レーザープリンターとは?メリットとデメリットをご紹介

パソコンから印刷するのに使うプリンターは、一般的に使われている物で大きく2つのタイプがあります。
レーザープリンターとインクジェットプリンターです。

それぞれの方式に、印刷機能のみに特化したプリンターとFAX・コピー機能などを備えた複合機があります。

プリントアウトされた結果に大差が無くても、それぞれ得手不得手があるのは確かです。
今回は、レーザープリンターを軸に検証します。

目次

レーザープリンターとは?

レーザープリンターは、インクを吹き付け印刷するインクジェットに比較すると、構造は複雑です。

インクジェットのインクに相当するのは、レーザープリンターではトナーと呼ばれる粉状のものになります。そのトナーが印刷物として紙に描かれる工程を簡単に説明します。

静電気を帯びた感光体ドラムに、印刷内容をレーザー(LEDが用いられることもあります)で照射。照射された部分のみが電圧が下がり、そこに帯電させたトナーを接近させると、電圧が下がった場所にトナーが移動します。
次にドラムに帯電させておいた静電気と逆の静電気を用紙に帯電させることで、ドラムから用紙へとトナーが吸い寄せられていきます。
この状態では、用紙にトナーが乗っているだけの状態なので、圧力と熱をかけて用紙に密着させます。

レーザープリンターは、上記の様な工程を経て1ページ単位で印刷されます。そのためページプリンターと呼ばれる事もあります。
原盤を作ってから印刷するようなものなので、同じ物を大量に印刷する場合に適しています。
また、紙のサイズや印刷する内容にかかわらず、同じテンポでスピーディーに印刷する事が出来ます。これは、行単位で印刷するインクジェットプリンターと決定的に違う部分です。インクジェットでは内容が複雑にインクを使う部分が多くなれば、それだけ時間が掛かります。

業務用の複合機・コピー機の多くは同じレーザー方式が採用されています。

インクジェットプリンターとは?

インクジェットプリンターは、レーザープリンターと比較すれば、その構造はシンプルです。そのため筐体サイズも一般的に小さくなります。
A3用紙を扱うプリンターは、レーザー方式では一般家庭に置くことを躊躇する巨大サイズになりますが、インクジェットプリンターではA3用紙サイズを扱うプリンターでも、一般家庭に充分に置けるサイズ感で収まります。

プリンターヘッドが用紙の上を自由に移動して、粒子化したインクを直接噴射して印刷を行います。

インクの種類には「染料」タイプと「顔料」タイプがあります。

染料タイプから,インクジェットプリンターの歴史は始まっています。
パソコンの一般家庭への普及に併せて、プリンターが広く浸透した功績は染料方式を採用するインクジェットプリンターです。
写真印刷に向いている特性を持ち、繊細な色表現が持ち味ですが、インク画用紙に滲みやすく、細かい文字の表現は苦手分野です。
印刷直後は用紙が乾く一定の時間が必要で、大量印刷には向いていません。
水に弱く長期保存にも向かないため、ビジネス用途には向いていません。

顔料タイプは、染料タイプの弱点を克服する、オフィスで使う事を念頭に置いて開発されたビジネスインクジェットプリンターです。
染料で問題だった耐水性に優れ、小さな文字も滲まずにハッキリと表現出来ます。
オフィスで大量印刷をする前提で、印刷速度も向上しています。
色の濃淡の表現は苦手で、その部分は染料タイプに及びません。

両者の良さを併せて持つ、ハイブリッドタイプも有ります。
黒インクに顔料タイプを用いて、文字はスッキリと印刷すると共に、カラーインクは染料タイプを用いる事で、繊細な写真・イラスト等の鮮やかな色表現を可能にしています。写真やグラフ・イラストを用いた、プレゼンテーション等のビジネス文章に最適です。

インクジェット、レーザーとの違いとは?

簡単に二つの違いを表でまとめて解説します。

レーザープリンター インクジェットプリンター
ビジネス用途に最適 家庭用に最適
同じ原稿を大量にかつスピーディーに印刷するならレーザープリンター。
写真の鮮やかさならインクジェットプリンターです。
同一原稿を大量に印刷する用途に適している 同一原稿を大量に印刷する用途に適していない
一枚だけプリントアウトするなら、ウォームアップの必要の無いインクジェットプリンターの方が早い場合も多いです。
フチ無し印刷は出来ません フチ無し印刷が出来ます
導入コストも交換部品(消耗品)も高価 導入コストも交換部品(消耗品)も安価
レーザープリンターは消耗品が高額ですが、交換頻度が低く手間が掛かりません。
インクジェットプリンターは消耗品が安いですが、交換頻度は高くなります。
印刷できる用途が紙に限られる 印刷する対象が幅広い
レーザープリンターは再生紙を使っても滲みにくいです。
インクジェットプリンターは、紙では無い光学ディスク等にも印刷できます。
構造が複雑 構造が単純
大きく重くなりがち 軽量コンパクト
消耗品はトナーと感光体 消耗品はインク
1ページごとに印刷(ページプリンター) 1行ごとに印刷(ラインプリンター)
加熱定着処理が必要 加熱定着処理が不要

レーザープリンターのメリット、デメリットとは?

印刷する仕組みが全く異なるレーザープリンターとインクジェットプリンターですが、お互いの弱点を克服すべく技術の進歩を遂げて、その差が少なくなっています。
それでも、向き不向きはあります。
レーザープリンターのメリットとデメリットを考えてみます。

レーザープリンターのメリット

印刷速度が早い

インクジェットも昨今早くなってはいますが、トータルではレーザープリンターの方が早く、特に大量印刷ならレーザープリンターです。

大量印刷

大量印刷をする場合には印刷速度が早いだけでなく、印刷直後から乾燥時間が不要で直ぐに綴じることが出来るなど、扱いの簡単さも業務効率に大きく影響します。

印刷コストが安い

インクジェットプリンターのインクと比較すれば、レーザープリンターで使うトナーは高額になりますが、印刷出来る枚数が多くなり、1枚あたりのコストで比較すればレーザープリンターの方が安価になります。

普通紙や再生紙に対して、ビジネス書類など読みやすく高品質な印刷が可能

小さな字になっても読みやすく、滲みの無いのはレーザープリンターです。
スッキリとした文字は、大型複合機コピー機で印刷された文書に遜色なく、家庭でもオフィスで印刷した場合と同等のクオリティを得ることが出来ます。

水に強い

印刷された用紙に蛍光ペン・マーカーを利用しても、文字が滲みません。
後から書き加える事が多い、ビジネス文書に最適です。

消耗品の交換頻度が低い

トナーカートリッジを一旦交換したら、インクジェットと比較して多くの印刷が可能になるため、頻繁に消耗品交換の手間がかかりません。

メンテナンスが楽

使用しない期間が長くなっても、比較的印刷に問題が生じません。
インクジェットでは使わない期間が有ると、インクがヘッドノズルで固まる事があり、使いたい時に直ぐ使えない事があります。
その場合に必要なヘッドクリーニングも不要で、ヘッドクリーニングを行えばインクを消耗しますが、そのコストも掛かりません。

レーザープリンターのデメリット

ウォームアップが必要

インクジェットプリンターは直ぐに印刷にかかれますが、レーザープリンターではウォームアップの時間の時間が必要です。一枚だけ即座に出すならインクジェットプリンターにメリットがあります。

発熱量・商品電力が多い

高温で定着させる工程が必要なため、発熱量が多く消費電力が大きくなります。
一般家庭にある電気容量では、利用する度にブレーカーが落ちるケースも有り、その場合は電力会社とのアンペア契約を見直す必要があります。

本体筐体サイズが大きい

一般的な家庭に置くのには、A4サイズ対応のレーザープリンターまでです。
A3サイズ対応のレーザープリンターのサイズは大きく、用紙の投入や印刷時・メンテトラブル時には更に占有スペースが必要になり、簡単に設置する事は困難です。
重量も重くなり、置ける場所が限られます。

繊細な色表現コントラストは苦手

ハッキリとした表現が得意な反面、たとえば顔写真の様な繊細な色とコントラストが必要になる印刷には向いていません。

表面がコーティングしてある光沢紙類には使用出来ない

紙の選択を間違えると、レーザープリンターは修理が必要になる事があります。
インクジェットプリンター専用の光沢紙は、熱が加わることによってレーザープリンター内部にあるドラムを損傷する可能性が有ります。

消耗品の一度にかかるコストは高くなる

出力枚数に応じて、定期交換部品が必要になります。
コピー機の場合は保守契約が結ばれていることが多く、同様のユニット交換は無償で行われますが、レーザープリンターでは保守契約が結ばれることは少なく、出力頻度・枚数によってはコピー機(プリンター機能のある複合機です)をプリンターとして使う方がトータルコストとして安価になる場合があります。
また、再生トナーなどサードパーティー製の消耗品を使用することで、大幅にコストが削減できます。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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