印刷枚数から見る、複合機の最適な速度はどれぐらい?

オフィスに導入する複合機は、大型複合機コピー機をリース契約で導入するケースが多いです。
リース契約は、導入価格合計にリース会社の金利経費を加算して、リース期間の月数で割った金額が、毎月支払うリース料になります。

機種本体価格は、数十万円から数百万円まで幅広くありますので、導入する金額によって月々のリース料金は大きく変わります。
複合機の価格はメーカーやオプションによっても変わりますが、金額による最も大きな違いは印刷速度です。

宝の持ち腐れになる、印刷速度のハイスペック機種で高額なリース料を支払ったり、印刷枚数にそぐわないロースペックな機種を使ったりするのは、経費の適正支出や業務効率から見て、大きな問題が有ると言わざる得ません。

さらに、印刷速度と印刷枚数には、複合機プリンターの寿命という観点からも、大きな相関関係を有しています。
印刷枚数から見た、複合機プリンターの最適な印刷速度の機種は、どんな基準で選ぶのか?を解説していきます。

目次

印刷速度の3つの種類

一般的に、複合機には主に3段階の速度が存在しています。
それぞれの速度について、見ていきましょう。

ウォームアップタイム

ウォームアップタイムとは、複合機が電源オフ・スリープモードの状態から印刷準備完了に至るまでの時間を指します。

複合機は印刷を長時間行わないと、自動的にスリープモードへ移行します。スリープからの起動が遅い場合、ウォームアップタイムに問題があると考えられます。

タイムの目安としては、およそ10秒以内に起動が完了するのが一般的です。

ファーストコピータイム

ファーストコピータイムは、ウォームアップを終えて待機モードに入っている複合機が、実際に1枚目を印刷するまでの速度を表すものです。

1枚目の印刷速度に問題がある場合、ファーストコピータイムの改善につながる機器の導入や修理が必要です。

ファーストコピーが始まるまでの時間は、30秒以内が目安となります。

連続複写速度

連続複写速度は、1分間でA4用紙を何枚コピーできるかを表したものです。印刷速度を測る場合、このスピードの値を基準とするのが一般的です。

スピードの単位にはipm(1分間に印刷できる枚数)と、ppm(1分間に印刷できるページ数)というものがありますが、ほぼ同一と考えて差し支えありません。

印刷速度の詳細については、「プリンターの印刷速度のipmとppmとは」も併せてご覧下さい。

月間印刷枚数と速度の目安

自社に最適のプリンター選びにおいて、印刷速度は重要な指標となります。その際検討したいのは、プリンターの印刷速度と自社の印刷枚数の両方を参考にする点です。

月間の印刷枚数が3,000枚に満たない場合、分速20~25枚程度のスピードでも十分に間に合います。5,000枚以下の枚数となると、それよりもグレードの高い30枚程度の印刷が可能なモデルが必要です。

1万枚近い枚数を印刷する場合には、よりハイグレードな分速40枚程度のモデルを導入するのが良いでしょう。

印刷枚数が多ければ多いほど、速度にも気を配らなければ業務効率に支障をきたす恐れがあります。

より詳しいメーカーごとの比較「プロ目線で印刷スピードの速い複合機プリンターメーカーを比較してみた」もご覧下さい。

印刷速度の速いプリンターが本当に必要ですか?

一方、大した枚数の印刷物が発生しないにもかかわらず、ハイエンドな印刷速度を持つ複合機を導入する必要がないのも事実です。

枚数が少なければ、極端に速度を追い求める必要はありません。逆にウォームアップスピードなどに注目し、いざというときの待機時間を極力短くするモデルを選ぶと良いでしょう。

値段で複合機の良し悪しを決めるのではなく、必要なパフォーマンスを発揮してくれるかどうかで把握できる選び方を身につけることが大切です。

印刷枚数を考慮しない速度のプリンター選びは、寿命にも大きく影響します

複合機プリンターの印刷速度は、業務効率に大きく影響する事は間違いありません。
支払金額に余裕が有るなら、少しでも印刷速度の速い機種を選択する事で、快適な業務環境が実現できます。

しかし、印刷速度は業務効率だけでなく、プリンターの寿命にも大きく関わってきます。

印刷枚数のスペックで機種本体価格は大きく変わる

前述のように、大型複合機コピー機の価格は、一般的に一分間にどれだけの印刷枚数をこなせるかで、大きく変わって来ます。

一例として、リコーの機種価格を見てみましょう。(価格は全て税抜価格)

・RICOH IM C6000         2,440,000円~   カラー60枚/分 モノクロ60枚/分
・RICOH IM C5500         1,960,000円~   カラー55枚/分 モノクロ55枚/分
・RICOH IM C4500         1,710,000円~   カラー45枚/分 モノクロ45枚/分
・RICOH IM C3500         1,490,000円~   カラー35枚/分 モノクロ35枚/分
・RICOH IM C3000         1,270,000円~   カラー30枚/分 モノクロ30枚/分
・RICOH IM C2500         1,070,000円~   カラー25枚/分 モノクロ25枚/分

一分間に25枚印刷可能な機種と、45枚が可能な機種の価格差は、おおよそ1.7倍になります。

たとえば、250枚の連続印刷をこなす場合、25枚機では10分ほどの印刷時間が掛かりますが、45枚機では概ね5分半少々で印刷が完了する計算になります。

この差をどう捉えるのか?は、オフィスそれぞれの仕事環境によって大きく変わります。

中には、「大量に印刷するけれど、たとえ印刷時間が掛かっても、一日中動かしていれば問題無し!」と、安価で低速な印刷速度の機種を、積極的に選ぶ判断をする方もいらっしゃるでしょうが、それは推奨出来ません。

印刷耐久枚数(平たく言うなら寿命です)と、印刷速度は大きく関係しているからです。

月間の印刷枚数と、プリンターの印刷速度・寿命は密接に関係している

複合機を含むプリンターの耐用年数は、法定耐用年数を基準としていて、多くの場合5年に設定されています。

そのため、印刷速度から月間の印刷枚数を設定して、耐用年数を超える印刷耐久枚数を考慮して設計がされています。
たとえば、ゼロックス(富士フィルムビジネスイノベーション)のDocuPrintシリーズの耐用年数は全て5年ですが、耐用枚数では最小機種で5万ページ(A4横)・最大機種で300万ページ(A4横)のように大きな差があり、その差は印刷速度にあります。

印刷速度に応じて、プリンターメーカーでは耐久性の高い高価な部品を使用します。

仮に、低速の20枚機で耐用年数が20万枚になっている場合、毎月平均3,000枚を印刷するオフィスでは、200,000枚÷3,000枚=66.6ヵ月になるため、耐用年数の5年(60ヵ月)を超える良いバランスになります。

同じ機種で毎月10,000枚を印刷した場合、耐用年数を計算すると200,000枚÷10,000枚=20ヵ月になり、耐用年数の5年には大きく届かず、リース期間の途中で不具合が頻発する可能性を含んでいます。

この場合は、印刷速度は必要としていないオフィスでも、40枚機・印刷耐久枚数60万枚の機種を選択すれば、耐用年数5年に近い適正なバランスになります。

大まかな印刷枚数と、月額リース料の相場・推奨月間印刷枚数は以下の通りです。

連続印刷枚数 月額リース料相場 推奨月間印刷枚数
20枚/分 10,000~18,000円 1,000~3,000枚
30枚/分 12,000~18,000円 3,000~6,000枚
40枚/分 16,000~23,000円 6,000~10,000枚

 

この記事を書いた人

テックライター歴5年。通信・ハードウェア業界を中心に、BtoB関連のライティング案件を多数担当。

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