プリンターを縦にするのは絶対にダメ!保管時や発送時には十分注意しよう

プリンターくらい、ユーザーによって使用頻度に差が有る機器は、他には無いかもしれません。

仕事や趣味などで使われるプリンターは、毎日のように稼働しているのに対して、家庭で利用されているインクジェットプリンターの多くは、年賀状の印刷や暑中見舞いの印刷などの、年に数回しか利用されていません。

機械物は何でもそうですが、適度に利用して動かしている方が、状態は良いことが多く、偶にしか稼働しない機械は、おしなべて調子が悪くなりますよね。

家庭用として主に使われているインクジェットプリンターは、それに加えて利用しないとインクが固まる事で、正常に印刷出来ないトラブルに発展します。

利用頻度が少ないインクジェットプリンターを、少しでも正常に保つには、電源をONにした状態を保つことで、プリンターの方が自分で無使用期間を判断して、定期的にクリーニングを行う機能を搭載したタイプが増えています。

ただ、プリンターは思った以上に場所を占拠する事から、利用していない時は収納しておきたいと考える方も少なく有りません。
本来は奨励しないプリンターの保管方法ですが、スペースの都合でやむを得ない場合には、注意しなければならないポイントがあります。

最も注意が必要なのは、保管時に場所を取られたくない事から、縦置きに保管してしまう事です。これはインクジェットプリンターの保管において、最重要事項です。

インクジェットプリンターを縦にして保管するのは、なぜ絶対に駄目なのか?
よりダメージの少ない保管方法と併せて解説します。

目次

インクやトナーを一度入れたプリンターは縦にしてはダメ!

プリンターは水平に設置する事で、正常なパフォーマンスが発揮出来る様に設計されています。

プリンターは置き方や場所によっては、正常に稼働しないだけでなく、寿命を縮める事もあります。
プリンターや複合機の設置については、「プリンター・複合機を置く場所はどこが正解?サイズごとに解説」も、併せてご覧ください。

利用しないで保管する場合も、プリンターは縦置き厳禁です。

プリンターを縦置き保管する事で、どんなトラブルが出てくるのか?具体的に見てみましょう。

プリンターを縦にするとどうなるの?壊れてしまう?

利用中のプリンター保管方法については、付属する説明書に記載されています。

詳細については、メーカーや機種によって異なる事もありますが、共通しているのは保管時の縦置きは厳禁ということです。

レーザー方式のプリンターのプリンターや、大型複合機コピー機は重量もあり嵩張るので、頼まれても縦置きにして保管するケースは無いと思います。
一般的な家庭に広く普及している、インクジェット方式のプリンターについて、縦置き保管の最大トラブルはインク漏れです。

インクカートリッジを抜いたら縦置き保管はOK?

インク漏れが縦置き保管のトラブルなら、インクの入っているインクカートリッジを抜いて保管すればOKなのでは?と、お考えになる方がいるかもしれませんが、それは解決策になりません。

多くのプリンターは、保管時や発送時にインクカートリッジは装着したままを奨励しています。

正常に電源を落としたインクジェットプリンターは、キャッピングと呼ばれる、ボールペンでキャップをした状態になり、極力インクの乾燥から守られる設計になっています。

インクカートリッジを取り外す事で、そのキャッピングが出来なくなり、ヘッドやプリンター内部に入り込んだインクが固まる事で、正常な印刷が出来なくなります。

ただし、この状態がキープ出来るのは、本来の設計通りに水平が保たれている事が前提で、縦置きに保管する事は考えられていません。
そのため、縦置きにするとインクが漏れ出してプリンターの損傷に繋がります。

また、インクジェットプリンターで利用されなかったインクは、廃インクタンクに収納されます。
この廃インクタンクも水平が保たれる前提の設計で、傾けることで廃インクが漏れてきます。

漏れたインクを拭けば大丈夫では?

縦置きにしてインクが漏れても、後で綺麗に掃除すれば大丈夫じゃないか?と考える猛者は少ないと思いますが、確実にプリンターが正常に利用出来る状態にはならない可能性の方が遙かに大きいと言えます。

プリンターは精密機器です。
漏れ出したインクがどのような影響を与えるのかは、ケースバイケースですが、漏れ出して乾燥し固まったインクは、プリンター本体に確実に悪影響を及ぼし故障に繋がります。

漏れ出したインクを完全に除去する事は非常に困難であり、新たな印刷出力が汚染される確率も非常に高くなります。

プリンターの保管するときの注意点は?

プリンターを保管するときは、基本的にインクカートリッジを装着したまま、水平な状態で保管してください。

立てかけたり傾けたり、逆さにする事は避けてください。

ただし、機種によってはインクカートリッジを全て取り外して、インク吸引処理を行ってから保管する事を奨励しているタイプもあります。

詳細はインクジェットプリンター個別の説明書やリファレンスを参照して、正しい保管方法を行ってください。

主な注意点を見てきましょう。

インクカートリッジの位置

インクカートリッジがプリンター内の正しい位置に納まってこそ、キャッピングは機能します。
多くのプリンターでは、内部を開けると右端に来る事が多くなっています。

プリンター本体の電源でOFFにした場合は、正しい位置に納まるようになっていますが、収まる前にコンセントを抜いたり、本体のスイッチでは無く電源タップで電源を落としたりした場合は、インクカートリッジが正しい位置に納まらないケースが有り、保管状態としては極めて悪くなります。

トレイや用紙サポートの収納

排紙トレイや用紙サポートなどの、プリンターから開いて利用するパーツについては、すべて完全に閉めてください。

最近のプリンターは利用しない場合は、コンパクトに収まる様に設計されている事も多く、収納スペースを小さく出来るだけでなく、収納時に想定していない破損のトラブルからもプリンターを守ります。

プリンターの開口部が開いていると、ホコリやチリの内部混入を招き、ヘッドなどの内部パーツに付着すると、目詰まりによる印刷不可など、大きなトラブルに発展します。

長期間使用しない前提の場合は、ホコリ対策としてプリンター全体を覆う、シートなどを掛ける様にしてください。

開封後のインクカートリッジの使用期限は半年程度

装着したインクカートリッジは当然そうなりますが、開封後のインクカートリッジは概ねどのメーカーでも半年程度が推奨されています。

ただし、この期間は電源が入っているプリンターである事が前提で、保管した場合の品質はもっと短期間に劣化する可能性があります。

電源を入れっぱなしで定期的なクリーニングを行えば、インクは消費しますしスペースも取りますが、プリンター本体やインクカートリッジの品質保持のためには、長期保管は避けた方が良い事は重ねて言いたいポイントです。

インクの寿命と保管方法については、「プリンターのインクの寿命と保管方法」も、是非併せてご覧ください。

プリンターを配送するときの注意点は?

自宅から事務所へ、反対に事務所から自宅へ家庭用のプリンターを配送する方もいらっしゃるでしょう。縦置きNGなプリンターは、保管時だけでなく配送時にもいくつか注意点があるのでご紹介します。

1.ドライバーが縦向きで運搬するのを防ぐ

中身がプリンターとわからないと、場合によってはドライバーが箱を縦にして運搬してしまうかもしれません。

運搬時の縦向き、傾け、逆さにするのを防ぐには、

  • こわれもの
  • 天地無用
  • 下積み厳禁

などのシールを外箱に貼ると良いです。

また、伝票を箱の側面に貼ると送り先の確認時に縦置きしてしまうので、箱を横向きにした上部に貼るようにしましょう。

2.もしものときのために補償つきの発送方法を選ぶ

天地無用などのシールを貼っても、絶対にドライバーが縦置きにしないとも限りません。

万が一配送時にプリンターが故障したときのことを考えて、発送方法は補償付きのものを選びましょう。

発送方法によっては、補償をつけると通常の配送料よりも金額が高くなる場合もあります。しかし、プリンターが故障して買い換えるよりは安いですから、費用がかかっても補償付きを選ぶことをおすすめします。

3.梱包方法にも気を使う

精密機械であるプリンターは、梱包時にも注意すべき点がいくつかあります。

特に気をつけたいのは、

  • インクが漏れたとき、外箱が濡れたときのために本体をビニール袋に入れてから梱包する
  • もとからついていた専用箱をさらに別の箱に入れて外箱の強度を高めておく
  • インクや開口部は養生テープを貼って動かないよう固定しておく

この3点です。

いざ届いたら壊れて使えないというトラブルが起こらないよう、ていねいに梱包しましょう。

プリンター配送時の注意点に関しての詳細は、「家庭用プリンターを送るときの注意点は?梱包方法や破損させないコツをご紹介」「家庭用プリンターを発送するときはインクは外すべき?それともつけたままが正解?」も、是非併せてご覧下さい。

まとめ

プリンターは精密機器であり、縦置きに保管する事は厳禁です。

プリンターの保管や発送に関しては、お使いのプリンターの説明書の該当部分の確認を、必ず行うようにして、取り扱いには充分にご注意ください。

この記事を書いた人

OLとして7年間中小企業に勤務したのち、Webライターとして独立。現在はプリンター関係の記事を中心に多数の媒体へ寄稿中。

目次