも、インクジェットプリンターの特徴となります。
解像度を表す単位のdpiで言えば、レーザープリンターが600〜1200程度なのに対し、インクジェットプリンターは5,760×1,440dpiなど、縦横の解像度が若干異なるもののかなり高い数値となっています。
インクジェットプリンターのデメリットは
インクジェットプリンターのデメリットとして上げられるのが、ランニングコストが高いという点にあります。
本体価格はリーズナブルなモデルもあるのですが、交換用の純正インクはかなり高価で、たくさんインクを使ってしまうと、あっという間に交換となり、費用的に負担が大きくなる可能性もあります。
さらに一列ずつインクを噴霧していくという印刷形式となりますので、一枚当たりの印刷スピードがレーザーと比較して若干遅くなるのも、インクジェットプリンターのデメリットと言えます。
レーザープリンターの仕組みとメリットデメリット
続いて、レーザープリンターのメリットデメリットについてみていきましょう。
レーザープリンターの特徴とは
レーザープリンターは感光ドラムに印刷したいデータの情報を静電気として転写し、この静電気でトナーという粒子を附着させ、そのトナーを用紙に熱で転写することによって印刷を行います。
特徴としては、インクジェットプリンターのように少しずつ順番にインクを拭きかけるのとは異なり、感光ドラムで一気にトナーを用紙に定着できることにあります。
レーザープリンターのメリットとは
仕組みの違いからレーザープリンターは印刷速度がインクジェットプリンターよりも速いのがメリットです。
さらに一度感光ドラムにデータを転写すれば、同じものを印刷する際のスピードはさらに速くなります。
トナーは交換する際の一回当たりのコストは高くなりますが、平均的に1枚当たりの印刷コストはインクジェットと比較してリーズナブルです。
レーザープリンターのデメリットとは
レーザープリンターは仕組み的に複雑で、電気をより消費し電気代がやや高くなるのがデメリットです。
さらに消耗品の交換や定期メンテナンスが必要なため、ランニングコストがそれなりに必要というのもレーザープリンターのデメリットとしてあげられます。
レーザープリンターとインクジェットプリンターの用紙の違い
ではまずレーザープリンターで使用できる用紙についてみていきましょう。
レーザープリンターで使える用紙
業務用のレーザー複合機を使っている方ならおわかりかと思いますが、レーザープリンターの場合はほとんどの場合、普通紙に印刷します。
この普通紙というのは一般的な用紙という意味となり、普通紙の他に再生紙や上質紙にも印刷可能です。
その他にごくまれにレーザープリンター用紙という紙に印刷する場合もあります。
レーザープリンターはその他の光沢のある写真専用用紙や、表面に独自の加工が施されている加工紙には対応していません。
インクジェットプリンターで使える用紙
その一方、インクジェットプリンターは多彩な用紙に印刷が可能となっています。
インクジェットプリンターは写真を高画質で印刷するため表面に光沢加工がされている「光沢紙」、表面にコート加工がされている「コート紙」、そして表面につや消しの加工がされている「マット紙」といった、表面加工された印刷専用紙に対応しています。
このほかインクジェットプリンター用に特化されたインクジェット専用紙も使用可能です。
もちろん一般的な普通紙や上質紙、再生紙にも印刷可能ですが、この場合インクにじみなどがでてしまう場合もあります。
写真などを高解像度で印刷するならインクジェットプリンター
では次に用途別に適したプリンターの種類について見ていきましょう。
まず、高画質な写真を印刷する場合、一般的には光沢紙が使われます。
この光沢紙はインクジェットプリンターに対応しているため、レーザープリンターでは使用できません。
光沢紙はプリンターの解像度が高ければよりそのメリットを発揮しますので、高解像度の印刷に対応したハイスペックのインクジェットプリンターなら、かなりのクオリティの写真印刷が可能となります。
一方のレーザープリンターはハイエンドのインクジェットプリンターと比較して印刷できる解像度が低い上、光沢紙が使えないため、写真印刷はそこまで得意ではありません。
普通紙に滲まずくっきり印刷できるレーザープリンター
ただし一般的なオフィスで使用される、スタンダードな普通紙などの「非加工紙」に印刷する場合は、トナーの特性から同じ条件のインクジェットプリンターよりも綺麗に印刷できる場合があります。
そのため特殊な専用紙を使わずに一派的な普通紙で、奢侈な図版などのビジュアルが入った書類を印刷する場合は、インクジェットプリンターよりもレーザープリンターの方が適しているのが一般的です。
さらにインクジェットプリンターで普通紙に印刷した場合、インクが乾いた後に用紙にシワが入ってしまうこともあるため、見た目を気にする場合はレーザープリンターの方が印刷品質が高いと言えるケースもあります。
・高画質印刷のコスパはレーザープリンターの方が上
高解像度に対応したインクジェットプリンターで印刷品質を上げて印刷した場合、通常よりもたくさんのインクを消費します。
そのためもし何枚も高画質の写真印刷を続けた場合、インクがあっという間になくなってしまい、インク交換が頻繁に必要となりますので、コストがかなりかかってしまいます。
その点レーザープリンターでは解像度は常に一定ですから、印刷するカラーの「平面」が増えればトナーの消費は多くなりますが、そこまで大きな負担にはならないことがほとんどです。
単にコスト面を比較して高解像度での印刷を考えた場合、コスパとしてはレーザープリンターの方が優れているということになります。