複合機のICカード認証とはどんな機能?

大型複合機コピー機は、多くの事業所オフィスに設置されています。
これは今に始まった事では無く、高度成長を経る中で定着しました。

20世紀の終わり頃には、当時主流だった磁気を使ったカードを、オフィスの大型複合機コピー機に使うケースが増えてきました。

当時はセキュリティに関しての意識は希薄で、主に部署ごとに磁気カードが用意されいて、どこで何枚が印刷していて、コストがどれだけ掛かっているか?を管理して、経費を削減する目的が主流でした。

2005年4月から個人情報保護法が改正されて、情報管理の意識が高まり、情報漏洩への対策として、オフィスの大型複合機コピー機も対応を迫られます。

21世紀に入り、磁気カードに変わる次世代の認証カードとして、ICカード認証が広く行き渡るようになりました。
Suicaなどに代表される、差し込むのではなくタッチする事で、素早くカードに入っている情報の読み書きが出来るのは、磁気カードには無い優位性です。

多くの企業では社員証もICカード認証が出来るタイプに変わり、入室や出退勤も管理できる様になり、セキュリティ対策に利用される中で、オフィスにある大型複合機コピー機の使用にも、利用者個人を特定する機能としてICカード認証が利用されています。

複合機に幅広くオプション設定されている、ICカード認証とはどんな機能なのか?解説します。

目次

ICカード認証はどのように利用できるのか

複合機のオプションでICカード認証を付ければ、ICカード認証をしなければ、複合機は常にロックされた状態で、何も利用出来なくなります。

オフィスにある大型複合機コピー機は、多くのスタッフが利用するため、デスクからは一定の距離がある場所で仕事をするケースも多く、パソコンから印刷をLAN経由で複合機に指示した場合、突然別件で呼び止められたり、電話が掛かってきたりすれば、出力した印刷物は一定期間放置される事になります。

ICカード認証を導入する事で、印刷指示に対して即座に印刷する事が無くなり、あらかじめ印刷しておけば、手の空いたときに複合機に出向いて、タッチによるICカード認証をすれば、カード利用者が送ったデータの一覧が出てきて、必要な印刷物をその時点で初めて印刷が開始します。

複合機の利用者個人を特定出来るのがICカード認証で、ICカードタイプの社員証がある企業では、そのまま複合機のICカード認証に利用されることが多くなっています。

ICカード認証タイプの社員証を利用していないオフィスでは、複合機オプションの追加でメーカーが用意したカードを利用したり、SuicaなどのICカードを流用利用したりする事も可能です。

ICカード認証することによるメリットは?

ICカード認証導入にオプション料金が加算されても、利用する企業が増えているのは、導入する事にメリットがあるからです。

具体的にメリットを見てみましょう。

セキュリティ対策

複合機のICカード認証は、利用者個人と紐付けするものですから、いつ・だれが・どこで・何を?等の、複合機の利用を特定出来るのがメリットです。

人の出入りが激しいオフィスでも、部外者はICカード認証が出来ないため、ロックされた複合機を一切利用する事が出来なくなり、セキュリティ対策として極めて有効です。

正規の利用者はICカード認証を行って、その都度目の前で印刷をするため、印刷物の放置が無くなる事も、情報漏洩対策に効果があります。

ICカード認証によるセキュリティ対策の詳細に関しては、「【セキュリティ対策に必須】複合機ICカードのユーザー認証導入のメリット」も、併せてご覧ください。

コスト削減効果

以前の磁気カードの時代は部署ごとの管理でしたが、ICカード認証は個人ごとの印刷履歴が確認出来る為、より緻密なコスト管理が可能になります。

オフィスの複合機はリース導入されているケースが多く、印刷物1枚あたりの決められた単価を支払う、カウンター料金保守契約を結んでいる事が多く、モノクロ印刷に比べてカラー印刷の単価の多くは10倍程度に設定されています。

ICカード認証を利用することにより、個人単位で複合機を利用する制限が掛けられるため、たとえばアルバイトはモノクロ印刷のみにしたり、パートさんにはFAXも許可したり、課長以上にのみカラー印刷を許可するなど、利用状況に応じた権限を付与することで、無駄な印刷や私物印刷を防ぐ効果が有り、コスト削減に威力を発揮します。

無条件に印刷出力をするのでなく、ICカード認証を導入する事で、印刷前にリストを確認してからプリントが開始される様になるため、誤って出力したデータは印刷を行わず、本当に必要な印刷しか行わない事も、印刷コストの低減に貢献します。

より詳細な、複合機のICカード認証のメリットデメリットは、「ICカード認証の複合機ってどうなの?メリットデメリットを解説します」も、是非併せてご覧下さい。

情報漏洩のリスクは「紙」から!

ここでいったん話を企業の情報漏洩について進めていきましょう。

情報漏洩のリスクとは

企業によっては情報漏洩が致命的なリスクになることがあります。

例えば顧客情報の漏洩は信頼が失墜すると同時に、多額の損害賠償請求につながります。

新製品の情報が漏洩すればそれまで多額のリソースを割いてきた新製品の価値が一気に落ちてしまいます。

自社の問題だけでなく、守秘義務契約を結んでいる場合は、それに関する情報が漏洩してしまうと、こちらもまた契約違反による損害賠償請求や取引停止などの厳しい結果を招いてしまいます。

・情報漏洩波の原因は「紙」媒体が多い

そんな情報漏洩に対して、多くの人がデジタルデータの漏洩をイメージしているのではないでしょうか。

しかし実際には、情報漏洩する際のメディアは、デジタルデータだけでなく「紙媒体」も同じくらい漏れてしまっているのです。

紙媒体といえば当然ですが複合機やプリンターで印刷した印刷物が大半となりますので、データをプリントしたものやコピーする際の扱いも、情報漏洩を防ぐためには、厳密に管理しなければならないのです。

ICカード認証付き機器では何ができる?

このようにICカード認証付きの複合機を導入すれば、情報漏洩を防止するためのセキュリティや、無駄なプリントを防ぐコスト低減というメリットを得られます。

そんなメリットを実現するために、ICカード認証付き複合機にはどのような機能があるのかを詳しくチェックしていきましょう。

・セキュリティ管理

まず中心となるのがこのセキュリティ機能です。

先ほど説明したプリントを複合機のトレーに放置しなくなるよう、プリントした本人が複合機の前でICカードをかざさないとプリントが出力されないというのが、セキュリティのためのメインの機能となります。

基本的にICカード認証付き複合機では、プリントしたあとに複合機内に一時保存されているデータが削除されますので、本体内からのデータ流出のリスクも抑えられます。

 

認証付き機器はICカードをかざしていない時はロックされた状態になっていますので、外部からのボタン操作を受け付けず、そのような意味でもセキュリティを高めているといえるでしょう。

・コスト管理

プリントのコスト管理に限らず、節約しましょうという方針はいくら言葉で伝達してもなかなか徹底されません。

その点ICカード認証付き複合機を導入すれば、機能的に無駄な印刷を防げるのと共に、誰がプリントしたのかも可視化できますので、無駄なプリントが大幅に削減できます。

部署ごとにプリントの枚数を管理したり、1枚あたりのプリント単価を計算して、月間でどのくらいのプリントコストがかかっているかを明確にすれば、具体的な数値として節約を呼びかけることも可能となります。

さらにコストの高いカラープリントの枚数もICカードごとに見られるようになるため、無駄なカラープリントをしないように個別に通達できます。

ICカード認証を使うデメリットは?

情報管理が重要である現代では、複合機のICカード認証はオフィスに必須な機能と言えますが、その導入のデメリットも確認しておきましょう。

業務効率への影響と煩わしさ

ICカード認証をしないことには、複合機は一切動きません。

印刷出力をかけても印刷は開始されず、ICカード認証を行った後に、目の前で印刷されるのを見届ける必要があります。
印刷枚数が少なければ問題ありませんが、多くの印刷枚数を行う場合、業務効率の低下へも繋がります。

出力しておいて印刷物を取りに行ったのに、ICカードを忘れると、再度カードを取りに戻る必要があります。

慌てて出掛ける前に印刷する必要があるのに、ICカードが見当たらない事態になれば、イライラが募るのは避けられません。

ICカードの貸し借り

そんな時は、ついつい他人のICカードを借りる事態が発生しがちです。
しかし、それではICカード認証で管理する意義が、根幹から崩れてしまいます。

ICカードは紛失や破損、盗難のリスクも有ることを認識しておく必要があります。

また、ICカードは物理カードのため、自分以外のカードでも、手元にカードがあれば部外者でも複合機の利用が可能になります。

カードさえ入手すれば、悪意を持った利用や情報漏洩も可能になってしまいます。

導入費用

複合機にICカード認証のオプションを加える場合、複合機1台につき概ね10万円程度の加算が必要になります。

フロアごとや部署ごとに、複数台の大型複合機コピー機が設置されている場合、全ての機種をICカード認証対応にする必要があり、台数が多ければ費用負担も小さくありません。

ICカード認証が出来る、社員証が既に運用されている企業では問題ありませんが、あらたにICカードを別途購入する必要があり、FeliCaタイプのICカード1枚当たり5,000円程度が掛かります。

 

この記事を書いた人

OLとして7年間中小企業に勤務したのち、Webライターとして独立。現在はプリンター関係の記事を中心に多数の媒体へ寄稿中。

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