以前のオフィスと劇的に変化した事の一つに、インターネットの普及があります。
インターネットの普及する前は、コンピュータが導入されている企業でも、社内ローカルネットワークが構築されている事は僅かでしたが、インターネットの普及により社内ネットワークが多くの企業で構築されるようになりました。
更に拍車を掛けたのが、無線LANとWi-Fiルーターの普及です。
Wi-Fiルーターを設置すれば、無線や有線を問わずに、端末や機器をローカルネットワークの中に組み込んで、機器同士で自由にデータのやり取りを行ったり、インターネットで外部に接続したりする事も出来ます。
その環境下に接続出来る機器の一つとして、プリンター・複合機があります。
より自由に接続出来る手段として、以前は中心だったUSBケーブルによる接続方法に変わって、ワイヤレスで接続出来るプリンターや複合機が増えています。
プリンターや複合機をワイヤレスで利用する方法と、メリット・デメリットについて解説します。
Wi-Fiと無線LANの違いは?
普段何気なく、「Wi-Fi」と「無線LAN」という言葉を使っていますが、この2つについて、同じような・・・でも違うようなイメージを持っている方も多いと思います。
LANとは?
LANはローカルエリアネットワークを略した呼び方で、当初はLANケーブルを使ってルーターに接続し、繋がれた機器同士でデータのやり取りをするものでした。
そのため、機器の台数分だけ煩雑になったケーブルが、縦横無尽に這う状態になります。
無線LANの登場
この状態を解消し、すっきりとした環境だけでなく、接続する機器の移動の自由をもたらしたのが、無線LANです。
この無線LANが登場した当初は、機器によってまた、メーカーによって規格が異なり、規格が違う機器同士を接続して相互利用する使い方が出来ない状態でした。
共通規格の登場
各社の無線LANがバラバラの規格では、一向に普及が進まない事は明らかで、普及しなければ台数が生産出来ず、価格を下げることも出来ない事から、相互利用が出来る標準化が必要になります。
Wi-Fiの規格表示の中に、「IEEE802.11」という表現を見かけたことはありませんか?
IEEE(アイ・トリプル・イー、Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、直訳すればアメリカ電子学会で、その後に続く数字は、1980年の2月に設立されたことが名前の由来になっている、無線LANの標準化を目的とした団体802委員会によって、1997年に無線LAN方式の規格統一が決められました。
この統一規格が「Wi-Fi」です。
Wi-Fiの規格に適合された無線LANの機器は、メーカーや機種を問わずに、相互利用が出来る様になりました。
複合機をワイヤレスで使う方法
複合機をワイヤレスで利用する場合、主に二つの方法が挙げられます。
どの方法が良いかについては使用環境や機種によって異なるため、特徴を理解して利用すると良いでしょう。
Wi-Fiの活用
一般的なワイヤレス通信の一つが、Wi-Fiを利用した方法です。
〇Wi-Fiルーターを使う
複合機とルーターを接続して、ローカルネットワークの中に組み込みます。
ルーターとの接続は、有線LANケーブルを利用する方法と、無線LANを利用する方法があります。
ローカルエリアネットワークの中にある複合機は、同じネットワークの中にある機器や端末から、無線接続した機器や有線接続した機器を問わず、自由に印刷する事が可能になります。
パソコンから利用する場合は、複合機のドライバをインストールすることで、直ぐに利用出来る様になります。
最近ではオフィスでのビジネスインクジェットプリンターの普及や、在宅ワークに利用される事が増えた事も有り、小型の複合機やプリンターにもWi-Fiが搭載された機種が増えて、ローカルエリアネットワークに組み込むことが出来るタイプが、より一般的になっています。
大型複合機コピー機では、無線LANアダプターをオプションで装着が必要な場合もありますが、これから導入するなら、是非装着しておきたい機能です。
以前はローカルエリア内にあるWindowsパソコンに、USBケーブルで接続したプリンターや複合機を共有する事で、他のパソコンからも利用することが出来ましたが、2021年のOSアップデートに伴い、事実上利用が出来なくなりました。
〇Wi-Fiルーターを利用しない
複合機やプリンターに機能が搭載されている場合は、Wi-Fiルーターを介さずに、直接プリンターとパソコンなどの機器端末をWi-Fiで接続して、印刷する事が出来ます。
アドホックモードやアクセスポイントモードと呼ばれて、従来からあるローカルエリアネットワークとは、全く別のネットワークです。
ルーターが機能しないなど非常事態時以外では、利用しません。
家庭用のプリンターや複合機では、Wi-Fi環境が整っていなくても、スマートフォンと直接やり取りが出来る親和性があります。
Bluetooth通信
もう一つの方法が、Bluetoothを使ったワイヤレス通信です。
BluetoothはWi-Fiとは違い、ローカルエリアネットワークの環境を用意する必要がなく、PCと複合機が直接無線接続するタイプの方法です。
最長で数メートルという短距離の無線通信とはなるものの、初期設定にかかる手間はWi-Fiに比べて少なく、すぐに利用できる事がメリットです。
デメリットとしては、手軽さはあっても、通信速度はWi-Fi接続よりも遅くなることが挙げられます。
大きなデータを扱う事には向いていません。
また、機能を搭載している複合機が少ない事もデメリットです。
ノートパソコンには搭載されているケースが多いですが、デスクトップパソコンに搭載されているケースは希です。
複合機をワイヤレスで使うメリット
複合機をワイヤレスで運用するメリットについても、確認しておきましょう。
業務の効率化
ワイヤレスで複合機を利用することができれば、業務の大きな効率化が期待できます。
印刷のたびにデータをUSBに移して複合機に挿入する手間は無くなり、データをネットワーク内の複合機に送信するだけで、自動的に印刷が始まります。
また、インターネット環境があればどこからでも複合機を利用できるので、外出先から紙媒体を印刷したい場合にも便利な機能となるでしょう。
オフィスレイアウトの刷新
ワイヤレスを推進することによって、オフィスで必要なケーブルの量も減らすことができ、室内をすっきりさせることが可能です。
見た目の問題だけでなく、LANケーブルの配置などに気を配る必要がなくなるので、オフィスの拡張性やレイアウトの刷新にも良い影響を与えてくれます。
複合機をワイヤレスで使うデメリット
一方、複合機をワイヤレスで扱うことにより、いくつかのデメリット発生する可能性も押さえておきましょう。
通信エラーの発生で印刷ができないことも
無線環境の場合、有線に比べて通信エラーが発生しやすくなります。有線ならダイレクトに情報を複合機に送信できるのですが、ワイヤレス通信はネットワーク環境や通信距離など、様々な要因に阻害される可能性があります。
印刷に手間取り、結局有線に逆戻りしてしまうケースもあるため、事前に無線環境をしっかり整備しておく必要があるでしょう。
セキュリティリスク問題
無線でのデータ送受信が増えることで、セキュリティリスクもある程度発生してしまいます。
ワイヤレス通信は、第三者によって傍受されてしまう可能性もあり、情報漏洩の温床となりやすいと言えます。
セキュリティレベルの高い無線環境を構築し、対策をすすめておかなければなりません。
おわりに
複合機のワイヤレス利用は非常に便利なため、率先して環境整備を整えておきたいところです。対応モデルの導入やネットワーク環境の整備を進め、業務効率化を実現しましょう。