特に写真印刷するときに、モニター画面で見ている写真と、複合機やプリンターで印刷出力されたものに、落差を感じた経験は多くの方がありますよね?
人間の目というのは、考えているよりも遙かに高度です。
閲覧するモニターが変わるだけで、見え方も変わって来ますから、液晶パネルで見るのと、紙に印刷したものを見るのでは、差違が有って当然です。
ただ、印刷した物が良い方向に変わる事は、基本的にありません。
何となく物足りなく、繊細さに欠けて粗いと感じる場合、少々手間を掛ける事で、その差を有る程度埋めることが出来る可能性があります。
冴えない印刷結果を改善するために、その原因を解説して解決策を探ります。
コピー機の画質を決める要素
コピー機の画質を決める要素は主に3つあります。それぞれ紹介していきましょう。
色合い
まず重要なのは色合いです。一般的にプリンターに使われるインクはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4つですが、これらの濃さやバランスがうまく組み合わさることで画質がよくなります。
「色合いが濃い」「色合いが薄い」という表現で使われる事が多く、色加減や色具合を包括した、幅広い要素を含んでいます。
解像度
次に重要な要素となるのは解像度です。カメラなどでもよく聞く画素数と呼ばれる、一つの範囲に入るドットの数がプリンターでも決まっています。数値が大きいほど高精細になり、写真やWebサイトの画像などをくっきりと写すことが可能です。
解像度は「dpi」と言う単位で表されます。
これは、「dots per inch」を略したもので、印刷の密度と考えてください。
プリンターの解像度の表記は、「〇〇 x 〇〇dpi」になっていて、1インチ(2.54cm)あたりの横と縦のドット数を表記しています。
たとえば1440x720dpiの場合、横に1440ドット、縦に720ドットの点が打てる事を表しています。
dpiの数値が高い方が密度は高いため、解像度は高くなります。
解像度の詳細については、「プリンターの画質と解像度の違いは?dpiって一体なに?」も、合わせてご覧下さい。
用紙サイズ
3つ目の要素は用紙のサイズです。A4に合ったものをA3用紙で印刷したら画質は粗くなってしまいますし、サイズが小さすぎても適切な画質にはならないでしょう。印刷するデータに合わせて最適なサイズを選択することが必要です。
コピー・印刷の画質を上げるためのポイント
画質を上げるためには、用紙や設定を変えることが必要です。状況に応じて、機器本体を変えるのも効果があります。
用紙を変える
印刷するデータに合わせて用紙を変えると、画質が上がる可能性があります。たとえば写真なら光沢紙やインクジェット紙、グラフや図ならインクジェット紙や普通紙、といったように使い分けましょう。
普段ご利用になっている用紙以外にも、一般的な複合機・プリンターで利用出来る紙の種類は多く、印刷方式も考慮した上で最適な用紙を選択する事で、印刷出力結果は大きく変わってきます。
紙の種類と使い方についての詳細は、「プリンターの紙の種類と使い方」「用途別、コピーの時の紙の選び方」をご覧下さい。
設定を変える
設定を変えることによって、データに適した画質に調整できることもあります。たとえば濃度、彩度、コントラストなどは簡単に設定変更できます。機種によっては解像度を上げられるものもあり「高画質モード」といった機能を搭載しているので、利用中のコピー機の設定を見てみてください。
設定は、コピーを行う場合と、パソコンから印刷する場合で異なります。
コピーの場合、設定出来る項目等は機種によって異なり、設定方法も違いますが、コピー濃度・シャープネス・彩度の詳細を設定したり、カラーバランスの詳細や色合いを設定したりする事で、印刷結果を改善する事が出来ます。
パソコンから印刷する場合、解像度を上げる設定になるため、印刷時間(データが送られる転送時間・印刷祖ものもの時間)は長くなります。パソコンの処理能力でも時間は変わってきます。
詳細は、「コピー機で写真をきれいに印刷する方法」の「写真をきれいに印刷する設定」をご覧下さい。
コピー機の画質が悪い場合に考えられる原因
画質が粗いときは、設定が適していないことや解像度が足りないことが考えられます。原因を一つずつ紹介していきます。
紙や設定が印刷データに適していない
考えられる原因の一つとして、紙や設定が印刷データに適していないことが考えられます。写真データは普通紙で印刷しても粗くなってしまうことがほとんどのため、光沢紙などに切り替えてみると改善されるかもしれません。
解像度が足りない
プリンターや複合機の解像度が足りない場合、高精細なWebの画像など印刷すると粗くなってしまいます。頻繁に写真データや画像を印刷するのであれば、高画質モードにする、もしくはスペックが高い機種に切り替えることをおすすめします。
画質向上の具体策
画質を決める要素とは?
画質を決める要素を、もうすこし深掘りしてみましょう。
○原稿の画質
元の原稿やデータの画質が優れない場合は、満足いく結果を得るのは非常に困難です。
データの場合は、パソコンの画像ソフトを利用して修正します。コピーをする場合は、詳細を設定する事で向上する場合が有ります。
○濃度
文字通り、濃いか薄いかです。元の原稿が薄い場合に濃度を上げてあげると、読みやすくなるケースが有ります。
○シャープネス
輪郭をハッキリさせます。ぼんやりした画像や文字の場合は、調整すると改善する場合が有ります。
○彩度
色目の鮮やかさで、モノクロの原稿出力の場合は殆ど関係ありません。地味目の色原稿が修正すると派手目になります。
○コントラスト
濃淡差のメリハリです。文字原稿では全体がグレーっぽい場合に、コントラストを強めにすると文字が読みやすくなります。画像では明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなる効果が有ります。
複合機によっては、地色除去する事が出来るタイプがあり、文字原稿の下地カラーを削除することが出来ます。
○色合い・カラーバランス
色の三原色は、CMYK(シアンcyan・マゼンタmagenta・イエローyellow)で構成されています。三色を混ぜ合わせていくと黒になりますが、効率を考えて別途に黒を加えているのが基本で、プリンターのインクやトナーも、この原則で設計されています。
例えば、原稿が全体に青味が強い原稿の場合は、シアンの色濃度を落としてやることでバランスがとれて、画質を上げた出力結果を得ることが出来ます。
全体を一気に変更するのでは無く、カラーごとに「低濃度」「中濃度」「高濃度」のレベル別に調整が出来る機器もあります。
方法を具体的に考える場合、大きく3通りがあります。
コピー機本体で調整
最近のコピー機は優秀で、使う原稿を判断して自動で調整するタイプが多くなっています。しかし、判断には各社の傾向やクセもあり、必ずしも求めていた結果が得られるとは限りません。詳細を設定することにより印刷の画質を上げられる可能性が有ります。
メニューの中からコピーを選び、画質調整を選択します。
原稿の画質では、文字と写真が混在する・文字だけ・写真だけ・地図など複雑な描写が必要等を選択します。
より、詳細を指定する事で画質が向上するケースもあります。
たとえば、文字では、鉛筆で書かれた場合・薄い原稿に書かれた裏移りの防止等の詳細が指定出来ます。
その後、必要に応じて、前述の濃度やコントラストを調整してください。
機種によっては、お任せで画質調整が出来るメニューが有ります。
全体的な方向性を示してあげる事で、画質が上がる可能性が有ります。
「あざやか」「メリハリ」「赤味を強調」「裏移り防止」等の選択肢が有ります。
プリンタードライバーで調整
パソコンを使って、プリンターや複合機で印刷する場合は、プリンタードライバーで調整します。
一例として、キャノンのプリンタードライバーをwindowsで利用する場合です。
プリンタードライバーの設定画面を表示して、印刷品質タブを開き、色の設定を行うにチェックマークを付けて、色設定に入ります。
前述の濃度やコントラストを調整すれば、印刷画質が向上する可能性が有ります。
パソコンで調整
印刷する前に、元原稿をパソコンで調整する方法です。
画像を処理するソフトとして代表的なのは、AdobeのPhotoshop等が有ります。
扱いには一定のスキルが必要で、かなり詳細に調整をする事が出来ますが、購入費用も掛かるため、万人向けではありません。
無料で使える画像処理ソフトも有ります。出来る事が限られる他、やはり一定のスキルも必要になります。
画面上で見ている色目やトーンと、印刷出力された内容は、必ずしも一致しません。
写真等で大きく調整を入れると、出力しても不自然に仕上がることも多く、試行錯誤が必要です。
調整後は設定を元に戻す
画質を上げる調整を行った場合、1枚あたりの印刷コストが上がる事も多く、処理時間も掛かるケースが大半です。
オフィスで利用される大型複合機コピー機は、次の人に迷惑を掛けないように、設定を元に戻しておきましょう。
個人で利用しているプリンターでも、次回使用時にうっかり時間と費用を掛ける印刷設定で利用する事を避ける為に、設定は元に戻して置いた方が良いです。
まとめ
複合機やプリンターの画質が粗くなってしまう原因と対策についてお伝えしました。さまざまな理由が考えられますが、まずは用紙の種類や設定を見直してみると、画質が改善されるかもしれません。
もし画質が悪いままなら、プリンター業者に相談したり、機器をスペックアップしたりするなどもおすすめです。それぞれの対処法を試して、原因を探してみてください。
改善のために設定等を行っても、写真印刷を行って満足いく結果が得られない場合、プリンターの印刷方式による限界も考えられます。
プリンターの印刷方式の詳細は、「【プリンター・複合機】業務用と家庭用の違いは?選ぶポイント」をご覧下さい。