純正、互換、リサイクルトナーの違いとメリット、デメリットを解説

レーザープリンターで印刷する枚数が増えてくると、目に見えて増加するのがトナー交換の頻度です。トナーは1本につき1万円以上する事が当たり前で、交換する度に掛かるコストは頭の痛い問題です。

なんとかコストの削減を!と、価格の安い物を探してみると・・・いつも購入する「純正」と比較すると大幅に安い「互換」や、「リサイクル」表記のあるトナーがあります。

なんで価格が安いの?純正と何が違うの?互換やリサイクルって何?
これらの疑問に解説していきます。

目次

純正、互換、リサイクルトナーとは

「純正」「互換」「リサイクル」各トナーの違いをご説明します。

純正トナー

「純正」は、プリンターを製造したメーカーが販売するトナーです。
全てを知り尽くした本家本元ですね。自社のプリンターが最高のパフォーマンスを発揮できる様に、最適化された設計とトナー原料を使用しています。
万が一問題があった場合には、製造したメーカーとしての保証が付いています。
プリンターメーカーとしては、当然純正品の使用を奨励しています。

プリンターの性能をフルに発揮したい・トナーが原因の絶対にトラブルは避けたいニーズのユーザーなら、純正品トナーの一択になります。

海外純正品

プリンターメーカーは、日本国内だけでなく海外マーケットを席巻しているケースが多く有ります。
そのため、同じ型番で海外でも純正トナーが販売されています。

販売される国の事情や物価を考慮して、日本よりも安価に販売されているケースがあり、それらのトナーを「海外純正品」と呼んで、国内使用とは区別しています。

基本的に同じ型番でも、厳密には電圧の違いなどで中身が異なっている事もあり、メーカーとしては、海外純正品は純正品と同じ扱いをせずに、トラブル時には補償対象外にするケースもあります。

以前は為替の関係で、純正品よりも大幅に安く入手が可能な海外純正品は、Amazonなどの通販サイトでも大量に扱いがありましたが、2022年の円安基調下では価格メリットを出す事が困難になり、ほとんど見かけなくなりました。

リサイクルトナー

「リサイクル」は、トナー外側の筐体をそのまま使用して、中身のトナー粉を詰め替えたトナーです。筐体は使い終えた純正品を再生使用するので、リサイクルトナーと呼ばれます。

実際に使い終えたトナーを処分する時に、「こんなに立派で綺麗な筐体なのに、勿体ない」と思ったことはありませんか?同じ部品を使って蘇らせるのは、廃棄処分することに比較すれば、環境にも優しいトナーだと言えます。
再生トナーを製造するメーカーは、プリンターを製造したメーカーとは関係の無い専業の会社です。

中身を詰め替えるだけ・・・と考えれば簡単そうで、どれを選んでも大きな差は無さそうにも見えますが、現実にはかなりピンキリで差が有ります。

そもそも、純正品を供給するメーカーは、中身を詰め替えて販売する事を、設計時には基本的に考えていません。
その困難な状態から、分解して清掃、組み立てるにはノウハウが必要であり、実際に作業を行う人間のスキルにも大きく依存します。

また、再生と言っても交換が必要な消耗パーツがある事は避けられず、用いられるパーツの品質一つ見ても、それぞれ大きな差があります。

何より、カートリッジに詰められる中身のトナーの品質には大きな差が有り、印刷品質も大きく異なってきますし、人間が行う事ですから完璧ということはなく、完成品の検品精度でも供給される商品のクオリティーには、大きな差が出ます。

互換品トナー

「互換」は、プリンターを製造したメーカーとは関係の無い、言わば第三者であるサードパーティーが1から製造しているトナーです。

リサイクルとの違いは、純正品のパーツを再生品としても使用しない事です。売れ筋ではないプリンター用には、マーケットが小さくて採算が合わないため製造されないことが一般的です。

メーカーに断りも無く、勝手に製造販売する事は問題ではないか?と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、特許権や知的財産権を侵害しない限り問題はありません。

たとえば、スマホの充電ケーブルやバッテリーは、メーカーは純正品使用を奨励していますが、様々なサードパーティーから販売されています。価格が圧倒的に安く問題無く使用出来るものも多いことから、幅広く流通しています。

汎用品トナーと互換品トナーの違いは?

ここまで出てきていないトナーとして、「汎用品トナー」というものがあります。
ピンキリという意味では、これが一番大きく注意が必要です。

本来の汎用品トナーと、現在汎用品トナーと謳われているものを比べると、本来の意味を逸脱しているものが数多く存在しているからです。

筆者が、プライベートで愛用しているカラーレーザープリンターはNEC製です。
このプリンターは色々と優れものなのですが、実は中身はゼロックス製であることは、この方面にちょっと詳しい人には、漏れ無くと言って良いほど知られています。

一般的な言葉ではOEM(Original Equipment Manufacturing)という言い方をしますが、これは決して珍しい事では無く、他の電化製品や自動車でも幅広く存在しています。

ゼロックスが製造してNECに供給し、NECブランドで販売されているということです。
殆ど同様のデザインで、全く別の企業から複数販売されているのはこのパターンです。

この兄弟機種は、見かけだけで無く中身は基本的に同じです。
そのため、販売されている純正の消耗品も、型番や箱が異なっていても中身は全く同じという事態が発生します。(ICチップが搭載されている場合は、そこだけ異なります)

国内や海外を問わずに安価にその純正トナーを入手して、日本でニーズのあるメーカーのチップに載せ替えなどを行い、複数の兄弟機種で利用出来るトナーを、本来は汎用品と呼んでいました。
そのため、汎用品は一定以上のクオリティーが期待出来ました。(メーカーはあくまで純正品だとは認めていませんが)

しかし、現在の販売マーケットでは、純正品ではなく利用出来るトナーを広く汎用品と呼んで販売されているケースも多く、ただの粗悪な互換品が汎用品と名打って販売されている事もあり、本来の意味からは逸脱しています。
明確な法整備もされておらず、購入するユーザーが注意するしかありません。

メリット、デメリット

純正トナーのメリットとデメリット

「純正」のメリットは、プリンターを製造したメーカーが考える、最高のパフォーマンスを実現します。メーカー看板を背負って販売していますので、品質に信頼が置けます。仮にプリンター本体に不具合が及んでも、保証期間内なら無償修理の対象になります。
ブランドの安心感がありますね。

「純正」のデメリットは、ブランドだけに価格が高い事が一番に挙げられます。
特に最近はプリンター本体の価格を安価にして、消耗品で帳尻を合わせるビジネスモデルに多くがなっています。トナー単体で考えれば、コストパフォーマンスは悪いと言えます。プリンターの製造中止から一定の期間を経て、純正トナーも生産が中止される事は多々あります。トナーが切れた後も純正トナーに拘る場合には、プリンターを買い換える事しか手がありません。

互換・リサイクルトナーのメリットとデメリット

「互換」「リサイクル」のメリットは、価格が安く抜群のコストパフォーマンスで、経費削減に大きく貢献することが期待出来ます。既に使用済みの筐体を再生して使用するので、新たに発生するゴミの質量を抑える事に繋がり、環境にも優しいです。
純正品が生産終了した後も、リサイクルトナーは使用済みの筐体が出回る限り購入出来る可能性があり、それ以降も互換トナーは製造していることがあります。結果としてプリンターの寿命を延ばすことが出来ますね。
また、純正では販売していない大容量トナー(筐体サイズ・デザインはもちろん同じです)のタイプを見かけることもあります。

「互換」「リサイクル」のデメリットは、純正品に比較してトラブル率が数%ですが高くなる事は避けられません。純正品以外のトナートラブルで本体にも不具合が及んだ場合、保証期間内でも、メーカーは無償対応しない事が大半です。
製造するメーカー・販売店により、クオリティーにバラつきがあります。価格の安さだけで無く、保証がどうなっているのか?確認してから購入しましょう。
通常のビジネス文書では問題が無くても、色の精度や繊細な表現が求められる現場には、期待した描写が得られない事があります。トナー原料はプリンター個別のチューニングが限られていて、汎用品を用いる事が多い為です。

何を求めるかで選ぼう

品質と安心感、本来の発色や描写を求めるなら「純正品」を購入する事が、無用なトラブルを避けられる事は間違いありません。

価格を求めるなら、「リサイクル」か「互換品」になります。
リサイクルよりも互換品の方が安価である場合が多いですが、純正部品を全く使っていない事から、互換品はリサイクルと比較すれば不具合率も高くなります。
どちらも信頼できるショップで購入することが大切です。

純正品以外はショップ選びが重要

リサイクルトナーには、購入する時に幾つか品質の目安があります。
必ずしも必要不可欠ではありませんが、判断するための一つの指針になります。

「STMC認定」製品単位ではなく、国際品質規格取得工場として工場単位で認定されます。

「E&Q」再資源化率が回収した使用済み製品全体質量の95%以上など、厳しい基準の認証です。

「ISO9001」国際標準化機構に定められた品質改善取り組みの国際規格です。
日本国内で生産されたトナー原料使用も品質が高い目安になります。

単純に価格に飛びつくのではなく、長期的に商売を行っているショップで購入するのが安心です。

粗悪な商品を販売するショップやルートは、名前を変えるなどして短期間で店を畳んでは開くの繰り返しを行います。悪評が明確になってくると、商売が継続出来ないからです。

長期間(10年以上が一つの目安です)同じ屋号で商売をしている場合は、数多いリピーターに支えられていると推察され、トラブルも少ないと考えられますよね。

トナーをコスパから考える「互換?リサイクル?4種類のトナーからコスパがいいものをご紹介します!」も、是非併せてご覧下さい。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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