ペーパーレス化で絶対に行うべき社員教育

ペーパーレス化で電子化した紙データを、どれだけサーバー上に収納しても、使われなければ意味がありません。

有効に使うためには、ITリテラシーの向上を始め、一定のスキルを社員全員が持つ必要があります。
普段から使われる現場に近いところで、レクチャーできるリーダーを置いて、OJT(オンザジョブトレーニング)も大切ですが、社員間の意識の差は簡単に埋められません。

ペーパーレス化でデータを使いこなすために、社員全体の能力向上が必要であり、ルールの徹底が必須です。そのためには社員教育が大切です。

ペーパーレス化で行いたい、社員教育を解説します。

目次

ITリテラシーの向上

 

社員のスキルが追いつかなければ、ペーパーレス化は進みません。
電子化する事で、業務が停滞してしまっては本末転倒です。
電子化されたデータを、紙に印刷して業務に使用する社員が多くては、意味がありません。

最も大切なのは、ITリテラシーの向上です。

リテラシー(literacy)は読解記述力で、ITリテラシーは、パソコン・タブレット・スマホ・ネットワーク等に関する理解力の意です。大きく3つの能力に分けられます。

情報基礎リテラシー

情報基礎リテラシーは、「情報を見つけ出す能力」「情報を使いこなす能力」「情報を吟味する能力」から成り立ちます。

ペーパーレス化でデジタル化したデータは、サーバーに置いておくだけでは意味がありません。必要に応じて、膨大なデータの中から速やかに見つけ出し、効率的に仕事に用いる事で大きな価値を生み出します。

デジタル機器リテラシー

ペーパーレス化でデジタル化したデータは、組織の財産です。
コンピュータやタブレットなど、基本的な操作が出来なくては、データを閲覧する事さえ出来ません。

またデジタル化したデータは、そのまま閲覧するだけで無く、それを利用した新しい価値を生み出す事で、財産価値は輝きを増します。
WordやExcel、PowerPointといった、アプリケーションを使いこなす能力が備わることで、データを有効利用するレベルが大きく上がります。

ネットワークリテラシー

ネットワークやセキュリティに関して、正しい知識をもって使いこなす事が重要です。

たとえばペーパーレス化したデータは、ネット接続環境が有れば世界中の何処からでもアクセス出来ます。
しかし、この環境に慣れてくると、不特定な人間が使うインターネットカフェからアクセスしたり、公衆無線LANから接続したりして、情報漏洩のリスクを考えずに、アクセスする人間が出てくる可能性が有ります。
情報漏洩するリスク対策は、ネットワークの正しい使い方・基本動作を徹底して教育する必要があります。

ペーパーレス化とは直接関係しませんが、SNSを含むインターネットの正しい使い方について、合わせてレクチャーしておくことが企業リスクを減らす事に繋がります。
プライベートでのSNSも、炎上して個人・勤め先が特定されるケースが多々あり、企業イメージを毀損します。

デバイスの取り扱い

ペーパーレス化でデジタル化したデータを使いこなすためには、デバイスの取り扱い知識を持つ必要があります。前述のITリテラシーの向上にも繋がります。

キーボード入力やマウスを扱うのが苦手の方は、年齢を問わずに確実に居る事を認識する必要が有ります。
年配の方だけでなく、若い年齢層にもスマートフォンで事足りたため、パソコンやキーボード入力をしてこなかった方も数多くいらっしゃいます。

パソコンでの操作方法を一から教育するのは、時間と手間が掛かります。キーボード操作が必要無く、直感的にスマートフォンと同様に扱うことが出来るタブレットPCを導入する方が早道になる事もあり、全員でペーパーレス化を進めていくためには、導入を検討する余地があります。

操作方法や使い方の浸透を合理的に進めるためには、最適化されたアプリの導入も検討する価値があります。結果的に教える手間が、大幅に削減されるケースが多くなっています。

使い方による情報漏洩のリスクが有ることも、きちんと社員全員にレクチャーして共有しておく必要が有ります。
パソコンやタブレットの使用の仕方に関して、ルールの無い野放しは危険です。
取り扱いを説明する中で、やり方だけで無く禁止事項(新たなアプリのインストールなど)も明快にしておく必要があります。

内勤と外回り中心・倉庫での使用や製造現場等、使われる仕事の内容や場所で適したデバイスは異なってきます。
社内一斉に社員教育を行うのでは無く、使用する機器に合わせた部門別に開催すれば合理的です。

検索用単語の表記ゆれをなくす

紙の状態にあるデータは、後から探し出す場合に、多くの書類を見直す必要があります。
ペーパーレス化することで最も価値が出るのは、膨大なデータ数の中から、必要なものを瞬時に取り出せる検索の速さです。

しかし、この検索は思いのほか融通が利きません。

たとえば、「カシミヤ」と「カシミア」は同じ意味の表記違いです。
どちらかに統一しておかないと、カシミヤで検索してもカシミアに関する文章は出てきません。逆も然りです。

同じ内容の事でも、アルファベットで記述があるものと、カタカナ表記されているものが混在していれば、検索効率は悪くなります。
特に会社名や技術的な事項表記に、起こりやすいケースです。

送り仮名にも注意が必要です。
たとえば、「申込」「申し込み」「申込み」など、同じ意味でも表記ゆれが有ると、検索クオリティが下がってしまいます。

その文章単体では問題が無くても、後から検索出来る様にルールを明確化して社員教育の中で浸透させる事が、ペーパーレス化でデジタル化したデータをフルに活用する為に必要です。

ルールの徹底に加えて、データ運用管理者を置いて、整理整頓と表記ゆれ文章に対して、キーワードを追加するデータ更新に務めることで、検索効率が向上し業務効率は高まります。

ペーパーレスの目標と進捗を確認できるようにする

目標を掲げて、進捗状況を明確にして共有する事で、達成意識が向上します。

東京都庁はペーパーレス化のお手本

ペーパーレス化を進めている東京都庁では、都庁の構造改革ポータルサイトで、2021年5月末までの進捗状況を公表しています。ダッシュボードでは最新のデータを見える化しています。

たとえば、FAXを電子化してペーパーレス化する「FAXレス」では、2021年度目標としてFAX件数のマイナス98%を掲げています。
5月の時点では86.7%でしたが、10月の時点では97.8%まで達成率が上がっています。広く公表するデータは当然職員の目にも留まりますから、目標達成まであと少しという強烈なモチベーションアップに繋がります。

起案文章に紙を使わない電子化の2021年度目標は、FAXよりも更に高いマイナス100%を掲げています。
こちらも5月の時点で92.9%が、10月では95.1%という数字を達成しています。
都庁のペーパーレス化は確実に浸透しています。

ただ、紙の文章を全廃しているかと言えば、そんなことは無く、書類のペーパーレス化は目標自体が50%になっています。
出来る事からどんどん行う、ペーパーレス化の基本セオリーに忠実だと言えます。

ペーパーレス化始める一般企業は目標設定から

都庁は公の機関なので、目標や進捗状況を一般公開していますが、勿論私企業において公表する必要は有りません。
社内向けに広く目標を公表するところから始めましょう。

〇紙文書削減目標

優等生の東京都庁でも、目標値はマイナス50%です。
大きな目標値で有る必要は有りませんが、過去に一度も取り組んだことが無い企業では、書類の洗い直しから含めてマイナス50%程度に設定する事をオススメします。

トータルの数字とは別に、部門別に設定する事も必要です。
ペーパーレス化には向き不向きがあり、出来る部門からだけで始める方が、導入のハードルは下がります。

〇文書検索時間目標

仕事の中で書類を探す時間は、計測すれば大きなウェイトを占めていることに初めて気が付きます。
紙の文章であれば30秒から1分程度に設定して、電子化したファイル検索では15秒から30秒くらい、紙の半分ほどの目標設定をする事で、ペーパーレス化が合理的に仕事を進めるツールであることが実感出来ます。

上記は目標のごく一例ですが、それに対する進捗状況も随時公開して問題点を洗い出し、達成への意識統一維持を図ることが、ペーパーレス化を成功に導きます。

個人差や部署で差があるのは当たり前だと認識する

ペーパーレス化は、一律に進める事は基本的に困難です。
ITリテラシーの高い人間にとっては何でも無い事でも、不足している人間には慣れるまでには多くの時間を必要とします。
達成する為のスキル向上と、達成するスケジュールの設定も大切ですが、「社内ペーパーレス化警察」が登場する事は、百害あって一利なしです。

ITスキルだけで無く、仕事内容でもペーパーレス化の浸透に差が出てくることを気にせず、出来るところから進めていく姿勢を、全体で共有する事が必要です。

多くの社員が絡んでくる、共通の書類からペーパーレス化を進める中で、個人や部署にも徐々に浸透していく方法が最適です。
具体的には、経費精算・交通費精算・出張旅費精算・物品購入・有給申請・欠勤申請・稟議依頼等の申請書類は、ペーパーレス化の導入教材として有効です。

ペーパーレス化に慣れていく人が多くなれば、差は徐々に解消される方向に向かいます。開始当初は、差が有るのは当たり前という広い心が、ペーパーレス化を進行させます。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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