最近あらゆる場所で耳にするようになったSDGsという単語ですが、その意味を詳しく知っている人は案外少ないかもしれません。
環境問題や人種問題的な意味合いで使われていることが多いこのSDGsですが、実は本来はもっと幅広い活動を意味しています。
今回はそんなSDGsについて詳しく理解できるようなお話をしていきます。
SDGsの目標
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という言葉の略称です。
しかし持続可能な開発目標と言われても、いまひとつピンと来ないことでしょう。
知っておきたいのはSDGsという言葉自体に何らかの意味があるのではなく、ここで掲げられている「目標」自体に意味があるということです。
そのためひと言でその内容を語ることは難しいと言えます。
そこでまず、SDGsがどんな目標を掲げているのかを見ていきましょう。
SDGsは17の目標がある
ちなみにSDGsは2015年の国連サミットで採択されたもので、決してつい最近できたものというわけではありません。
これは国連に加盟している193カ国が2030年までに達成するために掲げた目標なのです。
つまり、SDGsは、国連が主体となって進めているものと言うことができます。
ここで採択された目標は、大きく分けて17の項目があります。
それぞれ世界的な取り組みとして達成していくべき目標で、その目標というのは現在世界が抱えている問題を解決するためのものとなっています。
SDGsの17の目標とは
SDGsで掲げら得ている目標は以下の17項目となっています。
まずは順番にその内容を見ていきましょう。
- あらゆる場所での貧困を無くそう
- 飢餓をゼロにする
- すべての人に健康と福祉を
- すべての人に質の高い教育を
- ジェンダーの平等を
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、クリーンに
- 働きがいと経済成長を
- 産業と技術革新の基盤を
- 人と国の不平等を無くそう
- 住み続けられるまちづくり
- 作る責任と使う責任
- 気候変動とに具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と光栄をすべての人に
- 世界的なパートナーシップで達成しよう
持続可能な世界を作るための目標
このようにSDGsでセットされている目標というのは、必ずしも全てが自然環境を守る話や、差別を撤廃するというものばかりではありません。
しかしその根本にあるのは、持続可能な世界を作るために今までのようななりふり構わず成長し続けるというスタイルを捨て、あらゆるものに対してダメージを与えず、さらに世界の全てが平等であるために何をするべきかというビジョンが示されています。
SDGsのターゲット
SDGsをさらに知るためには、ターゲットと呼ばれる項目を見ていく必要があります。
ターゲットは上記の目標に対していくつかのさらに具体的な内容として設定されているのです。
ではそのターゲットにはどんなものがあるのでしょうか。
17の目標のそれぞれにターゲットがある
SDGsのターゲットには17の大項目となっている目標に付随して、ひとつあたり10程度の詳細な内容が記されています。
これはSDGsのターゲットと呼ばれ、目標だけでは漠然としているSDGsをさらに具体的に理解できるものとなっています。
では、そのターゲットはどのようなものなのでしょうか。
SDGsの169のターゲット
ターゲットは目標と比べて数値など可視化できる内容を含んでいるため、より具体性を持った内容となっています。
例えば「あらゆる場所での貧困を無くそう」という目標に対しては7つのターゲットが設定されています。
17の目標に対してこのように複数のターゲットがあり、その数はトータルで169となっています。
ターゲットの例
そのうち一つを例としてあげると、
「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で暮らしている人たちと定義される極度の貧困を、あらゆる場所で終わらせる」
というものがあります。
これを見ると、期限や金額などが数値として表れていて、よりわかりやすく達成に向けての取り組みができるようになっていることがわかるでしょう。
SDGsの達成目標
しかし、いくら具体的に数字を出してのターゲットを設定したところで、それを達成するための動機がなければ、実現は難しくなってしまいます。
そこで、SDGsには達成目標というかたちで、進捗状況をチェックするシステムが用意されています。
この、達成目標とな一体どんなものなのでしょうか。
国連ハイレベル政策フォーラム(HLPF)が進捗をモニタリング
SDGsの達成をモニタリングするために、国連では国連ハイレベル政策フォーラム(HLPF)という仕組みが作られています。
これは各国がそれぞれ自国においてSDGsをどの程度進めているかを報告するための枠組みで、毎年7月にレビューが実施されます。
現在の達成レベルは?
ただしこの達成の進捗状況は、国連がまとめて発表しているわけではありません。
その代わりに前国連事務総長のパンギムさんによるNPO団体「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」、そして「ベルテルスマン財団」が共同でレポートを作成し、進捗状況を可視化しています。
達成するためにするべきこととは
達成目標を確実に成し遂げるためには、国連という大きな枠組みや国、そして地域、あるいは企業というあらゆる場所で、まずはSDGsに対する周知をする必要があります、
さらに、わたしたち一人ひとりの暮らしもまた、個人としてSDGsを意識して行動していかなければなりません。
そのいずれかが不足していると、この多くの目標を全世界的に達成することは困難と言えるでしょう。
私たちが個人としてまずできることは、このSDGsの目標やターゲットを知っておくことと言えるはずです。
日本のSDGs
このように世界レベルでの取り組みが行われているSDGsですが、日本においての現状はどのようなものとなっているのでしょうか。
日本が優先する8つの課題
日本が取り組むSDGsに関しては、8つの優先課題が設定されています。
この8つの課題は、
- あらゆる人々の活躍の推進
- 健康・長寿の達成
- 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
- 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
- 省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
- 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- 平和と安全・安心社会の実現
- SDGs実施推進の体制と手段
となっていて、これをまず日本においては優先的に達成しようということになっています。
日本独自の課題も設定
もちろん日本において既に達成されているターゲットもいくつか存在しています。
これはSDGs原文にもある2030アジェンダの「5つのP」と言われるものに沿ったもので、さらにジェンダー平等と防災の内容がこれに追加されています。
ジャパンSDGsアワードが設立された
SDGs達成には政府主導の施策も大切ですが、企業や団体などの民間による取り組みも重要です。
そこで設立されたのが「ジャパンSDGsアワード」です。
ここではSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞、SDGs推進副本部長(外務大臣)賞、SDGsパートナーシップ賞などのアワードで、地域や企業、団体などを表彰しています。
SDGsへの取り組みは社内外へのメリットがいっぱい
このように多彩な内容を含んでいるSDGsですが、企業がこれに取り組むことでメリットが創出できます。
ではどのようなメリットをSDGsの取り組みから得られるのでしょうか。
SDGは最高のビジネスチャンス
世界の人の多くがSDGsに興味を持つようになっていますので、ビジネスにおいてもSDGsは非常に大きなインパクトを与える取り組みとなっています。
いまではSDGsというコンセプトを自社のビジネスでいかに実現するかを考えることが常識となり、そうなると今までにない新しいビジネスチャンスがそこに広がっているということになります。
ステークホルダーとの関係性向上
ビジネスの世界ではSDGsは既に取り組んで当然というものとなっています。
そのため、現代においてSDGsに無関心であるということは、社会的な価値がないという判断となってしまいますので、例えばグローバルなサプライチェーンから外されてしまうような要因にもなりかねません。
SGDsへの取り組みはこのように株主や取引先などとの関係性を築くために、欠かすことのできない要素となっているのです。
ブランディングや資金調達に
消費者がSDGsに強い関心を持っている時代ですから、SDGsに正しく取り組んでいることをアピールすることは、ブランド価値の向上につながります。
さらに資金調達が必要な場合などでも、SDGsに取り組み社会貢献しているということが、より有意な条件になる場合すらあるのです。