複合機はとても複雑な機能を有しており、保守やメンテナンスが欠かせません。
複合機にトラブルがあれば、仕事を日常通りこなす事が困難になり、思いもかけない多額の費用がかかります。
複合機を導入するのに当たっては、買い取り購入する事は希であり、多くの企業がリースで導入しています。リースの場合、契約時と同時に保守契約を結びます。リース期間中に複合機に発生したトラブルに対して、消耗部品交換・修理・出張費まで含んだメンテナンス契約であり、新たな出費をする事無く対応が望めます。
保守契約の種類には、「カウンター保守方式」・「キット保守方式」・「年間保守方式」・「スポット保守方式」があります。
「年間保守方式」は保険の様なもので、年間の保守料金を一括で支払い、トラブル時に保守対応をして貰うタイプです。「スポット保守方式」はトラブル時に都度、保守を要請するスタイルです。この2つは、リース契約をする時に殆ど選ばれません。
今回は、「カウンター保守方式」と「キット保守方式」について解説いたします。
カウンター方式とは
複合機のリース契約時に、最も多く結ばれている保守契約はカウンター方式です。
カウンター方式は、1枚あたりの料金をリース料とは別途支払う事で受ける保守契約です。
カウンター料金保守サービス契約のメリット
コンビニに行ってプリントするわけでも無いのに、1枚あたり別途料金を支払うこのタイプの保守契約が多いのには理由があります。
カウンター方式の保守の場合は、トナー代や消耗部品といった使っていれば補充や交換が必要なパーツ代や技術料・出張料も込みであり、故障時にも別途料金は一切かかりません。
つまり、「紙だけ手配すれば、丸ごとお任せの使うだけで良い」タイプの保守契約だからです。トナーの在庫が切れて印刷出来ない！という事態も防げます。
カウンター料金の相場単価は？
基本的には出力した枚数分×カウンター料金を支払うので、使う枚数によって支払い額は変動します。ミスプリントも1枚に数えられます。逆に全く出力プリントをしなかった場合は0円かというと、そうではありません。最低料金が設定されていて必ず支払いが発生します。
カウンター料金は、モノクロとカラーで異なります。
また、利用するメーカーや機種など契約する個々で異なり、全く同じ機種を利用している隣り合わせの事務所で、カウンター料金の単価が大きく異なる事は、普通に数多く存在しています。
カウンター料金単価は、過去のお付き合いや、何台目の契約か？だったり、エリアや契約する会社にもより異なります。
既に契約をしている場合、そこにライバル社が食い込んでくる可能性があれば、他社の介入を避ける手段として、安価な設定のカウンター料金が提示されるケースもあります。
逆に、顧客側からのメーカーや機種指名の場合には、無理に安価にカウンター料金を設定する提案が出しません。
同業他社の業種で印刷されている枚数を基準にして、印刷頻度が高い事業所では比較的安いカウンター料金が提案されますし、印刷枚数が見込めないと判断した事業所では、比較的高めに設定されます。
個々に異なっているカウンター料金単価は、オフィシャルに公開する事は殆どありません。
無用なトラブルを避けて、商談での武器にもなることから、敢えて公開するメリットが無くデメリットだけが多いからです。
数少ない公開例として、富士フイルムビジネスイノベーション公式ホームページに記載があるのは、モノクロで7円から8.5円・カラーで35円から45円です。
しかし、実際のカウンター料金の単価はもっと安く、一般的な目安になるのはモノクロ1枚1円から2円程度・カラー-1枚10円から20円程度です。
トナーを使う量は一切関係なく、１枚あたりの金額は固定です。用紙サイズも不問です。
例えば前述の料金を当てはめて考えれば、B６サイズに小さなキャラクターを印刷しても１０円から20円程度、A3サイズにフルカラーで写真印刷しても10円から20円程度です。一文字だけ黒でプリントすれば1円から2円ですが、A3全面ベタ真っ黒をプリントしても1円から2円程度です。
カウンター料金の精算は？
カウンター料金保守サービス契約を締結している大型複合機コピー機は、基本的にLAN接続を通じてインターネットに接続されていて、リアルタイムで状態が把握されています。
カウンター料金に必要な印刷枚数だけでなく、機器の異常やトナーの減り具合まで管理されています。
カウンター料金保守サービス契約を結んでいる場合、印刷枚数×カウンター料金単価の金額は1ヵ月単位で集計され、月額リース料と共に支払いが発生します。
特に初めての契約の場合、金額の大きな月額リース料に目が行きがちで、単価の小さなカウンター料金はスルーしてしまうケースが多いのですが、リース期間中は結んだカウンター料金保守サービス契約の内容（つまり単価）は、一切変更が出来ない契約になっています。
実際に利用してみて初めて、その金額が意外に高くなる事に気が付く事も多くなっています。
たとえば、モノクロ1枚2円・カラー1枚20円で契約している場合に、1ヵ月でモノクロ1,000枚・カラー2,000枚を印刷したケースを計算してみましょう。
2円（モノクロカウンター料金）×1,000枚＋20円（カラーカウンター料金）×2,000枚＝42,000円
印刷枚数は平均的なものですが、この金額に消費税が加算されます。
月額リース料が20,000円になっている場合なら、月に支払う印刷経費としては、42,000円＋20,000円＋消費税になります。
カウンター料金保守サービス契約の詳細については、「複合機リースにかかるカウンター料金って何？抑えておきたい料金システム」も、併せてご覧下さい。
キット方式とは
キット方式は、保守契約付きトナーを必要な都度メーカーから購入する保守契約です。
購入するトナーをコピーキットと呼ぶので、キット方式という名称が認知されています。
期間は5年間に設定されている場合が多いです。
カウンター方式と大きく違うのは、トナーの消費をしなければ最低料金も発生せずに、保守契約が締結できるということです。トナーが残っている間（新たに購入するまで）は料金が発生しません。極論で言えば、殆ど出力しないでトナーを交換しなければ、5年間は修理保守料金が無料だということです。
また、どんな内容を印刷しても1枚としかカウントしないカウンター方式とは違い、キット方式は消耗するトナーの量で、コストは当然変わってきます。
契約している保守契約付きトナーではなく、勝手にリサイクルトナー等を使うと、保守契約は打ち切りになります。トナーの入れ替えは自前でする必要が無く、業者が行います。
保守契約付きコピーキット（トナー）の価格は、カウンター方式同様に契約の背景などで価格は変わってきます。もちろん機種による違いもあるので一概には言えません。
NTT西日本がキット方式の価格を公表しています。機種によって異なりますが、交換目安3,000枚で26,400円と交換目安5,000枚で40,700円の2タイプがあります。
一般的な相場では、モノクロ1枚あたりの単価は7円程度になります。
カラーでは50円から70円程度になることを考えれば、カウンター料金単価と単価と比較して、非常に割高になる事がご理解頂けると思います。
どちらがいいかは印刷枚数と印刷するもので選ぼう
保守契約で、カウンター方式とキット方式のどちらを選ぶのが最適なのか？
そのポイントは、印刷する枚数と印刷する内容で決める事です。
契約内容は千差万別なので一概に言えませんが、診察枚数を基準に考えた場合に目安になるのは、月の印刷枚数が100枚程度と考えれば良いです。
一般的な事業所の印刷枚数としては、100枚はかなり少ないと言えます。
コピーやFAX、パソコンからの印刷もすべて1枚に換算して、営業日を20日と考えれば、1日あたりの印刷枚数は5枚程度になります。
基準の印刷枚数以下の事業所では、カウンター料金保守サービス契約を結ぶよりも、キット契約にした方が安くなりますが、基準枚数を超えれば、枚数に応じて加速度的にキット料金は割高になり、カウンター料金保守サービス契約の方が安くなります。
また、印刷する紙に、どの程度のトナーが乗るかは印刷物で大きく変わります。
これを印字率・ベタ率と言いますが、メーカーが発表している基準の数値は一般的に低い事が多く、判断の指針にするのは少々無理があります。たとえばトナー1本で3,000枚が印刷出来る公表値の基準はメーカーにより5％から6％ですが、企業でプリントする場合それ以上になる事が多く、思っていたよりもトナーの減少率が高くなったケースが多くあります。
カラーを使う事が多い・文字数が多い印刷物が多いなら、カウンター契約の方が割安になる事が多く、モノクロしか使わない・文字数が少ない印刷物が多いなら、キット契約の方が割安になる傾向にあります。
カウンター料金を気にせずに印刷が行えて、印刷コストを大幅に下げる「プリント革命」のレンタルプリンターサービスに、リース契約から乗り換える企業が増えています。
購入でもリースでも無い、レンタルという選択によって変わる印刷経費については、「プリンターをリース・購入・レンタルした場合のランニングコストを比較！」も、併せてご覧下さい。
