ペーパーレス化は業務効率を落とす?その理由を解説

近年多くの企業において、ペーパーレス化の流れが顕著です。一般的にペーパーレス化と言えば紙書類の電子化がイメージされますが、社内システムを大きく変更する必要があり、決して簡単ではありません。より手軽なペーパーレス化の手段として、集約印刷や文字縮小などが選択される機会が多いです。

しかし集約印刷や文字縮小などによるペーパーレス化は、業務効率を著しく落とします。本記事では、集約印刷や文字縮小などによるペーパーレス化に潜む落とし穴を解説します。社内でペーパーレス化を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

目次

本来のペーパーレス化はハードルが著しく高い

「日本では未だにFAXを利用しているのか?」

2021年に開催された東京オリンピックを訪れた海外の記者が、嘲笑気味に言っていた事です。
実際現在の日本国内では、業界によってはFAXでのやり取りが主流の場合が数多く存在しています。テレビ番組内の案内では電子メールと共に、FAX番号が表示されることも多く、オリンピックのプレスセンターにも当然FAXは存在しています。

このままではマズイと考えた国は、2021年9月にデジタル庁を発足させました。
本来のペーパーレス化とは、企業や官公庁・役所等において、資料や書類を紙で保存・保管する事を、デジタル化してデータで保存する事です。

理論上は、ペーパーレス化が出来れば、膨大な資料の中から目的の資料を瞬時にピックアップする事が可能になり、業務効率は著しく向上します。
書類の保管場所も必要が無くなり、用紙も必要無く印刷によるインクの消耗もしないことからコスト減に繋がり、紙の原料である森林伐採削減にも繋がり、環境にも優しいというのが、ペーパーレス化のメリットとして広く提言されています。
(本当に環境に優しいのか?Co2排出量からみる、ペーパーレスは本当に環境にやさしいのかも併せてご覧下さい)

国や役所が取り組む前から、多くの企業がペーパーレス化に取り組みを始めましたが、そのハードルの高さに頓挫する企業が後を絶ちません。

何故?志半ばでペーパーレス化が頓挫するのか?
それは、最終目標に辿り着くまでの、業務効率の悪化に耐えられないケースが多くなっています。

ペーパーレス化が業務効率を落とす具体例

ペーパーレス化は、中途半端に行っては意味がありません。
一部をデジタル化しても、検索の網が掛けられるのが部分的では、結局多くの資料から目的の書類を物色する事になり、業務効率の向上は期待出来ません。

スタッフの教育・意思統一のための時間が必要

ペーパーレス化のためには、その意義をスタッフに理解してもらって、手順や操作方法・注意点もレクチャーして、同じルールを共有して進める必要が有ります。

単純にデジタル化をすれば良いわけでは無く、データの整理仕訳方法も統一した内容を把握して、実行してもらう必要が有り、簡単ではありません。
通常の業務以外に時間が取られることにより、業務効率は落ちます。

通常の業務以外の手順が必要

日々動いている業務の中で、デジタル化する範疇の書類は着実に増えます。
通常の業務の他に、デジタル化する手順を加える必要が有ります。
紙なら簡単に書き込む事が出来たのに・・・という不満を抑えながら、仕事量が確実に増えるため、業務効率は確実に悪化します。

デジタルに強い社員ばかりではない

年齢を問わず、デジタルには向き不向きがあります。
ペーパーレス化することは、関係者には問答無用で有無を言わさず行ってもらう必要が有ります。
デジタルに親和性が無いスタッフにとっては、余分に多大な時間を要し、大きなストレスになって業務効率は著しく悪化します。

過去の書類のデジタル化

現在進行形の書類もデジタル化が必要ですが、過去に溜めてある書類のデジタル化を行わなくては、ペーパーレス化は完成しません。

ペーパーレス化した方が良い書類と、しなくても良い書類の仕分けから始まり、必要な書類をデジタル化する作業が必要になります。外部の業者を利用する手段も有りますが、持ち出す事で現在の業務に支障が出たり、セキュリティの問題が有ったりして、簡単ではありません。
社内でデジタル化作業を進める場合には、膨大な時間が必要になります。

 

これらは現在の業務と並行して行っていく必要が有り、トータルの業務効率としては確実に悪化すると言えます。

ペーパーレス化のためには、機器を揃える必要もあり、大きなコストが掛かります。
成し遂げるためには、ある程度の長期間は業務効率が落ちる事を覚悟して臨む必要が有ります。
まず、出来る事から始めるのも一つの手です。

電子化以外のペーパーレス化とは

紙書類を電子化せずとも、以下のような方法でペーパーレス化を実施できます。

集約印刷

集約印刷とは、複数枚のページを1枚の用紙に印刷する方法です。1枚の用紙に対し、横並びや縦並びで複数ページを並べます。2ページを集約印刷すれば1/2、4ページを集約印刷すれば1/4といった具合に用紙枚数を節約できます。

文字縮小

あらかじめ文字サイズを小さくしておき、印刷時の用紙枚数を節約します。たとえば文字サイズを1/2にすれば、用紙枚数も1/2になる計算です。

両面印刷

用紙の両面に印刷をし、用紙枚数を節約します。単純に用紙枚数が半分になる節約方法です。ただしプリンターによっては両面印刷に対応していない場合もあるので注意してください。

FAXをペーパーレス化

最も導入しやすいペーパーレス化として、FAXを紙に印刷しない方法が有ります。
FAXデータを電子化して保存する事により、用紙もインクやトナーも利用する必要が無くなります。

劣化する事や紛失も避けられ、本格的なペーパーレス化の第一歩として、多くの企業で導入されています。

ペーパーレス化が業務効率を落とす理由は「見づらさ」

集約印刷や文字縮小をすると、文字やグラフが小さくなります。結果として視認性が悪くなり、業務効率を落とします。

もちろん自分で確認する用の資料であれば、多少の見づらさは問題ないかもしれません。しかし上司や取引先相手に見づらい資料を提出するのは失礼にあたります。かと言って自分用の資料と提出用の資料で印刷方法を逐一変えていたら、それはそれで業務効率低下の原因です。

両面印刷であれば、文字やグラフの見やすさは落ちません。しかし両面印刷の場合、用紙をひっくり返す手間があります。相手に対して不親切であり、場合によっては裏面に印刷したページを見落とされてしまうかもしれません。

集約印刷や文字縮小、両面印刷などでのペーパーレス化は、業務効率の面で大きな問題があります。

FAXを電子化するメリットが有る反面、簡単に書き込む事が出来ず、ファイリングがする必要があるなど、結局印刷する羽目になる事も多く、単純に業務効率が悪化しただけだったケースもあります。

根本的な問題を解決するならレンタルプリンターを導入しよう

ランニングコスト削減が目的であれば、ペーパーレス化よりもレンタルプリンター導入の方が効率的です。

レンタルプリンターとは、月額でプリンターをレンタルできるシステムのことです。中でも「プリント革命」は、インク・トナー代などが月額料金に含まれ、どれだけ印刷しても追加費用が発生しません。つまり集約印刷や文字縮小などをせずとも、ランニングコストを削減できます。

業務効率を落とさずランニングコストを削減したい場合は、「プリント革命」でのプリンターレンタルを検討しましょう。

この記事を書いた人

家電・電化製品を専門とするWebライター。前職は電機系メーカーにて設計職に従事。理系出身ならではの観点で、プリンター・複合機を解説します。

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