インクってどんな成分からできてるの?|人体への影響と清掃方法について解説

普段何気なく使うコピー機ですが、インクの成分や人体への影響について気になったことはありませんか?

本記事では、

  • インクの成分
  • インクの人体への影響
  • インクの清掃方法

についてまとめています。

この記事を読むことで、インクの成分について理解でき、正しい取り扱い方法が学べます。

インクの成分とは?

インクは主に6種類の成分から作られます。順に見ていきましょう。

インクには水が使われているのをご存知でしたか?実はインクの60〜80%は水でできています。たとえば、印刷物などに水がつくと滲んだりしますよね?これは、水以外の成分に水溶性の薬品が含まれているため、印刷物についた水に薬品が溶け出している状態です。

着色剤

着色剤には染料系と顔料系の2種類があります。顔料系は耐光性・耐水性に優れているため、文字の印刷や長期保存が必要な書類向き。しかし発色は染料系比べ劣るため写真の印刷には染料系のインクが適しています。

対して染料系インクは、ノズルでの目詰まりが起きにくいことから信頼性の面で主流となっています。なんと言っても染料系インクの特徴はその発色の良さです。顔料系インクとは違い、紙に染み込み異なる色のインクが混ざり合うため、複雑な色の表現が可能です。

メーカーによって、顔料のみ、染料のみ、顔料・染料のハイブリットなど、さまざまなインクがあり、薬品の種類や、配合は企業秘密となっています。顔料は水に対する分散方法やノズルの目詰まりなどの問題から染料系インクに比べ実用化が遅れていましたが、顔料を使ったインクも増えてきました。

浸透剤

浸透剤とは、紙とインクの表面張力を低下させ、インクが紙に馴染むのを促進して紙によく定着させるためのものです。一般的にはエタノールが使われています。

乾燥防止剤

インクジェットプリンターを使っている方は、ノズルが詰まってしまった経験が一度はあるのではないでしょうか?乾燥防止剤は、インクの乾燥を防ぎ、ノズルでの目詰まりを防止してくれます。

pH調整剤

インクのpHを調節するための薬品です。これはインクの品質を安定させるとともに、インクの成分に使われている薬品の水への溶解安定性や表面張力に関与しています。

防腐剤・防かび剤

水溶性のインクは放置していると微生物が増殖してしまいます。微生物の増殖により、pHの変化や、成分の分離、沈降が発生し、ノズルでの目詰まりに繋がります。防腐剤・防かび剤を入れることで、微生物の増殖を抑えています。

他にも、表面張力を低下させるための消泡剤や、インク内の薬品の沈殿を防ぐための分散剤、変性を防ぐための脱酸素剤などが用いられることがあります。

インク成分に含まれる薬品

具体的に、どんな薬品が含まれているのか見ていきましょう。

着色剤

着色剤については、プリンターインクのカラーを決める重要な成分であり、他社との差別化ポイントであるため、当然社外秘になっています。

浸透剤

○苛性カリ (水酸化カリウム)
安全性に問題が有り、強アルカリ性で毒物及び劇物取締法で劇物に指定されています。インクのpHを高めて紙の表面を溶かす力が優れているため、以前は使われていたこともありましたが、今はほとんど使用されていません。

○エタノール(エチルアルコール)
工業用アルコールです、有害物質の範疇には入りませんが、消防法では危険物第四類指定を受けています。揮発性が強く、蒸発することで滲み制御する効能があります。

乾燥防止剤

○ジエチレングリコール (ジエチルグリコール)
インク以外にも、化粧品・接着剤・塗料・タバコの添加物・不凍液など、身近なモノに数多く添加されている薬剤の一つです。飲んだり食べたりの経口摂取をしない限り、触れる限りにおいて毒性はありません。誤って経口摂取すると、中枢神経や腎臓に毒性が認められて腎不全を誘発し、死亡する事を含む重大な危害を及ぼす危険性がある薬剤です。

○ポリエチレングリコール
基本的に無毒とされ、幅広く用いられる薬剤です。便秘薬にも用いられる他、皮膚用クリームにも使われます。人によっては、アレルギー症状が出る場合が有ります。

○グリセリン (グリセロール)
保湿性が高く、吸湿性も強い事から水彩絵の具に使われています。同じ理由で化粧品にも使われています。薬剤の成分として、利尿剤や目薬などにも多く使われています。血中に入れば腎不全を発症するケースが有ります。

○N-メチル-2-ピロリドン
高い溶解性を持ち、危険性は低い薬剤です。

pH調整剤

○トリエタノールアミン
シャンプーやシェービングクリーム、化粧品にも広く利用されています。弱アルカリ性の有機化合物です。

○水酸化ナトリウム (苛性ソーダ)
毒物及び劇物取締法で、濃度が5%を超える物は劇物指定です。インクに使用されている中で5%を超えるモノはありません。

防腐剤・防かび剤

○安息香酸ナトリウム
食材の保存防腐剤として、広く用いられていてインクの変質を防ぎます。

○ソルビン酸カリウム
安息香酸ナトリウムと同様の効果が有る、有機化合物です。

○チアベンダゾール
殺菌効果があります。農薬としても利用されていて、食品添加物・木材防腐剤等にも利用されています。

○ベンズイミダゾール
寄生虫駆除剤、殺菌剤として利用されている有機化合物です。

○サイアベンダゾール
乳牛に使われる、消化管内線虫駆虫薬として使われています。

インクの人体への影響とは

インクの人体の影響はどの程度のものなのでしょうか?

結論から言うと、わずかな誤飲や目に入った場合、ほとんど問題はなく、重大な影響に繋がる可能性は低いです。

純正インクでは、メーカーごとに安全データシートというものを作成しており、安全性を公表している場合が多いので安心ですね。互換インクでは、こうした安全データシートが作成されている例は少なく、どのような薬品が使われているかはわからないことが多いのが現状です。

純正インクは互換インクに比べ高いイメージがありますが、安全への配慮は純正インクの方がしっかりしていますね。

インクの安全性

公表されている、プリンター製造各社の安全データシートは、インクに使用されている薬品名・危険性・対処法等の記載があります。インクジェットプリンター人気の3社のデータは以下にあります。

キャノン安全データシート

エプソン安全データシート

ブラーザー安全データシート

安全データシートには、応急措置も具体的に記述されています。

一例として、エプソンの人気機種EW-M670の黒インク(ヤドカリシリーズ)を見てみましょう。

○皮膚に付着した場合
充分な水と石鹸で洗うこと。

○眼に入った場合
誤って眼に入った時は、直ちに充分な水で洗い流し、専門医の指示を受けて下さい。

○摂取した場合
いかなる環境にあっても吐かせないこと。直ちに医師等による診察を受けること。

○吸入した場合
新鮮な空気のある場所に移動させ、温かくして休ませること。

○急性症及び遅発性症状の最も重要な微候症状
なし

○医師に対する特別な注意事項
処置 なし

インクが含む可能性が有る最も危険な薬剤は、ジエチレングリコール (ジエチルグリコール)です。万が一誤飲した時は、該当する安全データシートを確認して、使われている場合に、医師にその旨を伝える事が必要です。

インクの清掃方法

インクには、染料インクと顔料インクがあることを先ほど紹介しましたが、水溶性の染料インクは簡単に洗い流すことが可能です。衣服についた場合には普段どおり洗濯をしましょう。手などに着いた場合でも、人体への影響も低いので、あまり気を使う必要はありません。石鹸などで洗い流しましょう。

顔料インクは染料インクに比べ水に強く、その分掃除がしづらいですが、お湯を使いながら石鹸等を使うことで落とすことができます。界面活性剤の含有量が多いほど落ちやすい傾向があるため、オーガニック系の石鹸や肌に優しいものは洗浄力が少々劣ります。顔料インクのしつこい汚れを取りたいときは、界面活性剤が多く配合されている石鹸などを使いましょう。