複合機(コピー機)の法定耐用年数とは?超過しても使い続けられる?

個人事業主や法人が複合機を購入する場合、法定耐用年数を考える必要があります。しかし一方で、「法定耐用年数ってそもそも何なの?」「法定耐用年数を過ぎた複合機はどうなるの?」と疑問を抱く人もいるでしょう。

本記事では、複合機の法定耐用年数の基本的な考え方を解説します。法定耐用年数のことがよく分かっていない人は、ぜひ参考にしてください。

目次

複合機(コピー機)の法定耐用年数

複合機の法定耐用年数は5年です。

複合機の寿命は、印刷枚数300万枚がおおまかな目安です。この300万枚の目安寿命から、5年という年数を見積もっています。

基準になる枚数から計算すると、5年間で300万枚ですから、1年間では60万枚になり、1ヵ月にすると5万枚になります。

実働20日間と想定すれば、1日あたりコンスタントに2,500枚を印刷するイメージです。多いところでも1ヵ月に1万枚程度が大半ですから、一台の複合機でこれだけの数量を印刷する事業所は限られます。多くの会社では充分に耐えうる数字になっています。

そもそも法定耐用年数とは?

法定耐用年数とは、税法上で規定される耐用年数のことです。より簡単に言うと、資産の使用可能期間です。

時間経過とともに価値が減少する資産を購入した場合、使用可能期間にわたって分割で費用を計上します(「減価償却」と呼ぶ)。この使用可能期間を、国税庁が一括して定めているのです。

この減価償却には、定額法と定率法が有ります。

定額法で、100万円の複合機を購入した場合を見てみましょう。
複合機の法定耐用年数は5年なので、毎年20万円ずつ費用を計上します。
帳簿上は最終の5年目のみ1円を引いて処理を行い、帳簿上に1円として残します。

定率法では、毎年同じ金額を償却するのでは無く、購入時の年度は大きな償却金額を計上して、年数が進むごとに小さな償却金額に変えていく方法です。

方法はどちらでも選べるので、会社が購入年度に利益が出ている状態であれば、収益を圧縮する事が出来て節税になります。

定率法の5年償却率は0.4ですので、1年目は100万円×0.4=40万円の償却が出来ます。2年目は残額の60万円×0.4=24万円になり、これを繰り返します。
厳密にはこのケースでは、3年目から償却保証額を下回るため、改訂償却率0.5が適用されます。詳細は税務署か税理士にお問い合わせ下さい。

※青色申告をする個人事業主や小規模の法人の場合、30万円未満であれば初年度に一括で経費計上できる制度があります。

各資産の法定耐用年数は、以下のページから確認できます。
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensuhyo.html

中古の複合機(コピー機)を購入した場合の法定耐用年数は?

中古で複合機を購入した場合は、製造年月日から法定耐用年数を見積もるのが一般的です。

購入時に法定耐用年数を超過していた場合

購入時に法定耐用年数を超過している場合は、法定耐用年数の20%で見積もります。

複合機の法定耐用年数は新品の場合で5年なので、その20%の「1年」が法定耐用年数として適用されます。

購入時に法定耐用年数を超過してない場合

購入時に法定耐用年数を超過していない場合は、以下の式で見積もります。

法定耐用年数−製造年月日からの経過年数+(製造年月日からの経過年数×20%)

例えば製造年月日から2年経過した中古複合機を購入した場合、以下のように計算します。

5年−2年+(2年×20%)=3.4年

1年未満の端数は切り捨てるので、法定耐用年数は「3年」です。

法定耐用年数は複合機(コピー機)の寿命とは違う

法定耐用年数はあくまで税法上で定めた使用可能期間であり、実際の寿命でありません。一口に5年と言っても、実際の使用可能期間は使ってみないと分からないはずです。複合機の寿命は、本体スペックやメンテナンス状況で変わってきます。

リースの年数も法定耐用年数がベースに

実際に大型複合機コピー機を導入しているオフィスで、本体を購入して減価償却をしているケースは少数派です。

多くの事業所ではリース契約で導入して、同時にカウンター料金契約を行っていて、トナー補充を含めたメンテナンスの全てを、外部に丸投げしています。
印刷する度に、モノクロとカラーで異なる1枚当たりの決められた料金を支払う事で、精密機械であるコピー機が期間中に故障しても、余程大きな過失がユーザーに無い限り、無償で点検修理が受けられます。

リース期間は5年で組むことが多くなっていますが、この根拠になっているのが法定耐用年数の5年です。

ただ、この5年というリース期間の設定は一律ではなく、3年や6年という事も多くなっています。
大型複合機コピー機のメーカーとしては、法定耐用年数の5年を基準にして部品設定をしています。時間が経過して劣化していくパーツもありますが、カウンター料金契約をしていれば、仮に不具合が生じても無償交換すれば良いので、大きな問題にはなりません。
コピー機の寿命を左右する最も大きな要素は、自動車の走行距離に当たる印刷枚数です。

印刷枚数の多い事業所では、月額料金が高額になっても、リース期間を3年くらいの短めな設定を行う事で、寿命を迎えて調子が悪くなる前に、新機種へスムーズに移行が出来ます。

逆に、印刷枚数が少ない事業所では、基準の5年を経過しても設定された印刷枚数に届かないため、6年のリース期間を設定しても多くは問題が無く、月々のリース料が安くなります。

印刷枚数に応じたスペックの機種を選ぶのが合理的

大型複合機コピー機の本体価格は、印刷速度のスペックで変わってきます。

概ね一般的な事務所に導入されているコピー機は、1分間に25枚~35枚程度であることが大半です。
1分間に45枚程度やそれ以上のハイスペックな機種は、大量印刷を想定しているため、内部のパーツも耐久性の高い物が使われていて高額になります。

月々のリース料は高額になりますが、印刷枚数が多い事業所では、ハイスペックな機種を選択した方が、業務の中に占める印刷待ち時間が減って、同時に使いたい人間が重なることも少なくなり、リース期間中の不具合も減少します。

月に3,000枚程度の印刷しかしない事業所では、業務作業効率から考えても、寿命から考えてもハイスペックな機種を選ぶ理由はありません。
むしろ、リース期間が満了したら大型複合機コピー機を返却して、レンタルプリンターサービスを利用した方が、印刷にまつわる経費を大幅に削減出来ます。

プリント革命では、安価な月々の定額料金だけでカウンター料金も無く、経費の管理も楽になります。
A4サイズ複合機で、月々20,000円(税抜)のみで利用が出来るため、大型複合機コピー機のリース期間中に導入しても、現在使っているコピー機のカウンター料金が発生しなくなるため、お得になるケースも多くなります。
レンタルなので、法定耐用年数や寿命も気にする必要が有りません。

法定耐用年数を超過しても複合機(コピー機)は使い続けられる

法定耐用年数の5年が経過しても、複合機を使い続けて問題はありません。細かなメンテナンスを実施していれば、法定耐用年数の2〜3倍寿命がもつケースもあります。

長くにわたって複合機を使い続けたい場合は、日頃のメンテナンスを欠かさず実施しましょう。

リース導入している場合は、期間終了後は再リースが行えます。
再リースの金額は大幅に安くなり、それまでの月額リース料が年間リース料程度になる事が目安です。殆どの場合、カウンター料金契約も継続出来て、法定耐用年数を超えた後もメンテナンスが受けられます。

まとめ

法定耐用年数は税法上の使用可能期間であり、複合機の場合は5年です。ただし寿命とは異なるので、実際にどの程度使い続けられるかは本体スペックやメンテナンス状況によって異なります。しっかりとメンテナンスを実施して、複合機を長くにわたって使い続けましょう。

この記事を書いた人

家電・電化製品を専門とするWebライター。前職は電機系メーカーにて設計職に従事。理系出身ならではの観点で、プリンター・複合機を解説します。

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