インクジェットプリンターが登場する前のプリンターの主流は、ドットプリンターと呼ばれるタイプが一般的には多く、パソコンとの接続も当時はUSBが存在していなかったため、D-sub24ピンの様なパラレルポートを使っていました。
初期のインクジェットプリンターもD-sub24ピン対応でしたが、USBの登場により接続方法の主流が一気に変わりました。
以前のコネクタと比較して、大幅に抜き差しが簡単なため、複数のパソコンで利用する場合には、挿し替えてプリンターの利用をしてた時代がありました。
その後、インターネットの環境が整備されるのにつれて、社内のLAN環境が構築されることが当たり前になりました。
社内ネットワークに繋がっている1台のパソコンに、USB接続をしている1台のプリンターを、パソコンの設定で共有にする事で、LANケーブルで繋がれた社内のネットワークにあるパソコンからは、自由に印刷出来る環境が実現しました。
しかし、この状態ではプリンターが接続されているパソコンが、起動していないとプリンターは利用することが出来ません。
また、WindowsではOSのアップデートに伴うセキュリティの強化で、事実上この方法は使えなくなっています。
現在のオフィスで利用するプリンターの主流は、ネットワークを使ったLAN接続になっていて、社内ネットワークに接続している複数台のパソコンから、同じネットワークに接続しているプリンターでの印刷が、自由に出来るようになりました。
プリンターがパソコンを介さずに、ネットワークの中に単独で存在していて、印刷が可能になったのは、プリントサーバーのおかげです。
複合機のプリントサーバーとは何か?導入のメリットを解説します。
プリントサーバーとは
プリントサーバーとは、社内ネットワーク上にあるプリンターを、同じネットワーク内の複数のコンピュータから印刷の利用が出来る機能です。
大型複合機コピー機では、既に10年以上前から標準装備になっている事が多く、社内LANの中に組み込んで、社内のLANが利用出来るコンピュータから、自由に印刷利用する使い方が一般的です。
家庭用の一般的なインクジェットプリンターでも、プリントサーバーの機能を有したタイプが数多く販売されています。
大型複合機コピー機では、LANケーブルを使ってネットワークに接続する事が多く、LANポートを有するタイプが多いですが、家庭用のプリンターでは、スマホの普及もあって、Wi-Fi接続するプリンターが多くなっています。
LANポートが搭載されている・Wi-Fiが利用出来るプリンターの多くは、プリントサーバーを搭載していると考えて良いです。
このような一般的な事例とは別に、USBポート・パラレルポートしか搭載していないプリンターを、社内のネットワークに接続して利用する方法として、単独のプリントサーバーを導入する手立てがあります。
名前はサーバーと付いていて仰々しいですが、現在のプリントサーバーは、プラグ変換コネクタと見間違えるような、小型サイズのタイプが数多く販売されています。
プリントサーバーのメリット
現在では殆どプリンター内部に搭載する事が、ごく当たり前になったプリントサーバーですが、あらためてそのメリットを考えてみましょう。
複数のパソコンで一台のプリンターを利用出来る
プリントサーバーを導入する最も大きなメリットは、複数台のパソコンで、プリンターや大型複合機コピー機を自由に利用出来ることです。
従来のUSB接続やパラレル接続では、コンピュータとプリンターが1対1でしか接続出来なかったため、複数のパソコンで1台のプリンターを利用するのには、その都度繋ぎ直すか、スイッチャーと呼ばれる切り替え装置を使って、切り換える必要がありました。
パソコンもプリンターも、プリントサーバーの機能で、一度社内ネットワーク内に接続設定をするだけで、社内にある複数のプリンターに、ネットワーク内のパソコンから自由に印刷が可能になります。
社内のどこからでも印刷が出来る
働き方改革の考え方が広がり、社内のパソコンもLANケーブルで接続する、固定タイプは少なくなりつつあります。
特定のデスクを持たない、フリーアドレスの職場環境も増えて、ノートパソコンを使って、Wi-Fi接続で社内LANに接続するケースが増加しています。
社内のどこで仕事をしていても、身近にあるプリントサーバーの機能でネットワーク内にある、プリンターや大型複合機コピー機に印刷する事が出来て、仕事の効率を阻害しません。
能力の高い大型複合機コピー機でも、最適な利用者人数があります。
「オフィスのコピー機の最適数を考える。1島何人?1島に1台?フロアに何人いる?」も、併せてご覧下さい。
プリントサーバー導入のチェックポイント
プリントサーバー機能を搭載した、大型複合機コピー機やプリンターの導入、ネットワーク非対応のプリンターを利用する必要性があり、プリントサーバー機器を購入する場合の、チェックポイントを簡単に見てみましょう。
接続方式は正しいか
プリンターに内部搭載している場合は、気にする必要はありませんが、機器としてネットワークプリンターを購入する場合、USBポート用なのか、パラレルポート用なのか?は、最低限チェックする事が必要です。
有線か無線か
プリントサーバーが内蔵されている機種導入では、現在の状況だけ見て、有線LANケーブル接続で問題が無くても、将来的なことを考えれば、対応力が広がる無線接続も可能な機種を、選んでおく方が後々の後悔がありません。
機器としてプリントサーバーを導入する場合も同様ですが、有線LANのみのタイプを購入しても、必要になればWi-Fiルーターを新たにプリントサーバーに接続すれば、無線タイプとして利用を継続することも可能です。
双方向通信になっているか
古いプリンターを、プリントサーバーを使って、ネットワーク接続する場合は気にしなくてもOKですが、複合機の場合は通常の印刷とは異なり、逆方向のプリンターからパソコンにデータを送る、スキャン機能を利用するためには、双方向通信になっている必要があります。
まとめ
通常の印刷を行う分には全く問題になりませんが、大容量や高速プリント・大容量データへの対応力は、搭載するプリントサーバーの能力で左右されます。
高速で稼働を行い、高解像度の滑らかな画質を実現するためには、単純にネットワークに繋げる役割だけで無く、高画質を高速で実現するプリントサーバーが必要になります。
現在のプリンターはスキャナー内蔵の複合機が多く、インクやトナーなどの消耗品等の残量も確認出来る事が多くなっているため、機器のスペックを充分に利用するには、単独でプリントサーバーを用意するのでは無く、内蔵している機種か、純正オプションを利用するのが最適です。