新型コロナウイルスの影響と働き方改革により、最近ではテレワークがより一層浸透しています。
昨今の様々なセキュリティが懸念される中で、プリント時のセキュリティも見逃せません。
テレワークでプリントを行うということは、会社内の情報を外部で印刷することになり、セキュリティの面では常に不安が付いて回ります。
テレワークで、社外から社内のデータを使って印刷を行う場合、社内の環境整備と社外で仕事を遂行するスタッフの、両方がセキュリティに対して気を配る必要があります。環境整備に加えて、社員の認識だけに頼るのでは無く、印刷しても良い環境を具体的に明示する、セキュリティポリシーの設定も大切です。
テレワーク時の印刷、プリンター利用でのセキュリティについて解説して、その解決方法をご案内します。
テレワークのプリンター利用で、セキュリティが弱いと発生する問題
サイバー攻撃などでデータを抜き取られるのは、センセーショナルな事件として話題に上ることも多く、企業側も一定の対策をとって注意している事は多いのですが、社外からの攻撃には強くても、社内(攻撃ではありませんが)のデータの扱いには、比較的無頓着なケースも多くなっています。
実際に起こっている情報漏洩は、データだけでなく印刷された紙であるケースも多く、データも扱う社外での紙印刷という条件になる、テレワーク時の印刷では、一層の気配りが必要になります。
セキュリティの甘さから情報漏洩に繋がれば、企業に多大な損害の出る可能性が有ります。
たとえば、顧客情報がライバル会社に渡れば、手の内を明かすことになりますし、直接消費者に販売している企業では、個人情報の流出は大きなダメージになるだけでなく、罰則が適用される事もあります。
採算管理表やコスト表、見積書や設計図など、社外に流出すれば、ダメージの種になりかねません。
セキュリティポリシーとして、「社外で印刷して良い情報と、いけない情報を選別して決める」「印刷物の廃棄ルール」は最低限でも決めておくべきです。
テレワークでプリントが発生するケース
テレワーク中に、どうしても紙で印刷して確認したい、紙で提出しなければならない必要からプリントをしなければならないケースがあります。
その場合、印刷手段は以下の3点に絞られるでしょう。
コンビニで印刷する
在宅ワークで手元にプリンターが無く、印刷する必要に迫られた場合に、身近に存在しているコンビニエンスストアのマルチコピー機は、とても頼りになります。
コピーや印刷だけでなく、スキャンやFAXにも対応している多機能です。
印刷クオリティも、オフィスで業務利用しているものと変わりません。
〇記録媒体からプリント
光ディスクやSDカードの他、USBメモリ等の記録媒体に社内データを保管しておけば、直接コンビニエンスストアのマルチコピー機に差し込んで、印刷利用する事が出来ます。
〇ネットワークプリント対応
セブンイレブン系は富士フィルム、ローソンとファミリーマート系ではシャープの機器が導入されていて、納入メーカーが運営している、ネットワークプリントに多くの機種が対応しています。
必要なデータを、あらかじめ社内から、ネットワークプリントのサーバーにアップロードして保管しておけば、必要に応じて自宅近くのコンビニエンスストアで印刷が可能です。
USBメモリ等の記録媒体に入れて持ち歩けば、紛失や盗難のリスクが有りますが、ネットワークプリントではその様なリスクが無く、安全性も高くなります。
〇セキュリティ面は?
現代のコピー機には、一定期間は印刷データを保管しておく機能が搭載されています。
不特定多数の人間が数多く利用する、コンビニエンスストアのマルチコピー機は、仕事の資料を持ち込んで印刷するのに、セキュリティ面での不安を感じる方も多いと思います。
しかし、コンビニエンスストアのマルチコピー機のセキュリティ面は、とても安全性が高いと言えます。
詳細については、「コンビニのコピー機は安全? セキュリティレベルや注意点を解説」も、併せてご覧下さい。
〇セキュリティ面のリスク
コンビニエンスストアのマルチコピー機の利用時、セキュリティ面のリスクはヒューマンエラーです。
コピーを利用して、元資料をマルチコピー機内に忘れたり、近辺に置いたままにしたりしておけば、簡単に情報は漏洩してしまいます。
USBメモリ等の記録媒体を利用して、挿したまま忘れてしまえば、簡単に情報漏洩が起こります。ルールとして社外印刷時には、記録媒体や印刷物の持ち出しを禁止することで、セキュリティ面の安全性は高くなります。
可読出来る印刷資料を、簡単にゴミ箱に捨てることも、情報漏洩リスクが有ります。
対処方法としては、ヒューマンエラーが出るリスクが低い、ネットワークプリントを利用して、印刷物には気を使うことでリスク回避をします。
シェアオフィス、コワーキングスペースで印刷する
自宅で落ち着いてテレワーク等の作業が進められない場合、シェアオフィスや、コワーキングスペースを利用します。
高性能な大型複合機コピー機が、共有スペースに設置されているケースが大半で、印刷するだけでなく、色々な用途に利用出来ます。
しかし、コンビニエンスストアに設置してあるマルチコピー機と比較すれば、セキュリティ面の安全性は高いと言えません。
シェアオフィス、コワーキングスペースは施設の管理者が設定する権利を持っていますので、安易にコワーキングスペースで印刷するのは、一定のセキュリティ上のリスクがあります。
オフィスの管理者に悪意がなくても、データが残る設定になっていたり、adminパスワードがデフォルトのままになっていたりするケースもあり、データが漏えいしてしまうかもしれません。
比較的セキュリティがしっかりしているのは、キンコーズ等の印刷業務を得意としている企業が、運営しているコワーキングスペースです。
印刷ログなどキチンと管理されていて、セキュリティ面に配慮した運営がなされています。
自宅から印刷する
自宅でのプリントは、外の店舗などで印刷するよりも、データや印刷物を持ち出さないため、比較的情報漏えいのリスクを抑えることができます。
社内システムの整備が必要ですが、本社サーバーでデータにアクセスして自宅で印刷を行う場合、VPNを使ってアクセスを制限した上で、印刷ログがサーバー上に記録できるシステムを構築すれば、セキュリティ面での安全性は大幅に高くなります。
どれだけセキュリティに注力しても、ヒューマンエラーのリスクは消えません。
家族や同居人と共用で使っているプリンターに、印刷データを残したり、そのままゴミ箱に印刷物を捨てたりすれば、情報漏洩のリスクになります。
印刷物廃棄のルールとして、シュレッダーの導入を必須にするか、出社したときに持ってきて処分する事を、明確化しておく必要が有ります。
テレワークでプリントすることのリスク
テレワークでの印刷は、会社で管理しているプリンターによる印刷とは、異なるリスクがあります。
社外でのデータ利用の制限は、セキュリティを考慮して有効活用することも可能ですが、紙に印刷した書類に関しては、どのように管理保管されているか?持ち出されているのか?管理することが難しい事が、テレワークの大きなセキュリティ面の安全性のリスクです。
セキュリティポリシーを明確なルール化して徹底する事で、テレワーク時の情報漏洩リスクは大幅に減少させることが出来ます。
プリントログツールの導入を検討しよう
プリントログツールとは、今使っているプリンターのプリント履歴(印刷やPDFへのダウンロード)や使用履歴、コストの管理などができるソフトです。
コストの管理にも役立ちますが、いつ誰がどの端末からどのプリンターにプリントしたのかが分かるようになります。
万が一情報漏えいが起きてしまった場合も、プリントログツールによって、履歴をたどることができれば、原因の特定や検証を行うことができます。
テレワークとプリントログツールの導入は、セットで考えておいたほうがいいでしょう。