ペーパーレス化がうまくいかない理由

ペーパーレス化とは、企業や官公庁役所などで、資料や書類等を紙で保存するのではなく、デジタル化する事により、データで保存する事です。

国としてデジタルへの取り組みがあまりに脆弱だとして、2021年9月にデジタル庁が発足する事になりました。

国だけでなく、それ以前からペーパーレス化に取り組みを始めた企業でも、うまくいかない ケースが多くなっています。

ペーパーレス化がうまくいかない理由を考えてみます。

意識の統一ができていない

ペーパーレス化には、多くの時間と費用・労力を要します。

ペーパーレス化を中途半端に行っても、意味がありません。

たとえば、特定のファイリングされた中から、ある項目について取り出す場合を考えてみましょう。紙媒体とデジタル化された書類が混在していては、結局全てを見直す必要が出てきますよね。

社内の部門や部署によって、ペーパーレス化の意識に温度差が生じていては、前には進みません。
ペーパーレス化の推進リーダーに対して、「何が目的なんだ?」の様な懐疑心があったり、「今のままで何か問題があるのか?」と不満があったりしては、中途半端に頓挫する事は明らかです。

ペーパーレス化を何のために行うのか?目的意識をはっきり持って、スタッフ全員で臨む事が鍵になります。

ペーパーレス化は「もっと高いハードルを越えて、事業を発展させるため」業務効率を大幅に上げる「ツール」だと言う事を共有認識として、社内の意思統一が必要です。

この意思統一に必要なのは、強力なトップダウンです。

ペーパーレス化を実現するためには、物理的な環境の整備と、推進するリーターが必要です。

組織のトップがペーパーレス化に懐疑的であっては、絶対にペーパーレス化は成功しません。

ペーパーレス化は、トップダウンで目的を明確化し、従業員教育を徹底するシステムを構築して、成果を明示し意識の統一を行います。

ペーパーレス化する項目を整理しきれていない

ペーパーレス化は文字通り紙を少なくする事ですが、闇雲に書類を電子化するのでは、効率が悪く日常業務にかえって支障を来す事にも繋がります。

紙を全て否定しているのでは無い事を、まずはスタッフに理解してもらう事が必要です。

後から書き込みがし易い事や、記憶に残りやすい個性が出る等、紙だからこその良さがある事は確かだからです。

紙を使った方が都合の良い物は紙で、電子化した方が都合の良いものはペーパーレス化する、仕分けと整理が必要になります。(紙として残す資料は、利用しやすい環境の下に保管する方法も同時に具体化します)

具体的には、社内の資料ごとに「要or不要」「電子化必要or電子化不要」「どこの誰が管理」を明確に整理して、「どこにファイリング紐付け・収納」を使いやすい様に整頓していきます。

全社で一気にペーパーレス化を進める事は、混乱とトラブルに繋がります。

限定的な部署で試験的に電子化の整理整頓を始めて、ノウハウや問題点を洗い出し、その後の展開に繋げる手法がお勧めです。

ペーパーレス化した成果を確認する術がない

ペーパーレス化のそれ自体は、目的ではありません。あくまでも「ツール」です。

手間と時間をかけた割りに、直接的に成果が見えない事で出てくる、不協和音についても考えておく必要があります。

不協和音が出れば、ペーパーレス化を進める上でのモラールの低下に繋がります。

このために、ペーパーレス化が途中で有名無実化する企業も多く、大きなハードルになっています。

これを回避する為には、短期的に解りやすい事例を入れる事で推進を図ります。

たとえば、会議でのペーパーレス化導入です。

会議の事前に、参加者個々へ向けてデジタル化した資料を配付します。

参加者は資料を読んだ上で会議に参加できるため、会議中に資料を読み込む時間が不要になり、純粋に活発な議論が進められる事で、会議の効率が大幅に上がります。

その上で、書類をペーパーレス化したことで削減出来た経費を明示します。

ペーパーレス化によって生まれた時間(効率化で短くなった会議・印刷の経費と人件費等)を金額化して、資源の無駄使いを防ぐ事も併せて示し、社内のペーパーレス化モチベーションの継続に活かします。

誰が実行するのか決まっていない

命令系統がハッキリしていなければ、どんな仕事も上手くいきません。

「自分がやらなくても、誰かがやるだろう」という発想が出てくる事が、ペーパーレス化を大きく阻害します。基本的にオフィスで暇を持て余している人はいません。もし暇なスタッフがいるなら、それはペーパーレス化以前に、取り組む内容があることになります。

ある意味ペーパーレス化は、通常の業務以外の仕事・作業が増えるという側面があります。
目先の仕事に追われている状態で、あやふやな指示取り決めを放置しておけば、本来ペーパーレス化が必要な書類が紙のままで放置され、間違いなくペーパーレス化は頓挫します。

役割分担が明確になっていなければ、仕事は動いていきません。
一定の範囲でペーパーレス化を進めている場合、基本的にペーパーレス化する事は日を跨がない等のルールを明確に決めた上で、個人で扱う書類は責任を持ってペーパーレス化を行う事を正式な業務とし、部門やグループなどが扱う個人が特定されない書類に関しては、当番制にするなど責任の所在を明確にすることが必要です。

ペーパーレス化は、一部の人間が頑張っても決して成し遂げられません。
ITリテラシーが高く、スキルのある人だけにペーパーレス化の作業が集中すれば、必ず疲弊を招くだけでなく、継続的なペーパーレス化に取り組む事が困難になります。

もし、出来ない人がいるならば放置せず、簡単な事からでも実施してもらう事が大切です。パソコンが苦手な人ならタブレットを導入したり、使いやすいアプリを用意したりするなど、取り組みやすい環境を構築しながら、関係する人間全員で取り組む事が必要不可欠です。

過度に削減を求める

ペーパーレス化を進めるのにトップダウンは必要ですが、実態を無視した強引な目標数値を設定するなど、大きな負担を強いる事は失敗に繋がります。

全社一気にペーパーレス化する事は、多くの場合困難です。
ペーパーレス化は、辛抱強く長期的に取り組んでいる姿勢が必要です。

単純な紙の削減だけを求めれば、本来必要な仕事上の書類も出力することが躊躇われて、業務効率に著しく弊害をもたらします。ペーパーレス化の本質は業務効率の向上にありますから、本末転倒です。

デジタル化されているからこそ、紙の書類が必要無くなる順序が誤っていれば、疲弊と不満しか残りません。
まずは、ペーパーレス化の意義をスタッフ全員で共有して、簡単に扱える機器を導入して、使い方をレクチャーして慣れてから、紙の削減とペーパーレス化が始まります。

多くのスタッフが実際にデジタル機器を使いこなせるようになって、意義に加えて便利さに気が付けば、必然的にペーパーレス化は進み、紙の削減は目に見えて達成されるようになります。

ペーパーレス化の進み具合に応じて段階的に範囲を広げ、問題を検証しながら紙の削減に取り組む姿勢が、ペーパーレス化を成功に導きます。

他人の印刷に対して魔女狩りが発生してしまう

ペーパーレス化の推進に、個人個人に範囲を決めて責任を持って貰う事は大切ですが、個人攻撃が発生すればペーパーレス化は困難になります。

「なぜ自分はこんなに苦労してペーパーレス化しているのに、何であいつは何も気にせずジャンジャン紙を印刷しているんだ!?」というストレスが多くのスタッフに溜まれば、ペーパーレス化は高い確率で崩壊します。

紙の書類で動かしていた仕事が、ある日突然全部デジタル化は不可能です。
範囲を決めて、それでもペーパーレス化が進まない場合は、前向きな改善策やツールを提示すると共に、スキルが不足しているなら改善するための勉強会も必要になります。

魔女狩りが発生する職場では、仮にやり玉に挙げられたスタッフを移動等で排除しても、必ずまた別の人が魔女狩りの当事者に挙げられる事が繰り返されます。

辛抱強くリテラシー教育を行いながら、意義やメリットを認識してもらうのと共に、明らかに業務効率が下がるならば、引き続き紙を利用する柔軟性も必要になります。

ペーパーレス化を進めるには、スタッフ全員に意義の浸透を深めることが必須です。

まとめ

ペーパーレス化するには、トップリーダーの強力なリーダーシップと、それによる社内の意識統一が不可欠です。

日本の国や企業に、ペーパーレス化がうまく浸透しない大きな理由の一つは、トップによる強力なリーターシップが発揮しにくい土壌と、トップのペーパーレス化への不理解です。

その上で、ペーパーレス化の育まれた意識が枯れないように・無駄な動きをしなくても良いように、トップの支持を受けた現場リーダーが、粘り強く引っ張っていく事がペーパーレス化の成功に繋がります。

 

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名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。 プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて 初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター カラーレーザープリンターを使ってきて モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。 業務用テキスタイル熱転写プリンター 業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に 国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで 日夜情報収集に励んでいます。