人間の眼は、思っているよりも遙かに優秀です。
自分の見たいものや意識をしているものを伝える能力は、カメラがどれだけ進歩しても到底追いつけません。
最近のカメラは飛躍的な進歩を遂げていますが、素人からプロのカメラマンまでの全てで、見たままの感動を表現したいという想いが連綿と現在も続き、写真に撮った内容とのギャップに一喜一憂するからこそ趣味性があると言えます。
満足いく1枚が撮れても、紙に印刷するのはまた別の話で、出てきた印刷結果に「ん~・・・・・何かが違う」と落胆した経験をお持ちの方も多いと思います。
より自分の描いたイメージに近づけるため、プリンターや複合機コピー機では、元データを弄る事無く印刷結果を調整する事が可能です。
今回は調整項目にある「濃度」を中心に、コントラストとは何が違うのか?など、印刷との関係を解説していきます。
印刷時の画質調整と濃度
印刷時の調整には、色々な項目があります。
他の調整項目を一通り理解すると、濃度の果たしている役割が明確になってきます。
解りやすく、コピーを行う時の調整をするケースで各項目を確認しましょう。
濃度
「薄い」から「濃い」で、濃度は段階的に選択ができるようになっています。
「薄い」濃度で印刷すると全体的に印刷が薄くなり、「濃い」で印刷すると全体的に濃くなります。
部分的な調整が行われるのではなく、全体的に変わるのが濃度のポイントです。
シャープネス
「強く」から「弱く」で、段階的にシャープネスが選択できます。
シャープネスは輪郭の補正で、「強く」なるほど輪郭が濃く強調されて、「弱く」になるほど輪郭がぼやけてメリハリが無くなります。
シャープネスは輪郭だけが補正されます。
彩度
「強く」から「弱く」で、段階的に彩度を選ぶ事ができます。
彩度では鮮やかさの度合いが変化します。
「強く」になるほど元原稿の色合いよりも鮮やかに色目がたち、「弱く」になるほど元原稿の鮮やかさが失われてくすんでいきます。
コントラスト
「強く」から「弱く」で、段階的にコントラストを選ぶ事ができます。
コントラストは明暗の調整を行います。
「強く」になるほど、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなり、明暗差が広がってくっきりとした表現になります。
「弱く」になるほど、明るい部分と暗い部分の差が縮まっていき、メリハリの無いボンヤリとした方向に修正が行われます。
濃度とコントラストとの違いは?
「濃度」と「コントラスト」は、混同されたり誤解されたりする事が多いですが、先の調整項目を見れば明らかに異なっていますよね。
濃度は全体的な濃い薄いの調整であり、コントラストは明暗の差をより近づけるのか?より広げるのか?ということであり、明快に異なっています。
事を解りにくくしているのが、トーンカーブを用いる濃度補正です。
濃度補正とは?
プリンターや複合機本体での調整でなく、パソコンのプリンタドライバを用いて調整を行う場合、その項目の中に濃度補正があります。
この濃度補正は明かるさとコントラストをトーンカーブで調整する事で、濃度の補正を行います。
コントラストと明るさを同時に調整する事で、濃度の調整をする機能です。
濃度補正のやり方は?
グラフの様なトーンカーブは、調整前には右上45度に伸びる斜めの直線になっています。
トーンカーブの中間を上方向に持ち上げると、全体的に画像は明るくなり、下方向に下げると暗くなります。
トーンカーブの真ん中より右側を持ち上げると、明るい部分がより明るくなり、真ん中より左側を下げると暗部がより暗くなって、グラフの形状はS字型になりコントラストが強くなります。
逆に逆S字型のグラフにすると、コントラストが下がる調整になります。
コントラストについては、以下も併せてご覧下さい。
濃度と印刷の関係は?調整したほうがいい?
実際に印刷をするときに、調整は行った方が良いのか?濃度と印刷の関係を踏まえて考えてみましょう。
濃度調整で濃くする場合
印刷結果が全体的に薄いと感じる場合には、濃度調整を行って再度印刷をし直すのは即効性のある解決手段です。
印刷する対象が写真かビジネス文書なのかなどで、修正するポイントは異なってきますが、濃度の調整では全体的に濃くなるので、同時にコントラストの調整も行った方が、見やすくなるケースが多くなります。
何らかのプリンタートラブルで、印刷結果が全体的に薄くなる場合にも、緊急避難的に濃度調整をする事で直近の印刷が継続できる場合もあります。
濃度調整で薄くする場合
印刷結果で全体が濃いと感じる場合には、濃度調整で薄くする事で改善される事があります。
しかし、全体的に元原稿が濃くなって見にくい場合には、濃度調整で薄くしても全体的に薄くなるだけで、見にくさは解決しない事も少なくありません。
同時にコントラストの調整で明暗差を縮めると、少しでも改善する可能性があります。
濃度とコントラストの同時調整
濃度だけの調整ではなく、コントラストを同時に併せて調整する事で見やすくなります。
これは前述のトーンカーブを用いた調整に近く、パソコンで行った方が紙を無駄にしないで済む可能性が高くなります。