プリンターの目詰まりを解消する洗浄カートリッジとは

久しぶりに使ったインクジェットプリンターで、印刷結果に愕然とした経験はありませんか?
「全体的にかすれている!」「色が明らかにおかしい!」「意図していない筋が出てる!」

こんな症状が出ているプリンターの多くの場合は、本体の故障ではなくインクが正常に出ていない事が原因です。

まず行うのは、ヘッドクリーニングです。
でも、プリンターに搭載されているヘッドクリーニング機能を使っても、思った様に改善しない事もあります。
ヘッドクリーニング機能は、インクを一定量消費させる事で目詰まり解消に導く機能です。

こんな状態でお困りの方に、もっと強力に解決するための方法を解説します。

目次

インクの目詰まりとは

インクの目詰まりは、プリントヘッドとその周りの問題が大半です。
プリントヘッドは、ごくごく微量(10のマイナス12乗リットル=1兆分の1リットル=1ピコリットル)のインクを、精密にコントロールしています。
想像を絶する繊細さを必要とするプリントヘッドは、とてもデリケートなパーツです。

インクが目詰まりする原因

インクの目詰まりの原因は、色々あります。
最初に考えられるのは、しばらく使っていなかった(概ね1ヵ月以上)ことにあります。

時間の経過や、それに伴う環境の変化でプリンタヘッドに付いたインクの一部が乾燥して固まって付着する事がその原因です。

一度固まってしまったインクも、再度通常のインクに触れる事で溶け合う事で、プリントヘッドの正常な機能が回復されるのが、ヘッドクリーニングの仕組みです。

もう一つは、インクを送り出すノズルの途中に空気が入り込んでも泡状になり、正常なインクの供給が出来なくなっている事にあります。

プリンターに備わっているヘッドクリーニングが行われる時に、通常よりも多くのインク量をヘッドに流し込むことによって、圧力を掛けて押し出しています。

機種によっては、ヘッドクリーニングの強さを調節出来るものがあります。
これは、使うインクの量=圧力を変えて行われています。

ヘッドクリーニングに付いての詳細は、「プリンターインクの目詰まり解消の仕方、ヘッドクリーニングのやり方を解説」も、併せてご覧下さい。

しかし、ヘッドクリーニングを行っても、改善しないケースがあります。

次のステップに行く前に確認したい事

ヘッドクリーニングは複数回行ってください。
正常に印刷出来ない理由が、インクの目詰まりにあるのか?確認する必要が有ります。

交換したばかりのインク

インクカートリッジを交換したばかりだと、インクがまだ行き渡っていない可能性があります。

電源を入れて時間が経過すれば、正常に動き出しますが、ヘッドクリーニングを行えば強制的にインクが放出されます。

空気穴テープが付いたままになっていないか?

プリンターによりますが、新しいインクカートリッジには、空気穴がテープで塞がれているタイプが数多くあります。

空気穴がテープで塞がれていると、正常にインクを出す事が出来ません。
基本的な事ですが、結構頻度の高いトラブル要因です。

インクの量は充分あるか?

純正インクが正常に機能していれば、インク残量は正常に表示されていて直ぐに解りますが、リサイクルインクや詰め替えインクを利用している場合には、正常に表示されないケースがあります。

行った印刷枚数がそれほど多くなくても、印刷する間隔が開いている時には、プリンターが自己防衛のために、繰り返しヘッドクリーニングを自動的に行っていて、インクを消費している可能性が有ります。

基本的な事が確認出来て、インクの目詰まりだと確信したら、次のステップに移ります。

プリントヘッドの形状を確認しましょう

インクジェットプリンターのプリントヘッドには、2通り有ります。

一体型

比較的安価に販売されているプリンターに多いのが、インクが入っているカートリッジと、プリントヘッドが一体型になっているタイプです。

この場合でヘッドクリーニングを行っても、自体が改善しない場合には、素直に新しいインクカートリッジに交換する事をオススメします。
ヘッドと一体型ですから、インクカートリッジを交換する事でヘッドも新しくなり、改善します。

分離独立型

インクのカートリッジだけを取り替えて、プリントヘッドが機器に残る分離独立型では、ヘッドの交換を素人が簡単に行う事には無理が有ります。

物理的に精密ドライバーなどを使って分解して、自分でヘッドを取り外すことは出来ますが、精密機械であるプリンターにはdo it myselfは向いていません。

そうなると、メーカーに修理を依頼せざるを得ませんが、条件を満たしている保証期間中は別として、一般的に修理に掛かる費用と、新たにプリンターを買い直す費用とで天秤に掛ける必要が有り、多くのユーザーは後者を選んでいるのが現状です。

修理に出したり、新たに買い直したりする前に試してみたいのが、洗浄カートリッジです。

洗浄カートリッジとは

前述の様に、ヘッドクリーニング機能はインクを使って正常な状態に導きますが、より効果的に目詰まりを解消するために、インクではなく洗浄液を使う方法があります。

洗浄液をプリンターに用いる方法としては、プリントヘッドクリーナーと呼ばれている洗浄液と注入する注射器がセットになっているものと、洗浄カートリッジを使う方法があります。

オススメするのは、手間無く簡単に利用出来る、洗浄カートリッジの使用です。
利用時に洗浄液が飛び散って、プリンターの内部基板に影響を及ぼすリスクもありません。
洗浄する効果も、一般的に洗浄カートリッジの方があります。

プリンタヘッドが分離独立型のインクジェットプリンターで、インクの代わりに洗浄液の入ったカートリッジに交換します。

洗浄液は、界面活性剤とインク溶剤・融解剤から構成されています。
イメージとしたら、洗剤です。
固まったインクによる汚れを掃除して、インクの通り道全般をクリーニングする事で正常な状態を取り戻します。

もちろん普通の洗剤が入っているわけではありません。
インクジェットプリンターのインク成分の中には、元々インクの固着する事を防ぐための溶剤が含まれています。

この濃度を上げて強力にして、色の付くインク成分は加えずに活性剤を加えたものが一般的です。従来使っているインクとは、非常に親和性が高いと言えます。
そのため、プリンターに問題無く使用出来ます。

注意点としては、ヘッドのノズルが完全に固まって詰まった状態では、ヘッドまで洗浄液が到達出来ない場合もあり、その場合は充分な効果が得られない事もあります。

洗浄カートリッジは、通常使っているインクカートリッジと同じ形状です。
一時的に付け替えて使用します。

普段から印刷頻度の低いユーザーだと、プリンターの電源を入れっぱなしにしておいて、プリンターが自動的に判断してヘッドクリーニングが行われる機種では、インクの目詰まりを防止する事がある程度可能になります。

この場合、印刷を行うのではないのにインクが相当量消費されていきます。
実際に利用するインクではなく、洗浄カートリッジを装着しておくのも一つの手です。

インクの目詰まり時に、洗浄カートリッジを利用する使い方を見ていきましょう。

洗浄カートリッジの使い方

使い方は極めて簡単です。

  1. 問題のあると思われるカラーのインクカートリッジを、洗浄液カートリッジに挿し替えます。通常のインク交換と同じ手順です。問題のカラーが判断できない場合は、順番に行う必要があります。
  2. ヘッドクリーニング機能を開始します。
    インクの代わりに洗浄液を使う事で、強力なクリーニングが行われます。
  3. 問題のカラーが判断できている場合は、「洗浄カートリッジを装着したまま」該当するカラーのベタ印刷か、該当するカラーを多く使用した原稿の印刷を行います。残っているインクが使われて徐々に色が薄くなっていきます。完全に色が無くなるまで続けてください。販売先によっては、専用の印刷シートの印刷使用を奨励していることもあります。(多くは指定先からダウンロードします)
  4. 電源は入れたままで、2時間程度は放置してください。汚れが酷い場合は1日から2日の放置で改善することもあります。
  5. 洗浄カートリッジを取り外して、元のインクカートリッジを装着してください。その後ヘッドクリーニング機能を1度だけ使ってください。問題無く洗浄液が排出されているか確認するため、クリーニング時に使用したデータを再度印刷してください。該当カラーが薄い場合は、洗浄液がまだ残っています。通常のカラーが出るまで繰り返してください。取り外した洗浄カートリッジには、キャップを装着して保存してください。キャップの無い場合は、セロハンテープなどで塞ぐことをオススメします。再度の使用が可能です。

洗浄カートリッジの詳細は、「プリンターの洗浄カートリッジとは?必要なシーンや使い方を解説!」も、併せてご覧下さい。

 

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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