インクジェットプリンターはレーザープリンターよりも優れている?コストを考えたプリンター選びをプロ目線で徹底比較します

家庭への普及率も高いためインクジェットプリンターはよく知られていると思います。
また、オフィスではレーザープリンターを使用している企業がほとんどだと思います。

一般的にレーザープリンターは導入コストが高くて印刷スピードが早くランニングコストが安いものと導入している企業が多くありますが、その話はもう古いんです。
今では、実はインクジェットプリンターの性能は早さでもランニングコストでも本体価格でも優れているんです。
将来をみすえた設備投資のためにも、レーザープリンターとインクジェットプリンターの仕組みやコストの違いを確認してきっちりと比較してみましょう。

目次

インクジェットとレーザーの特徴と違い

インクジェットという名前を聞いたことがあっても、仕組みまでは知らない人が多いのではないでしょうか。
インクジェットはものすごく単純な仕組みをしているので、実は簡単なんですよ。

インクジェットプリンターとは?

インクを細かな点々でプリント用紙に吹きつけているだけの簡単な仕組みがインクジェットです。
1点おもしろいポイントがあって、インクジェットでプリントアウトした写真を顕微鏡で拡大してみると、シアン、マゼンタ、イエローの3色の点々のみでできているのが見えるんです。
人間の目では色がついているように見えているのですが、実際は3色の点々の色の濃さだけで人に見える色を調整しているんです。

レーザープリンターとは?

少し複雑な仕組みをしているのですが、感光体と呼ばれるローラーが入っているのがレーザープリンタのポイントです。
感光体にレーザーで印刷したい内容を転写するので、トナー(インク)を感光体ローラーに一度つけてからプリント用紙に熱転写することで印刷しています。

プリンターの仕組みの違い

  • インクジェットプリンター:用紙に直接インクを飛ばして付着する。
  • レーザープリンター:感光体ローラーを利用し、感光体にレーザーでトナー(インク)を付着させてから用紙に転写する。

インクジェットとレーザーの性能とコストの比較

2020年の最新のプリンターを調査したカタログ値を基に記載をしています。
どちらもオフィスでの多用が可能なCanonのビジネスプリンターです。

性能とコストの比較

インクジェットプリンター

EW-M973A3T

レーザープリンター

MF644Cdw

連続複写速度 24枚/分 21枚/分
ファーストコピー 6秒 11.4秒
本体代金 27,494円 47,000円
印刷コスト/1枚 カラー 約7.6円

モノクロ 約2.2円

カラー 約18.0円

モノクロ 約3.4円

消費電力 約27W 約870W

数値で比較すると本体価格も含めてすべての点でインクジェットプリンターのコストはレーザープリンターの技術を追い抜いていることが分かります。
特に熱を利用するレーザープリンターでは消費電力の差がおおきくあらわれます。

オフィスのプリンターを利用してプリント用紙がほかほかに温まっている経験はあるかと思います。
熱転写でプリントするレーザープリンターは電力消費も激しいのが難点です。
インクジェットプリンターでは電力消費も少なくすみます。

10年前では10~20円のコストだったカラープリントでさえも最新機種ではわずか7.6円までランニングコストは下がりました。
もう少し高級なプリンターであれば2~3円でカラープリントができる機種もあるほどに技術は進歩しています。

ランニングコストでもインクジェットプリンターが割安

レーザープリンターのランニングコストが優れていると言われていたのは一昔前の話です。

2018年にはエプソンがレーザープリンターから事業撤退しているとおり、ビジネス用のインクジェットプリンターの切り替えへ世の中は動き出しています。
仕組みが単純であるインクジェットプリンターは改良による効果が驚くほど期待できる製品で、印刷スピードでもコスト面でも今後の改良が期待されます。

インクジェットプリンターには、2タイプあります

インクジェットプリンターの使用するインクには、「染料インク」と「顔料インク」があります。

染料インク

以前から広く家庭用で普及しているインクジェットプリンターの多くは、「染料インク」を使っています。
染料インクは、色の再現性に優れていて、繊細なトーンの描写など写真印刷に向いています。
写真の基本は光と影で、たとえば微妙に変化していく人物の顔の表現は、染料インクを使ったインクジェットプリンターの独壇場です。

繊細な表現を数値化したものが、「解像度」です。

価格コムで、印刷方式を考えずに全てのプリンターの中から、解像度の満足度が高いプリンターランキングを見ると、カラープリンターとしては、染料インクを使ったインクジェットプリンターが上位を独占しています。

たとえば、インクジェット方式「エプソンプロセレクション SC-PX1V」の解像度は、5,760×1,440 dpiなのに対して、レーザー方式「エプソンLP-S6160」の解像度は1,200×1,200dpiになっていて、大きな差が有ります。

写真屋さんの写真プリントも、染料を使ったインクジェットプリンターを利用しています。
光沢のある写真用紙を利用していることが、通常の紙に印刷する家庭利用と異なるところですが、染料インクを使ったインクジェットプリンターで、光沢のある写真用紙を使えば、同様のクオリティを気軽に得ることが可能です。

反面、染料インクは水に弱く、滲みやすい特性があります。
染料インクを利用した文書は、長期保存には向かず、文字もボンヤリしてしまいます。そのため、保存する必要が有り、読みやすさが必要なビジネス文書の用途には、インクジェットプリンターは向かないと、長年されてきました。

顔料インク

インクジェットプリンターに有る弱点を克服したのが、顔料インクを利用する「ビジネスインクジェットプリンター」と呼ばれるタイプです。

顔料インクは、読みやすい文字表現が可能で、耐水性が優れていて滲みにくい特性があります。染料インクに有った、全体的に用紙が湿っぽくなり、一定の乾燥時間が必要だった弱点も克服しています。

反面、繊細な色表現は染料インクに及びません。
ビジネス文書には、1枚の用紙に文字だけで無く写真や表が表現されることも多く、文字を表現する黒には顔料インクを使い、カラー表現には染料インクを使う、ハイブリッドタイプのビジネスインクジェットプリンターも有ります。

インクジェットプリンターが優れている点

一般的な連続印刷をする場合には、レーザープリンターに分があるため、オフィスに導入されるプリンターは、レーザー方式が主流でしたが、オフィスにもビジネスインクジェットプリンターが、どんどん導入されています。その理由を見ていきましょう。

ファーストプリントが速い

単純に印刷速度を考えれば、レーザープリンターの方が速いです。
しかし、一度印刷が始まれば速度が出るレーザープリンターですが、待機状態から印刷を再開するまでに、定着器が一定温度に上昇する時間が掛かるため、ファーストプリントまで30秒程度掛かる事が一般的です。

インクジェットプリンターは、印刷前に加熱する必要が無く、素早く印刷動作に入る事が出来ます。
たとえば、数枚だけの印刷や、数ページだけの印刷が主なプリンター利用の場合は、インクジェットプリンターの方が、印刷時間が早くなる傾向に有ります。(ただし、クリーニング作業が入れば時間が掛かります。毎日利用するなら初回だけと割り切れます)

オフィスで効率良く印刷する事を考えれば、今有る大型複合機コピー機で大量印刷を行い、数枚の印刷にはインクジェットプリンターを利用するのが最適です。

インクジェットプリンターの増設には、初期費用が掛からない、レンタルプリンターサービス導入をオススメします。プリント革命のレンタルプリンターなら、初期費用だけで無く、カウンター料金の掛からないプリント放題が、レンタル費用のみで利用出来ます。
使い分けをすることで、効率が上がるだけで無く、大型複合機コピー機のカウンター料金も節約出来ます。

本体サイズが小さい

レーザープリンターと比較して、本体サイズがコンパクトに収まっているのは、インクジェットプリンターの大きなメリットです。

オフィスでは、デスクの限られたスペースに置く事も可能で、大型複合機コピー機以外に利用するプリンターとして最適です。
自宅に置くテレワーク用プリンターとしても、サイズが小さいインクジェットプリンターが最適です。
A3サイズが必要な場合でも、インクジェットプリンターなら、設置が可能です。

消費電力が少ない

レーザープリンターは、印刷する前のタイミングで加熱する事が必要なため、大きな電力が必要になります。自宅に置くテレワーク用として導入すれば、環境によってはブレーカーが落ちる事も有ります。インクジェットプリンターは大きな電力を一気に消費する加熱が不要のため、テレワークでの利用に最適です。

この記事を書いた人

新卒でIT企業に入社し営業を経験。現在はフリーのWebライターとして活動しています。
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