富士ゼロックスのコピー機、複合機の特徴

現代では死語の一つになっていますが、高度成長期のオフィスでは「この書類をゼロックスしておいて!」という言葉が普通に使われていました。
これは、「この書類をコピーしておいて!」という意味です。

この表現は日本だけの現象ではなく、欧米も含めて使われていた様です。

コピーする行為=ゼロックスする が定着するくらい、コピー機複合機の歴史はゼロックスの歴史と言っても過言ではありません。

このゼロックスという企業に長年に渡って関わり、大きな役割を果たしてきた日本の企業が富士フィルムです。

両社は1962年(昭和37年)に合弁会社である、「富士ゼロックス株式会社」を立ち上げています。

当初の富士ゼロックスはアジア地域における、ゼロックスの販売代理店の位置づけでしかありませんでしたが、日本国内で製造や開発に注力していく中で、結果的に立場が逆転していきます。

複合機コピー機において、ゼロックスのブランドは絶大であり、信頼性や基本性能に関しては他の追従を許していません。

富士ゼロックスのコピー機複合機について、その特徴を含めて解説します。

目次

富士ゼロックスという会社

富士ゼロックス株式会社という企業は既に存在が無く、2021年4月から富士フィルムビジネスイノベーション株式会社に社名変更していて、企業名からはゼロックスという名前が無くなっています。

簡単に同社の歴史を見ていきましょう。

ゼロックスとゼログラフィ

活版印刷が主流だった印刷の分野で起きた、産業革命とも言える技術がゼログラフォイ(Xerography)です。

ゼログラフィは現在も利用されているレーザー方式・LEDプリンター・複合機の基礎になっている技術で、その技術を用いた世界初のコピー機が1960年にゼロックスから発売されています。

このコピー機は当時のオフィスに画期的な利便性をもたらし、市場は大きく拡大しましたが、ゼログラフィ技術の特許によって他社は参入ができず、米ゼロックス社がマーケットを独占します。

富士ゼロックスの誕生

1962年に日本の富士フィルム株式会社とゼロックスの合弁で、富士ゼロックス株式会社が誕生しています。

だたし、富士フィルムが合弁したパートナーは米ゼロックス本社ではなく、当時アジアの商圏を持っていたのが英のゼロックス現地法人である事から、ランク・ゼロックス社になっていました。

1997年にランク・ゼロックス社が米ゼロックスの完全子会社化される事で、名実ともに米ゼロックス本社との合弁企業になっています。

富士ゼロックス株式会社は、当初こそ日本を含むアジアの販売代理店の立場でしたが、技術ライセンスの契約をゼロックスと締結して、自社生産に乗りだして開発分野にも着手して確実に実績を伸ばしていきます。

米ゼロックス本社は、莫大なブランドライセンス料と技術ライセンス料が入る事にあぐらをかいて、戦略が後手に回り特許の独占利用権の失効期限を迎える中で、他社の攻勢もあり1980年代に入ると業績が低迷していきます。

困窮したゼロックスは2001年に富士ゼロックス株式会社の持ち株の半数を富士フィルムに売却した結果、富士フィルムの持ち株比率が75%になり、富士ゼロックス株式会社は富士フィルムの連結子会社になっています。

袂を分かつ

2018年になると、富士フィルムがゼロックス本社の発行株式の過半数を買収して子会社化して、ゼロックス社の屋号を富士ゼロックスにする統合合意が両社でなされました。

しかし、ゼロックスの株主の強固な反対に屈したゼロックスは、統合合意を一方的に破棄する事態になり、富士フィルムは損害賠償請求訴訟を起こします。

水面下での話し合いで、ゼロックス本社が持つ富士ゼロックス株式会社の株式を富士フィルムが全て買い取り、同社を完全子会社にする事で手打ちにして、ゼロックス本社の買収は断念しています。2019年11月のことでした。

2021年の3月に契約期限満了を迎えても、富士フィルムは更新を行わず、ゼロックスのライセンス・技術契約は終了しています。
それに合わせて富士ゼロックス株式会社の社名を富士フィルムビジネスイノベーション株式会社に変更しています。

アジアのゼロックスブランドのコピー機販売からは全て撤収して、富士フィルムブランドの複合機販売に注力すると共に、ゼロックスとの協業時代では制限されていた販売エリアも、欧米に向けて自由に販売できるようになりました。

資本やライセンス関係は全て切れましたが、両社で相互の商品供給は今後も継続して行われていく予定になっています。

富士ゼロックスのコピー機の特徴

富士フィルムのコピー機には、ゼロックス時代から培ってきた信頼が高く、その信頼を裏切らない事で多くのユーザーに支持されています。

印刷の質

まず1つ目は、カラー印刷の質です。一般的なコピー機は、大量に印刷をすると徐々に色が薄くなることが多く、全部の紙を均一にカラーコピーすることが難しいという課題がありました。

しかし、富士ゼロックスのコピー機は、1分間に70枚印刷したとしても、全くカラーの質が落ちません。また、色の質感も実際の写真に近い感度で再現することもでき、プレゼン用の資料だけでなく、商品のポップアップにも利用できるので、活躍の幅が広がります。

多くの機種を取り扱う販売代理店の営業さんに本音を聞くと、多くの方が富士フィルムの複合機の印刷品質について絶賛しています。

高い耐久性

2つ目は、プリンターの耐久性です。国内でも屈指の複合機メーカーであるため、商品の質が高いです。耐久性があるため、故障などのトラブルが少なく、余分にコストがかかってしまう心配がありません。

充実した機能を長い期間使い続けたいと考えている方は、ぜひ1度検討することをおすすめします。

富士フィルムのコピー機は他社と比較して高いと言われますが、絶大な信頼を裏切らないパーツコストを適切にかけている事が理由にあります。

サポート体制

3つ目はサポート体制の充実度で、その拠点数だけでも他社を圧倒しています。

常時カスタマーエンジニアや営業担当者が待機しているため、トラブルがあった時はすぐに相談できます。また、モバイル端末や複合機の操作パネルからヘルプ操作ができるため、機械が得意じゃない人でも安心して利用できます。

どうしても、自分で解決できないときは、コールセンターに電話して、指示を受けながらトラブル対応することも可能です。無理して更なるトラブルを起こす前に、相談できる環境が整っているので、初めて利用する方でも滞りなく利用できると思います。

優秀なソフトウェア

パソコンで利用する、「Docuworks」と呼ばれる富士フィルム独自のソフトウェアの出来が秀逸で、多機能で使いやすいデータ管理と複合機の連動機能の数々は、一度利用したら離れられません。

ペーパーレス化にも利用できるデータの一元化と複合機の連携については、以下も併せてご覧下さい。

富士ゼロックスの劣る点

 

富士フィルムのコピー機で、他社に劣る点もみていきましょう。

高い

他社と比較すると絶大なブランドイメージがあるため、価格勝負の販売方法はとっていません。

そのため他社と比較すれば、割高な価格設定になっていると言えます。

高くても多くの評価が得られているのは、前述のように耐久性の高さや印刷品質の素晴らしさのアドバンテージが認められている証とも言えます。

中古利用が難しい

富士フィルム製のコピー機は、ゼロックス時代から新品のリース契約が一般的で、絶対的な販売台数と比較すれば中古品の流通は少ないと言えます。

ブランドイメージを守るために、リユース品を出さずに回収する方策がとられ、正規ルートを外れた中古品にはパーツの入手も難しいのが現状です。

まとめ

この記事では、富士ゼロックスについてご紹介しました。複合機やプリンターといったコピー機を選ぶ際、様々な企業の商品があります。

それぞれの企業商品の特徴を知ることで、あなたに適したコピー機を選ぶことができます。ぜひ、どのコピー機を利用するか迷っている人は、この記事を参考にして選んでください。

この記事を書いた人

新卒でIT企業に入社し営業を経験。現在はフリーのWebライターとして活動しています。
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