調剤薬局の印刷コストとは

同じ規模の事業所で比較すれば、調剤薬局の印刷枚数は間違いなくトップクラスでしょう。
印刷する書類は多岐に渡り、1人の患者様にお渡しする枚数が10枚程度になる事も珍しくありません。

最近は変化もありますが、医療関係の仕入れ業者は、医薬物品専門業者のみというケースが多く、限られた間口になっている事が一般的です。
大きな印刷というニーズに目を付けて、医薬物品専門業者に対して印刷に関するサービス提供をアプローチしたり、プリンターメーカーも薬局専用のプリンターを発売したりして売り込みに余念がありません。

2009年6月改正薬事法が施行されて、大衆薬の一部については、登録販売者による販売が可能になりました。規制緩和によって、ドラッグストア・コンビニエンストア・家電量販店・スーパーマーケット等も調剤薬局業界へ進出する事になりました。

環境に厳しさが出てくる中、調剤薬局が生き残っていくためには、コスト管理と削減をしながら、サービスの向上が必要になります。
印刷コストは経費の中でも大きく、サービスにも直接関わってきます。

調剤薬局の印刷コストについて考えてみます。

目次

処方箋、薬の説明資料などのお客様向け

薬局で患者様にお渡しするのは、領収書レセプト明細・薬の説明書・処方箋の他、お薬手帳に貼るシール印刷や、お薬袋への印刷など多岐に渡ります。

調剤薬局では万が一印刷作業が滞れば、仕事が全く進みません。そこを考慮すれば、メンテナンスが安心の・消耗品切れを起こさない、リース契約で大型複合機コピー機を複数台導入して、カウンター料金保守サービス契約を結んでいるケースが多くなります。

モノクロでも問題無い書類と、カラーが必要な書類に分かれます。
大量に印刷処理をする調剤薬局に、設定されているカウンター料金は、比較的安い料金が設定されているケースが多くなり、モノクロ1枚1円・カラー1枚10円程度です。

モノクロで問題の無い書類

処方箋や領収書・レセプトの明細については、モノクロ印刷で問題ありません。
お薬手用に貼るシール印刷も基本的にモノクロで問題無いです。

具体的な1人に渡す印刷枚数は概ね以下の通りです。

・処方箋 2枚

・レセプト明細 2枚

・領収書 1枚

・シール 1枚

1人あたりのモノクロ印刷枚数は6枚です。
1人あたりのモノクロ印刷コストは

6枚×1円=6円

になります。

カラーが必要な書類

薬の説明書は、似ているサイズや見かけの錠剤薬が処方される事も多数有り、その特徴を明快にして間違いを防ぐ必要があります。
注意点を喚起するのに赤などを効果的に使う必要もあります。

薬袋も、間違い防止や注意喚起等もあり、カラー印刷が一般的になっています。

具体的に1人に渡す印刷枚数は概ね以下の通りです。

・薬の説明書 4枚

・薬袋 3枚

1人あたりのカラー印刷枚数は7枚です。
1人あたりのカラー印刷コストは

7枚×10円=70円

になります。

■トータルコスト

トータルすれば

モノクロ6円+カラー70円=76円

になり、1人あたりに要する印刷コストは76円になります。

週に5日間営業して、午前中に30名・午後に30名を処理する場合、1日の印刷コストは4,560円になり、週の印刷コストは22,800円になります。

年末や年始等の休みを考慮すれば、一ヶ月を4週と考えて月の印刷コストは91,200円になります。年間にすれば、1,094,440円になります。

カルテなどの局内向け

お客さまにお渡しする書面と比較すれば、現在の調剤薬局では電子化・ペーパーレス化が進んでいて、コンスタントに印刷する書類は大幅に減っています。

逆にこの部分で印刷コストが掛かっているなら、業務の見直しと共にペーパーレス化を進める必要があります。

ペーパーレス化が進んでいる調剤薬局では、このジャンルでは局内案内などに限定されていて、月にカラーモノクロ共に20枚程度です。年間にすれば2,640円程度になります。

その他(書類、領収書、掲示物など)

通常の調剤業務以外にも、例えばアンケート用紙や初回登録用紙、局内に貼る掲示板等、印刷が必要な物は多数有ります。

また、調剤薬局も事業者である以上、業務書類や税務書類の印刷が必要で、決算時には領収書のコピー・保管用台帳など多くの印刷物を取り扱います。

時期によって印刷数には波が有りますが、月あたりに均して考えれば、モノクロ200枚程度・カラーで100枚程度は印刷していると考えられます。

モノクロ200枚×1円+カラー100枚×10円=1,200円(月の印刷代)

1,200円×12ヵ月=14,400円(年間の印刷代)

年間に掛かる印刷コストは、14,400円です。

トータルの年間印刷コスト

印刷コストとしては、リース代も掛かります。
月のリース料金15,000円×2台×12ヵ月=360,000円

ここまで計算してきた金額を合計すると

(患者様にお渡しする印刷代)1,094,400円+(局内向け)2,640円+(事務書類等その他の印刷代)14,400円+(年間リース料)360,000円=1,471,440円

年間に掛かる印刷コストの合計は1,471,440円になります。

午前と午後に、それぞれ30名前後の患者様がいらっしゃる調剤薬局では、おおよそ150万円程度の印刷代が掛かっています。

 

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

目次