ペーパーレス化のデメリットをご存じですか?知らないと確実に失敗します

ペーパーレス化する事で、多くのメリットが享受出来る事は間違いありません。

しかし、デメリットも確実に存在します。

どうしようも無い事も中には有りますが、ペーパーレス化のデメリットを正しく理解して、対策を立てることが大切です。

ペーパーレス化のデメリットについて、具体的に解説します。

目次

導入コストがかかる

ペーパーレス化を導入するのには、設備・インフラ等の初期投資が掛かります。
どの規模から始めるかで、初期費用は大きく変わります。

サーバー

電子化したファイルを保管する場所として、自社でファイルサーバーを準備する場合の費用です。

サーバー本体費用

機器としてサーバーを購入して、用途に合わせてソフトウェアをインストールした上で、利用するための各種設定やセキュリティ対策を行います。

サーバー本体の価格は、能力によって差があります。
エントリータイプで10万円前後・ハイスペックなラック型サーバーが30万円前後です。

周辺機器

サーバーの稼働には、周辺機器が必要です。
具体的には、ルーター・UPS(停電等に備えるバックアップ電源)・サーバーを設定するためのパソコン等です。

それぞれスペックにより、価格は異なります。
ルーターは、15,000円-5万円程度
UPSは、3万円-8万円程度
パソコンは、今有るものでもOKです。

他の機器も、既に所有していれば、新たに購入する必要はありません。

サーバー構築費用

機器としてのサーバーに、OSやソフトウェア等をインストールして、サーバーとして機能させるために費用が掛かります。

使い方によって構築内容は変わりますが、一般的なファイルサーバー構築費用としては、3万円から6万円程度です。

ネットワーク

導入するオフィスの規模や環境によって変わる、ネットワークを設計・構築する費用です。

たとえば、20台前後のパソコンを導入する場合だと、10万円前後の費用が掛かり、LANの配線やハブの設置料金が別途15万円程度掛かります。

すでにLANの設備が整っているなら、費用はかなり抑えられます。

クラウドストレージ

ファイルサーバーを自社に設置せずに、クラウドストレージを使う方法もあります。
容量や使い勝手など、様々なサービスが有り費用も異なります。

初期費用はサーバーを構築するよりも安く導入が出来ます。
自社サーバーよりも毎月掛かるランニングコストは、同じレベルの構築を考えると基本的に高額になります。

ストレージだけで無く、クラウドはペーパーレス化と相性が良く、会議システムの導入もペーパーレス化推進に役に立ちます。

運用端末・スキャナー

ペーパーレス化で紙データ電子化をするのには、スキャナーが必要になります。
過去データの電子化を外部に委託すれば、その費用が掛かります。

電子化されたデータを閲覧・運用するためには、人数分のパソコン・タブレットの機器が必要です。

勤怠管理システム

解りやすく導入しやすいペーパーレス化の手始めとして、勤怠管理システムは有効です。
紙のタイムカードを廃止して、スマートフォンのアプリやカードを利用してタイムスタンプを刻印したデータを、給与システムと連動することで業務効率アップが実感出来ます。

資料の全体像が見えにくい

視認性という意味合いを考えれば、電子化されたデータは紙に及ばないデメリットもあります。

たとえば、タブレットで電子化されたA4サイズ以上のデータを閲覧する場合に、原寸大で全体を表示することは不可能です。
簡単に拡大表示する事が出来ますが、慣れとITリテラシーの向上が必要になります。

紙なら簡単に出来る、複数の資料を並べて検討する場合も、電子データ化された資料は、画面を切り替えて見比べる必要があります。

全体の流れを俯瞰して見るような資料の見方は、紙の資料を閲覧するのと比較して、どうしても難しくなります。

システム障害や故障の影響を受ける

電子化されたデータは、風化や劣化する事がありません。
これは紙のデータ保存に比べて、大きなメリットです。

しかし電子機器も機械である以上、必ず故障や不具合が使用する中で出てきます。
システム障害や回線障害が出れば、仕事がストップすることは避けられません。
ペーパーレス化が進んでいるほど、影響は大きくなります。

ハードディスクについて

中でも、データを保存するハードディスクは、消耗品という認識が不可欠です。
最も大切と言っても良い、データを記憶するパーツが、最も不具合を起こす宿命にあります。

この対策としては、RAIDシステムの導入で大幅に回避出来ます。

RAIDシステムとは、複数のハードディスクを組み合わせたもので、レベルが色々有ります。
複数のハードディスクが同時に故障する確率は極めて少なく、1台のハードディスクが故障しても、RAIDシステムでは問題無く稼働を継続出来る為、仕事を止めません。
故障したハードディスクのみを交換する事で、何事も起きなかった事になります。

RAIDシステム搭載のメイン機器自体が故障する事に備えて、データ全体のバックアップも別のハードディスク・クラウド上にしておくことで、考えられる多くのトラブルに、最小の被害で対応出来ます。

パソコン・タブレットについて

個々に使っているパソコン・タブレットも、故障するトラブルは必ずついて回ります。
ペーパーレス化が進んでいるほど、データを閲覧する機器が無くては、仕事にならなくなります。

回避する為には予備の機器を準備しておくことで、仕事を継続出来ます。

クラウドサービスについて

クラウドサービスも結局は実態のある機器を使っているので、故障や障害はあります。
過去の障害の頻度や、その復旧までの時間を具体的に調査する他、そのサービスの評判も調べた上で契約してください。

ペーパーレスに向く資料や業務とそうでないことが区別できない

ペーパーレス化に取り組む前に、何処からはじめるのか?どの書類をデジタル化するのか?明確に青写真を描き、部分導入から始めるのがセオリーです。

なんでもかんでも、闇雲にペーパーレス化を号令だけで始めれば、確実に業務は停滞して、業務効率は著しく落ちます。

手馴染めに行うのは、社内だけで完結出来る業務や資料の中で、ペーパーレス化するのに向いている事から始める事が大切です。

たとえば、勤怠管理はペーパーレス化導入企業で最も多くなっています。
社員のタイムカードをスマートフォンのアプリやカードなどでデジタル化して、効率良く業務管理や給与管理が行え、働き方改革に沿った労務管理が行えるため、解りやすく目に見えて成果の上がるペーパーレス化です。

次に多いのは、社内の稟議書や申請書等の電子ワークフローです。
これも社内だけで完結が出来て、デジタル化する事で書類の移動が必要無くなり、スピーディーに仕事が動くツールとして解りやすく、ペーパーレス化の成果が見えやすく導入に向いています。

逆に向いていないのは、書き込んで取引先に渡す等の書類は、ペーパーレス化が難しいと言えます。先方もペーパーレス化を進めていれば、擦り合わせて導入を考えても良いのですが、書き込んで渡す・その場でサインを貰う書類を無理にペーパーレス化することで、二度手間が増えて業務効率は停滞して成果が上がりません。

デジタル化でその業務は可能か?そのためにはどんなツールが必要か?という手順で考える事が、ペーパーレス化を成功に導きます。

社員のITリテラシーに左右される

ペーパーレス化を行うのは、IT系の企業だけに限定されていません。
年齢だけで無く、向き不向きがあるのも確かで、同じレクチャーを行っても簡単に理解して進められる社員と、全く進められない社員が出てきます。

ペーパーレス化は一部だけデジタル化しても効果は限定的で、関係する社員全員が行う必要が有ります。
社員のITリテラシーに左右されて、その中に諦める人が出てくると、ペーパーレス化は失敗します。
誰にでも解りやすいツールの導入や、的確なフォローが必ず必要になります。
落ちこぼれを出さないこと・乗り遅れる人間を出さないことで、結果的に業務効率が上がるペーパーレス化が実現出来ます。

ITリテラシーの高い社員が、教えることは良いですが、ペーパーレス化の仕事が特定の個人に集中することは、避ける手立てが必要です。

目的と手段を混同している

ペーパーレス化はあくまで手段であって、目的ではありません。

ペーパーレス化が成功すれば、結果的に業務効率の向上などの目的が達成出来るツールです。
逆に考えれば、ペーパーレス化の作業は、短期的に直接業務に寄与しません。

ペーパーレス化に熱心なあまり、業務効率が大幅に低下すれば継続が不可能になります。健全な職場で追加投資を行うためにも、本来の業務が疎かになるようでは、全く意味がありません。

目的は具体的なイメージが出来ると、多くの社員に浸透します。
健康のため・理想の体型のために、手段として行うのがダイエットで、ダイエット自体が目的では無い事を、社員全員に理解してもらうことから始めて下さい。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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