コピー機のリースはなぜ高額?そこに潜む「からくり」を解明する

コピー機は本来非常に高価な事務機器ですが、導入時に大きな負担が無く、毎月僅かな一定のリース料で利用ができるリース契約が主流になっています。

リース契約に所有権は無く利用する費用を支払っている事になりますが、借りているレンタルとは全く事情が異なります。

リースの大半はファイナンスリースで、ユーザーが希望するコピー機をリース会社が代わりに購入して、リース期間中は毎月徴収する月額リース料を支払うシステムで、契約時に設定された総額を全て支払う必要があり、一定期間後にはいつでも解約ができるレンタルとは大きく異なります。

リース契約のコピー機はなぜ高額になるのか?そこに潜む「からくり」を含めて解明して解説します。

目次

コピー機本体は高額商品

身近な存在のため普段は気にしませんが、コピー機の価格は思いのほか高額が事務機器です。

印刷速度が速いとより高額になる

コピー機は、同じメーカーでもグレードによって価格が異なります。

高額な機種は何でもできるお大尽仕様になっているわけではなく、備わっている機能は安価なタイプから高額タイプまで多くは変わりません。

本体価格によって異なっているのは、1分間に印刷できる枚数である「印刷速度」です。

たとえば、リコーの印刷速度と本体価格の関係を見てみましょう。

表示の価格は税抜で、オプション価格は含んでいません。

機種 価格 1分間の連続印刷速度
RICOH IM C6000 2,440,000円~ カラー60枚/分 モノクロ60枚/分
RICOH IM C5500 1,960,000円~ カラー55枚/分 モノクロ55枚/分
RICOH IM C4500 1,710,000円~ カラー45枚/分 モノクロ45枚/分
RICOH IM C3500 1,490,000円~ カラー35枚/分 モノクロ35枚/分
RICOH IM C3000 1,270,000円~ カラー30枚/分 モノクロ30枚/分
RICOH IM C2500 1,070,000円~ カラー25枚/分 モノクロ25枚/分

実際の導入時には、この価格に加えて消費税が掛かり、オプション料金も加算されます。

この価格は定価で、もちろん価格交渉も可能ですが、FAXやソート機能などのオプションは必要に応じて低価格機から高額機まで加算していく事になります。

リース契約を利用するメリット

この高額なコピー機を購入した場合、一気の資金流失に加えて全額を経費に計上できず、資産として帳簿に掲載して税金を納め、減価償却を5年間に渡って行う必要があります。

また、コピー機は精密機械でトラブルは利用する中で必ず出てきます。
本体が大きく簡単には故障しても移動ができないため、サービスマンが出張して修理にあたる必要があり、1回のトラブルで部品代や技術料に出張費などを加えれば、数十万円になる事も決して少なくありません。

使っていればトナーなどの消耗品補充も必要ですが、一般的な家電量販店などでは扱いが無く、取り寄せても非常に高額で費用負担は小さくありません。

これらコピー機購入にまつわる多くの問題に対して、「全て解決しますよ!」と手招きするのがリース契約です。

リース契約でコピー機を導入すれば初期費用は一切掛からず、所有権もリース会社にあるので資産として計上する必要も無く、毎月支払うリース料は全て経費として計上ができるので節税効果もあります。

リース契約と併せて多くの場合にカウンター料金保守契約が締結されて、印刷枚数に応じたカウンター料金を支払うのと引き換えに、プロのサービスマンが普段からメンテナンスに気を配り、消耗品が枯渇する前に補充が自動的にされて、トラブルが発生した時にも別途費用が一切掛かりません。

リース会社がコピー機のリース契約で提供しているのは、「面倒くさい事は全てウチが引き受けますので、あなたは使うだけで良いですよ」というサービスです。

なぜコピー機のリース料金は高額なの?

リース会社は物品を貸し出している企業ではなく、金融会社だと言えます。

実際に導入するのに価格費用総額に、リース会社の金利経費などを加えた金額がリース総額になり、それをリース期間の月数で割ったものが月額リース料になります。

リース会社の取り分を表すリース料率

リース会社の金利経費はリース料率という数字があり、各社で異なっていますし契約する時の金利情勢などにもよって変わり、過去のお付き合いによっても変動します。

一般的なリース期間とリース料率の一例は、以下の通りです。

期間 リース料率
3年リース契約 3.1~3.3%
4年リース契約 2.4~2.5%
5年リース契約 2.0~2.1%
6年リース契約 1.7~1.8%
7年リース契約 1.5~1.6%

リース期間が短いほどリース料率は高くなり、期間が短いほどリース料率は安くなります。

リース期間による「からくり」

本体価格に値引き交渉を行って、必要なオプションなどの費用を追加して、総額が150万円になった場合のリース金額を具体的に考えてみましょう。

総額にリース料率を掛ければ、毎月のリース料が出ます。

5年契約の場合

リース料率2.1%で計算した場合、月額リース料は31,500円になります。

その場合の総額は1,890,000円になり、150万円の総額から考えれば差額の390,000円がリース会社の取り分になります。

7年契約の場合

毎月のリース料が高いから、もう少し安くならないか?という希望に対して、しばしば行われているのがリース契約期間の変更です。

7年契約のリース料率1.6%で、同様に150万円のリース料を計算してみましょう。

月額リース料は24,000円になり、毎月の支払費用は大きく下がります。

しかし、支払総額は2,016,000円になり、リース会社の取り分は516,000円になります。

毎月の支払費用は下がっても、総額の支払いは126,000円も高くなります。

リース契約に付帯するカウンター保守契約とは?

さらにリース契約をする際に見落としてはいけないのが、カウンター料金と呼ばれる契約や保守メンテナンス契約です。

この2つのことをよく知っていないと、契約に関するコストで大きな間違いをしているかも知れません。

よく聞く話として、コピー機のトナーなどの消耗品や、定期メンテナンス、そして万一の故障時の費用などが、すべて本体リース契約の費用に含まれているので「使い放題」と勘違いしているというものがあります。

しかし実際にはこれらの付随する契約は、別途締結するケースがほとんどで、本体料金とは別に料金を支払っているのです。

ではこのカウンター料金と、保守メンテナンス料金とは一体何を意味するのでしょうか。

印刷の従量制で支払うカウンター契約

大型コピー機には「カウンター」という機能がついています。

これはコピー機が何枚印刷をしているのかを数えるもので、その数値は随時リース会社に送られています。

リース会社はその枚数に従ってカウンター料金を請求しています。

カウンター料金は消耗品であるトナーなどのコストとして請求されていて、決してコピー機のリース契約に無料で含まれているわけではありません。

メンテナンスとセットになる保守契約

このカウンター料金とセットになって契約されているのが保守契約です。

ほとんどの保守契約は「カウンター保守」という形で契約され、カウンター料金と共に本体の保守メンテナンス費用を支払っているわけです。

この保守契約により万一の故障の対応や、定期メンテナンスが行われることになりますが、こちらも決してリース料金に含まれているからお得と言うわけではないことは理解しておくべきでしょう。

実質的には不可欠な契約

このように印刷するたびの費用な、保守メンテナンスための費用が別途必要であると聞くと、節約するためにはカウンター保守契約をしなければ良いと考える方もいらっしゃることでしょう。

ただし実際には印刷するたびに消耗するトナーなどを自分で交換するのはともかく、ドラムなどの部品を掃除するメンテナンスや故障の対応などは、専門業者に任せないと難しいものとなっています。

そのためリース契約のほとんどはこのカウンター保守契約が実質的にセットで必要となり、やはりカラクリとして月額のコストが高くなってしまうのです。

具体的なカウンター料金

カウンター料金は契約時に単価が決められて、リース契約中に変更する事はできません。

同じ機種でも契約ごとにカウンター料金の単価は異なり、リース契約で予定していた利益が確保出来なかった場合の調整手段として利用されます。

たとえば、毎月カラー印刷3,000枚・モノクロ印刷3,000枚を行っている場合で、具体的なカウンター料金を計算してみましょう。

カラー1枚10円・モノクロ1枚1円のカウンター料金で、支払う月のカウンター料金は33,000円になりますが、カラー1枚20円・モノクロ1枚2円のカウンター料金で、支払う月のカウンター料金は66,000円になります。

カウンター料金の単価の違いにより毎月の差額が33,000円にもなるので、5年間のリース契約中に支払うカウンター料金を単純計算すれば、プラス1,980,000円を支払う事になります。

印刷枚数や過去の付き合い、他の導入実績によってカウンター料金の単価は変わるので一概には言えませんが、リース契約のコピー機が高くなる原因の一つとして、カウンター料金は非常に大きな要素です。

リース契約についての詳細は、以下も是非併せてご覧下さい。

オフィスに最適なコピー機の選択が必要

このようにコピー機のリース契約は、さまざまなカラクリで思ったよりコストがかかってしまうことがあるのです。

そこで、そんなカラクリを理解した上でコストダウンを図るために、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

ポイントをまとめて紹介していきます。

そこまで高速な印刷が必要か?

まずは器機のスペック面を見直してみましょう。

大型のコピー機はハイスペックなものが多いのですが、果たしてそのスペックが自社に必要かどうかをチェックしてみてください。

特に高速印刷性能の高さが大型のコピー機のメリットとなるのですが、実際に使ってみるとそこまで高速でなくても実用に耐えることがほとんどです。

そうなれば本当に高額なリース契約をしてまで、大型のコピー機が必要とはいいきれないはずです。

例えばサイズダウンしたリーズナブルな中型複合機などを代替機として使えば、一気に高額なリース費用を削減できるようになります。

不要なオプションや機能はないか?

印刷速度の他にさまざまなオプションや特別機能がついているのも、大型のコピー機の特徴となります。

印刷速度と同様、実務としてそこまでのオプションや機能が必要かどうかも見直してみるべきかも知れません。

見積もりの内訳をしっかりチェック

リース会社によっては、リース契約の中に不要な契約を混ぜてしまっていることもあります。

それに加え前述のカウンター保守契約の金額など、見積もりの内訳をしっかりチェックしていないと、無駄な料金を払ってしまうリスクもありますので注意してください。

場合によってはレンタル契約への変更も検討?

コピー機のリース契約には、不要なコストが乗っていたり、途中解約できない縛り契約など、コスト高の原因になる要素がたくさんあります。

もしスペック的に、そこまで高速だったり多機能性が必要ないのであれば、ダウンサイジングされた寄りコンパクトなコピー機や複合機に乗り換えるというコストダウン方法もあります。

特に中型の複合機をレンタル契約で導入すれば、大幅な経緯節減が可能となりますので、自社のコピー機の運用方法を見直し、コストダウンできる器機の導入を検討するのが、賢いコピー機の運用方法と言えるのではないでしょうか。

「プリント革命のレンタルプリンターサービス」のメリットについては、以下も是非ご覧下さい。

 

この記事を書いた人

OLとして7年間中小企業に勤務したのち、Webライターとして独立。現在はプリンター関係の記事を中心に多数の媒体へ寄稿中。

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