コスト削減以外のペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化は、多くのメリットが有ります。

紙を使わない・減らす事で、紙代や印刷代が大きく削減出来ます。
大きな組織になれば、ペーパーレス化により年間数百万円単位の削減が可能になります。

しかし、ペーパーレス化のメリットは紙・印刷代の減少によるコスト削減だけではありません。

コスト削減以外の、ペーパーレス化のメリットを解説します。

目次

環境にやさしい

地球環境を守る事が世界各国で議題に上り、コスト意識だけで環境破壊する行為は、許されなくなっています。

「紙の主原料は木材である」+「木材は樹木を伐採する」+「紙は森林を破壊する」=「紙の使用を控えることが森林保護に繋がり、地球環境を守る」という、わかりやすい構図の考え方が広く浸透しています。

一方で、この考え方には異論も多くあります(製紙業者が乱暴な森林伐採を図っている事実は無い・森林を含む山の用途転用が主要因等)が、「紙の生産工程・焼却で大量の二酸化炭素も排出されている」という地球温暖化への影響との合わせ技で、「紙の使用は、環境に悪い」という声が大きくなっています。

今や環境問題は、ビジネスに直結します。
企業・ブランドのイメージ向上には、「環境に優しい」が欠かせません。このイメージを得るために、ペーパーレス化の標榜と実践は、解りやすい手段になります。

ペーパーレス化で得られる「イメージアップ」は、企業・組織・団体の利益に繋がります。

業務効率改善

ペーパーレス化は、業務効率を著しく改善します。

仕事を進める中で、社内にある過去の資料・書類を探す時間ほど、無駄な事は無いと思いませんか?
1枚の書類を求めて書庫に入り、大量の段ボールの山をかき分けて・・・下手をすると1日仕事になり、それでも見つからない事も有ります。

組織では沢山の人が仕事に関わっていて、几帳面な方ばかりではありません。
雑に綴じられた書類の山から、目的の物を見つけるのは本人でも困難で、部外者にとっては不毛な捜索の旅が続きます。

ペーパーレス化により紙のデータをデジタル化すれば、だれでもカンや経験に頼ること無く、膨大なデータからでも簡単に検索出来る様になります。数日かけても見つからない書類が数秒で見つけられるメリットは、計り知れない大きさがありますね。

会議やプレゼン資料等を大量に都度印刷をしている組織では、ペーパーレス化することにより、印刷する時間・資料を揃えてホチキス留めする時間・配布する時間等が一気に不要になり、大幅に業務効率が上がります。

ペーパーレス化によって紙の保管場所が不要になれば、空いたスペースを別の目的に使える様になります。

ペーパーレス化によって、業務効率改善を成し遂げて仕事が楽になり、出てきた時間とスペースを有効に活用する事で、新しい活力を生み出します。

情報漏洩のリスク低減

重要な紙の書類を保存する場合、書庫・キャビネットに鍵をかけておいても、持ち出される可能性は否定できません。
盗難だけで無く、災害や紛失で大切な書類を失うケースも有ります。
また廃棄方法に問題があれば、簡単に情報漏洩してしまうリスクもあります。

人間のする事に、絶対はありません。
外に持ち出した重要書類を客先に忘れるケースや、鞄を交通機関に忘れる事もあります。
一旦紙に印刷された書類は、自分の手を離れた後には管理制御する事は難しく、簡単に情報漏洩するリスクがあります。

ペーパーレス化によりデジタル化したデータは、担当者ごとにアクセス制限や閲覧制限を設けることも簡単に出来て、情報漏洩のリスクを減らすことが可能です。
紙データとは異なり、時間の経過による劣化や毀損もありません。
万が一ファイルサーバーに盗難・故障・災害が降りかかっても、クラウド上にバックアップをしておくことで、支障なくデータが復活できます。

ペーパーレス化は、データ保管システムにセキュリティに万策を施す事で、紙データ保存よりも大幅に情報漏洩のリスクを減らすことが出来ます。

省スペース

在宅勤務・テレワークが増加しています。定着した企業では、従来のオフィススペースが不要と判断されることも多く、3フロア有ったのを1フロアにした・今までの半分にした、類いの話が具体的に多く聞かれるようになりました。

従業員の絶対数が直接減ったわけではなく、同時に出社する社員が減った事で実現したオフィススペースの削減なので、決まった机を設けないで、パーソナルロッカーを設置し、どこでも仕事が出来る「フリーアドレス」を導入する企業が多くなっています。

裏を返せば、「フリーアドレス」はペーパーレス化無しには実現が難しいと言えます。
「フリーアドレス」では、決まった机で山積みになっていた書類は、そこに存在することを許されず、ペーパーレス化によって「フリーアドレス」と省スペースが実現します。

印刷された書類がペーパーレス化により無くなれば、保管するキャビネットを置くスペースも必要無くなります。
どうしてもデータ化したものだけでは問題のある書類だけ残せば良く、省スペース化に直接繋がり、限られたスペースを有効活用出来る環境が達成出来ます。

劣化や紛失のリスク低減

紙の書類は気軽に持ち運びが出来て、簡単に書き込みが可能であり、そのまま渡すことが出来る、極めて実用的なツールです。

しかし、紙の書類の弱点は、経年劣化は避けることが出来ず、特に何度も利用する書類では劣化が進み、ボロボロになって読みにくくなる宿命にあります。
顔料インクタイプを利用するインクジェットプリンターで印刷された書類は、文字がどんどん時間の経過で読みにくくなります。特に保管方法が悪く湿気が多い環境下では、劣化が早く大きく進みます。

ペーパーレス化による書類のデジタル化は、必要な書類の劣化に対して、極めて合理的な選択です。何度利用しても劣化が無く、半永久的に継続利用が可能になります。

データの保管に問題が有れば、全てが無に帰すリスクは有りますが、複数のバックアップをとることで回避する事が出来ます。火災や天災のリスクを考えれば、自社で管理するサーバーだけでなく、クラウド上にバックアップをとる事で、リスクを限り無くゼロにする事が可能です。

逆に、紙の書類の場合は、火災や天災に対して極めて弱く、盗難や紛失を含めて失うリスクが有ると言えます。

SDGsに配慮した企業であるとアピールできる

「SDGs」は、最近よく耳にする言葉です。
SDGs(Sustainable Development Goals)は、直訳すれば「持続可能な開発目標」で、これを短縮化したものです。

2015年9月の国連サミットで採択され、2030年までに掲げた目標を達成する方針が定められました。環境省のホームページにも詳細が掲載されています。
目標内容は17項目有り、その内容は様々ですが、その中にある「働きがいも経済成長も」と、「つくる責任 つかう責任」は、ペーパーレス化と極めて密接な関係性が有ります。

同じペーパーレス化をする場合でも、「SDGs」に配慮している事をアピールする事で、社員のモチベーションが向上する共に、対外的にプラスイメージを構築する事が出来ます。

具体的には、前述の「フリーアドレス」も、その一つです。
リモートワークも含めて、効率良く自由に生き生きと働きながら、結果を出して成長するのに、ペーパーレス化は欠かせません。

完全に紙を無くす事は、大きな困難があって現実には難しく、必要最小限の紙は利用する事が普通です。その場合でも不要になったものは保管せずに廃棄して、必要な書類のみデジタル化して保管をして、紙は処分します。この繰り返しが、ペーパーレス化を進める事にもなります。

データ化をすることで不要になった過去の書類も含めて、機密性保持のためシュレッダーをかけて焼却処分する事が普通ですが、「つくる責任 つかう責任」を考えれば、シュレッダーではなく、溶解ボックスを導入する事で、紙の書類が機密性を保持しながら、再利用するための原料に変わります。
溶解処理で紙繊維にする事で製紙原料になり、焼却では必ず発生するCO2削減にも繋がり、「SDGs」への解りやすい取り組みになります。

まとめ

ペーパーレス化は単純に紙のコスト削減だけでなく、多くの効果があります。

たとえば、紙のやり取りを郵送にしていたものを電子化して送るようにすれば、運送代のコストが削減出来るだけでなく、送る時に利用するトラックを使わない事により、CO2排出削減にも繋がります。

働き方改革を実現するためのツールとしても、ペーパーレス化は効果とメリットがあります。場所を選ばずに仕事ができる環境ができれば、テレワークも効率的に行えるようになり、事情によって出社できない有能な人材が活用出来ます。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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