SDGsとペーパーレス化、加えて働き方改革を提唱している国が示す方向性として、FAXは収束していく方向にある事に疑問の余地はありません。
日本人はテレビ番組内で、個別メッセージのアクセス方法として、FAXが紹介されることに違和感がありませんが、外国人にとってはハイテクなイメージのある日本で何故未だにFAX?と、驚きを隠せない様です。
コロナ禍において、保健所への連絡手段はFAXがメインで、集中する事で繋がらない事態が生じた事もあり、官庁や公的機関の脱FAXへの取り組み姿勢は、一層顕著になりました。
FAXにはメリットが存在することも確かです。
FAX番号さえ確実なら、メールアドレスやアカウント等も不要であり、インターネット回線も必要ありません。加えて利用者のITスキルも必要としません。
それでいて確実に先方に届けられる手段であるため、注文書の発送手段等として重宝している企業や、業界によっては、FAXが主力な連絡手段になっているケースもあります。
そのため方向性は理解出来ても、即座に脱FAXへ舵を切ることは難しい側面があります。
現状の業務には支障を起こさずに、むしろ利便性を高めながらペーパーレス化を進め、コストも削減に繋がるのが、「ネットワークFAX」です。
「ネットワークFAX」には、機器としてのFAXや複合機を使用せずに、外部専門業者と契約する事でFAXの送受信を行うケースと、複合機を利用して行うケースが有ります。
今回は、複合機を利用した「ネットワークFAX」について解説します。
ネットワークFAXとは
コピー機・複合機を利用した「ネットワークFAX」とは、大きく分けて以下の3つがあります。
*全てのコピー機・複合機に、同機能が搭載されてはいません。「ネットワークFAX」機能を有する機器でのみ利用出来ます。
ペーパーレス受信
FAX受信する中には、広告など不要なFAXも多く含まれているのが現状です。
全てを印刷出力していると、本当に必要な書類が埋もれてしまうリスクが有り、トナー代や用紙代などのコストも余分に掛かります。
「ネットワークFAX」機能を使って、受信したFAXの発信元をコピー機・複合機が認識して、あらかじめ設定しておいた「電子メールアドレス」「FTPサーバー」「指定したネットワーク内のフォルダ」などに、データとして振り分けて転送することが出来ます。
基本的に紙を使った印刷は行いません。必要なものだけ個別に印刷を行います。
ペーパーレス送信
通常のFAX送信では、仮にパソコンで作成した内容でも、一旦は紙でプリントアウトする事が必要になります。
しかし、「ネットワークFAX」を利用した送信では、パソコンからコピー機・複合機に送られたデータを用紙に印刷することなく、FAX送信を行います。
紙に印刷する手間が無くなる事と、消耗品コストが削減出来るだけでなく、送信後の用紙を処分する必要も無くなります。
インターネットFAX
通常のFAX送受信では、電話回線を利用しているため、送信側に通信費が掛かります。
しかし、インターネットFAXに対応したコピー機・複合機を利用する事で、電話回線を利用する事無く、インターネット回線でFAXの送受信が行えます。
複数の宛先に同時同報送信が可能で、通常1箇所ずつ送信する必要が有るFAX送信の手間が大幅に減ります。
電話回線を利用しない事で、通信費の削減が行えるだけで無く、インターネットを利用することで回線ノイズも少なく、細かい文字の書類などを鮮明に届ける事が可能になります。
ネットワークFAXの使いかた
「ネットワークFAX」を利用する事で、ペーパーレス化を進めて経費を削減するだけで無く、業務効率のアップに繋がります。
ペーパーレス受信
取引先ごとに、担当者のメールアドレスを設定しておけば、プリントアウトする事無く外出先を含めて、FAXの内容が確認出来る様になります。
在社する事が基本のスタッフには、指定したパソコンのフォルダに受信FAXをデータとして入れる事も可能です。
共有フォルダやサーバーに、FAX内容をデータとして送信する事も可能です。
必要に応じて閲覧やプリントアウトを行います。
ペーパーレス送信
同じパソコンから複数のプリンターへの印刷を使い分けるのには、プリンタードライバを切り替えて利用します。
このプリンタードライバの中に、コピー機・複合機を「ネットワークFAX」利用するためのドライバを、インストールしておきます。
ドライバを指定した後は、通常の印刷時と同様の印刷手順を踏むことで、コピー機・複合機を利用した「ネットワークFAX」での送信を行う事が出来ます。
ドライバにアドレス帳を登録しておけば、簡単に送信作業を行うことが可能になります。
FAX送付状も添付する事が出来ます。
カラーの原稿を送信しても、モノクロで受信処理されます。
インターネットFAX
インターネットFAX対応機同士なら、通常のFAX操作で電話回線を利用する事無く、インターネット回線を使って送受信が出来ます。
「W-NET FAX」という、情報通信ネットワーク産業協会の共通フォーマットがあります。
「ネットワークFAX」対応機種でも、インターネットファクス拡張キットのオプションを追加しないと、インターネットFAXは利用出来ない場合が有ります。
インターネットFAXはモノクロでのみの送受信になります。
活用事例
以下、活用事例を簡単にまとめてみました。
外回りの営業マンが多い会社
以前のFAXは事務所にデータを送っても誰かが事務所にいて、内容を確認してもらわなければ話を先に進めることができませんでした。
ネットワークFAXを導入すると、外にいる営業マンもデータを受信することができますし、送信をすることもできます。端末さえ所持していれば誰かがFAXの受信を確認する必要もありません。制約がなくなり、より機動的に活動することができます。
個人事業主、在宅ワーク
FAXの利用頻度は多くない割に、使う機会は確実にあるのが個人事業主、在宅ワーカーです。そんなに使わないのに導入の初期費用がかかりますし、ランニングコストもそれなりにかかります。
ネットワークFAXを導入したところ、特に通信費などのランニングコストが半分になった、という事例もよく耳にします。
全国に多くの支店が存在する企業
全国に数多く有る支店に対してのやりとりで、FAXの利用頻度が多い場合には、電話回線を利用するため多大なコストが掛かります。
本社から全支店への一斉送信を行う場合には、インターネットFAXを利用する事で一度の手順で完了出来る為、業務効率が大幅にアップします。
まとめ より機動的に活用できコスト削減が可能
ネットワークFAXはインターネット回線を使うFAXで、従来の紙データの送受信のほかにデジタルデータとして、ダイレクトなやりとりも可能です。
1対1のやり取りのほかに、複数の相手へ向けての送信ができ、出先からでもフレキシブルに送受信することができます。
電話回線よりも通信費を大幅に抑えることができ、コスト削減にも大いに活用することができます。ネットワークFAXはとても便利なツールなので、これからFAXを導入する場合、必須の機能ということができます。