人間という生き物は、多かれ少なかれ必ずミスをします。
どれほど気をつけていても、トラブルが起きるときには起きるものです。
プリンターと鮮やかな発色を見ていると、これが漏れて手や衣服に付いてしまったら、マズいなぁ・・・とは思っているのですが、インク交換をする時にはすっかり忘れています。
充分な注意は払ったつもりでも、ちょっとした力の入れ方で、インクが飛び出す事はありますし、うわ!と思った時には・・・もう遅いという現実が突きつけられます。
インクジェットプリンターを使っていく中であり得る、あくまで宿命かもしれません。
そんな時にどう対処するのか?手や衣服にインクがついてしまった時の洗浄方法を解説します。
プリンター(複合機)のインクは落ちづらい
プリンターのインクが手や衣服についてしまったときは非常に落ちづらいです。
インクは簡単に落としづらいからこそ、鮮明な状態で印刷物が保存出来るとも言えます。
インクジェットプリンターのインクの種類には染料と顔料があります。
これらのインクには、それぞれ特徴が有ります。
顔料インクの特性
顔料インクは、用紙の中に浸透しないで紙の上に乗る特性があるため、滲みにくくハッキリとした文字印刷が可能で、トナーを使うレーザー方式のプリンターに近いビジネス文書の印刷が可能になっています。
また、水に染料の粒子が溶けきっていない事で、水や湿気にも強く長期保存が出来る印刷物になる特徴を持ちます。
耐水性に優れているということは、顔料インクが手や衣類に付着した場合に、水洗いだけでは非常に落ちにくいということです。
染料インクの特性
染料インクは、用紙にインクを染みこませる特性が有ります。
他のインクとも柔軟に混じり合うことで、豊かな階調表現が可能になり、写真印刷に最適なインクです。
耐光性や耐水性は顔料インクと比較して大幅に劣るので、水には弱い特性があるため、早い段階での水洗いは有効な手段になります。
反面、衣類などの繊維に付着した場合の浸透は早く、時間の経過と共に非常に落としづらくなります。
インクの成分や人体への影響については、別項の「インクってどんな成分からできてるの?|人体への影響と清掃方法について解説」も併せてご覧下さい。
手にインクがついたときの洗浄補法
手にインクがついたときの洗浄方法を紹介します。
染料インク、顔料インクともに手についた場合は、すぐにハンドソープをつけお湯で手洗いすればほとんど落ちます。
特に顔料インクが手に付着してしまった場合、洗っても指紋が解るほど残ってしまうことも少なく有りません。
そんな場合は、ハンドソープなどの石鹸を付ける前に、溜めたお湯の中に手をつけ込んで、ある程度ふやけてから(4から5分程度)、あらためて石鹸を付けて洗ってみてください。
洗うときに、手を擦るだけで無くメラミン樹脂性のスポンジを使って擦る方が、汚れ落としには効果が有ります。
除光液や食器用洗剤、クレンザーなどの研磨剤、果ては塩素系漂白剤使う、インク落としの方法も紹介されていますが、繊細な手の表面にダメージを与える事になるため、積極的には奨励しません。
根本的に削り取る、軽石などで擦る方法も、確かにインクを除去する方法としては効果的ですが、手が受けるダメージを考えれば得策とは言えません。
石鹸以外で手にダメージを受けずに、インクを除去する効果的な方法として、先述のお湯で手をふやかした後に、頭髪シャンプーを使って手洗いをしてください。
状況に応じてスポンジを使うと効果的で、殆どのインクを落とすことが出来ます。
それでも少々、残ってしまうことがありますが、それは気にしないことです。
人間の身体は新陳代謝を繰り返していて、数日のうちに気が付かない程度まで自然にインクは落ちています。
除去しにくい、爪の中に入り込んでしまったインクも同様です。
どちらにしても、インクを除去するのは通常の手洗いとは大きく異なる方法を強いられるので、手洗い後にはハンドクリームなども使用して、ケアに心がけてください。
衣服にインクがついたときの洗浄補法
衣服にプリンターのインクが付いてしまった時は時間との勝負になります。すぐにインクを吸い取り、洗う必要があります。染み抜きのやり方と同じです。
- インクがついた部分の下に使わない布やタオルを敷き、インク部分に洗濯洗剤を少量つけます。洗剤を付けた部分を別の布やタオルでたたき、敷いた布やタオルに色を移していきます。洗濯洗剤以外では消毒用アルコールで代用することも可能です。
※色が戻らないように移す布やタオルの位置は何度か変えましょう。 - ある程度色が移ったら水やお湯で手洗いしましょう。強く洗いすぎると衣服を傷めます。
- 酸素系漂白剤で5~10分ほどつけます。
ここまででほとんど色が落ちていると思いますが、染料インクの性質上服の中まで染み込んでいる場合があります。その際は塩素系漂白を直接吹きかけ洗濯すれば落ちます。
市販で売っている染み抜き商品を使ってもよいでしょう。注意点としては、漂白剤を使うので本来の衣服の色まで落ちてしまう可能性がありますので注意が必要です。
大切な衣服の場合は自分で行わずクリーニングに出しましょう。
衣服にインクが付着してしまった場合は、数分以内に処置が出来るか出来ないかで、結果が大きく異なります。
インクが衣類についたときに、焦って汚れを擦るのは禁物です。
汚れがかえって広がり、落としにくくなります。
インク汚れが付いたまま、全自動洗濯機に投入して乾燥まで行くと、熱が加わる事でインク汚れが定着してしまうので、避けた方が良いです。
繊維に付着したインク汚れについては、「洋服・カーペットなどについたプリンターのインク汚れを落とす方法」も、併せてご覧下さい。
まとめ
今回は手や衣服にインクがついてしまった場合の洗浄方法について紹介しました。
手にインクがついた場合は自然に色が落ちていきますが、衣服についたインクは非常に落ちにくいです。
プリンターのインクの交換は慎重におこないましょう。
衣服にインクが付かないようにビニール手袋、ビニールエプロンを使用すると安心です。