京セラのイメージと言えば、やり手経営者の稲盛和夫氏が強いですよね。
その独特な経営管理手法は、アメーバ経営と呼ばれています。
畑違いと思われたJALの再生も、見事に成し遂げました。
多角的に広がる京セラのビジネスフィールドの中に、コピー機・複合機もあります。
富士ゼロックス・リコー・キャノンといった、マーケットで先行する巨人達に果敢に臨む、京セラベンチャー精神は遺憾なく発揮され、ここ数年で販売数・シェアが大きく伸びています。
京セラのコピー機・複合機の特徴について解説します。
京セラという会社
京セラは1959年の創業時「京都セラミック」という名前で、稲盛和夫氏が京都に設立しました。1982年に略称として使われていた「京セラ株式会社」に名称変更されています。
「セラミック」というのは、陶磁器です。「セラミックス」は「セラミック」を使用して作成された物の事です。「ファインセラミックス」は、高度に精選合成された原料粉末を用い、十分に制御された製造プロセスにより生み出された、高密度なセラミックスのことです。
京セラは、ファインセラミックスの専門メーカーとして操業しました。
ハイレベルな京セラのファインセラミックスは、半導体に用いられて世界中のマーケットを席巻します。ここから京セラの精密機器多角化が始まります。
京セラのコピー機・複写機の源流は、三田工業にあります。
三田工業は1998年に会社更生法の適用を申請して、当時戦後最大負債額2056億7800万円を出しました。
「コピーは三田」のキャッチフレーズは、1980年代には抜群の知名度があり、歴史と技術のあるコピー機・複写機のメーカーだった事から、事実上倒産した三田工業を京セラが支援して、2000年には100%子会社化して社名を京セラミタ株式会社に変更しています。
2012年に現在の「京セラドキュメントソリューションズ株式会社」に社名変更して、世界に事業展開しています。
京セラのコピー機の特徴
機器としての性能
京セラのコピー機の機器特徴として、一番に挙げられるは耐久性です。
特に印刷するための重要なパーツ「ドラム」の耐久性は群を抜いて高く、自社生産だけでなく他メーカーに供給されています。
印刷の立ち上がりの早さで、他メーカーをリードしています。
コストカット対策が優れています。
- カラー印刷を控えることはコスト削減に繋がります。プリントはモノクロを基本にしていても、例えば「ここは赤が欲しい!」という時に、指定する色を黒と組み合わせる2色コピー機能を搭載している機種があります。
- 記載の無い白紙ページの原稿を機器本体が察知し、その分は印刷しないで次に進む機能を持つ機種があります。
機器の性能とは直接関係ありませんが、外観のスタイリッシュさも特徴の一つです。
カラーも特徴が有り、白系が多い他メーカーに対し、黒系をラインナップに加えているほか、白系の機体にも黒パーツを一部に使っています。高性能のドラムを搭載しているという主張の側面もありそうです。
コスト面
- 本体価格
マーケット参入が後発である分、価格破壊とも言われる安価な本体価格を提示しています。
同タイプクラスを他メーカーと比較すれば、その安さは一目瞭然です。
高耐久性のドラムは部品交換の頻度を下げ、メンテナンス費用を安価にすると共に自社生産パーツで本体価格も下げることが可能になっています。 - カウンター料金
本体価格だけで無く、保守契約込のカウンター料金も安いです。
契約条件によって差はありますが、一般的なカウンター料金よりも3割程度安いケースが多いです。具体的にはモノクロ0.7円・カラー7円程度の契約が多くなっています。
実用的な良さと本体価格の安さ、カウンター料金を含むランニングコストの安さが、京セラのコピー機・複合機の特徴と言えます。
京セラの劣る点
画質
通常に使用する分には、もちろん全く問題はありません。
特に最新機種では大幅に品質向上しています。
しかし、発色や再現性においては、定評ある富士ゼロックスやキャノンには及ばない部分がある事も確かです。繊細な線の描写、例えばCAD図面の印刷を日常する現場では敬遠される事もあります。
サービス拠点
後発メーカーの宿命とも言えますが、やはりサービス拠点は他メーカーと比較すれば少ないと言えます。
また、それを補うポジションの代理店は、担当スタッフにより対応クオリティに大きな差がある声も、ユーザーから聞こえてきます。
メーカー保守ならクオリティは期待出来ますが、拠点が少ない為、対応出来るエリアが限られています。
機種によっては、より安い保守契約料金の「コンビ保守システム」があります。これは、可能なメンテナンスはユーザー側が請け負う事で、安い保守価格を実現しています。
故障頻度
耐久性は折り紙付きの京セラですが、一時期は故障の多いメーカーと悪いレッテルが貼られていました。これは生産拠点の移行によるもので、実際に故障が多かったのですが、2016年頃からは大きく改善されています。
ただ、現在もユーザーからは、「他社と比較して紙詰まりが多い」との声も多く聞かれます。