国(中小企業庁)は、中小企業をサポートする制度や政策を展開しています。
その中の一つに「中小企業経営強化税制」があります。
設備投資をする中小企業に対して、一定の条件を満たして申請することで優遇が受けられます。新しい機器で生産性を上げたくても、かかる費用の問題があって設備導入出来ない中小企業の前向きな姿勢の後押しをする税制です。
コピー機・複合機もその対象になります。具体的に見ていきましょう。
中小企業経営強化税制とは?
中小企業経営強化税制とは、平成29年に始まった中小企業等経営強化法の認定を受けた、経営力向上計画に基づいて新たな設備を収得して、指定された事業に利用する条件で即時償却または収得価格の最大10%税額控除の優遇が受けられます。
2020年12月10日に令和3年度税制改正大綱が公表され、2021年3月31日末までとなっている適用期限が2年間延長され2023年3月31日までになりました。
上記期間内に収得して使用することが定められています。
詳細は中小企業庁のホームページで確認してください。
対象になるコピー機・複合機は新品のみで、中古品は対象外になります。新品でも「生産性向上設備の要件」を満たすことを示す書類(メーカー側から出ます)が提出出来ない物は対象外です。書類については、購入対象の営業マンに相談すれば対象機種を提示してもらえますし、契約に至れば当然提出を要求できます。
最低価額は30万円以上が対象です。この金額は1台あたりで、5万円の機種を6台入れても対象外になります。
生産性向上が大前提になりますが、必ずしも最新型である必要は無く、現在使っている機種も申告内容には不要ですので、生産性向上を杓子定規に考える必要はありません。
併せて経営力向上計画の申請書を提出して承認されれば、優遇適用になります。
申請書は、最寄りの商工会議所・商工会・税理士さん等で支援が受けられます。
適用対象となる企業
適用対象となる企業は、税務申告で青色申告書を提出しているのが必須条件です。
また、対象は中小企業のため規模の制限があります。
資本金・出資金の額が1億円以下の法人、資本金や出資金が存在しない場合では常時雇用者数が1,000人以下の法人・個人事業・協同組合などです。
大規模法人(資本金1億円超過)の子会社等は対象外です。
指定事業に供する設備に限られます。
具体的な指定事業の内容は以下の通りです。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、小売業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、料理店業その他の飲食店業(一定の類型を除き料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、その他これらに類する事業を除きます。)、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、不動産業、物品賃貸業、広告業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、医療、福祉業、社会保険・社会福祉・介護事業、教育、学習支援業、映画業、協同組合(他に分類されないもの)、他に分類されないサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業、その他の事業サービス業)
電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。
こんな企業・オフィスにオススメです
変更を検討中
老朽化した大型複合機コピー機の買い換えを検討していた企業には、渡りに船です。要件に合致した大型複合機コピー機を選択すれば、費用対効果の高い買い換えが出来ます。
ペーパーレス化
ペーパーレス化を検討していた企業は、どこから手を付けて良いのか?解らないケースも多く、大型複合機コピー機を生産性向上の要件に合致したタイプに替えることで、ペーパーレス化を始める第一歩になります。
大型複合機コピー機はFAX機能を有していますが、FAXの受信をその度に紙に出力するのでは無く、PDF化したデータで保存します。必要な物だけ印刷することが出来て、PDFをOCR化したデータで保存しておけば、内容まで後から簡単に検索することが出来ます。
FAXの送信もPDF化したデータなどから、紙に印刷することなく送信が可能になり、何度送信しても紙の劣化が有りません。送信したデータは紙も含めて一括でデータとして管理して保存する事が出来ます。
接続を自由にしたい
オフィスでもタブレットやパソコンを、無線LANで利用する機会が増えました。生産性向上の要件に合致した大型複合機コピー機では、無線LANが内蔵されているタイプが多く、機器の設置場所を選ばずに、無線によるダイレクト接続が可能になります。必要な時に必要な機器から直接プリントする事で、業務効率が大幅に上がります。
扱いやすいものに替えたい
今有る大型複合機コピー機は多機能だけど、使いにくい!という声が多く出ているオフィスでは、生産性向上の要件に合致した大型複合機コピー機が解決する可能性が有ります。
多機能になっても、操作性が大きく向上しています。
液晶画面が大きくなり、物理的なボタン操作ではなく、静電タッチパネルを採用している機種では、スマートフォンやタブレットのように「フリック操作」や、見にくい場合は「ピンチイン・ピンチアウト」する事が出来て、直感的に操作が可能になっています。
操作する初期画面は、使う人一人一人にカスタマイズも可能で、人により異なる使い方を合理的にサポートしていて、外国人も一緒に働いているオフィスでは、表示言語も使う人に合わせてカスタマイズが可能です。
受けられる優遇内容
購入の場合の優遇は、即時償却(耐用年数に応じた減価償却の必要が無く、一括で全額経費として計上出来るので、利益を圧縮し支払い税額を圧縮する節税効果があります)または、拾得金額の10%税額控除のどちらかが選択出来ます。
リースの場合は、全額支払いするわけではないので、選択出来るのは税額控除のみです。
資本金3,000万円以上の企業の税額控除は7%で、それ以下の企業は10%です。
具体的な金額メリットをシミュレーションしてみます。
たとえば、125万円のコピー機・複合機の場合、中小企業の実効税率を34%と仮定します。
- 即時償却の試算
減税概算額は125万円×34%で、425,000円になります。 - 税額控除
資本金3,000万円超1億円以下の場合、税額控除は7%です。
減税概算額は125万円×7%で、87,500円になります。
資本金3,000万円以下の場合、税額控除は10%です。
減税概算額は125万円×10%で、125,000円になります。
中小企業経営強化税制を利用する時の注意
申請を行っても、必ずしも通過しないケースがあり、過大な期待は禁物です。
起業時の申請も積極的にオススメしません。それなりに手間が掛かる申請を行っても、補助金という形では無く、掛かる経費を前倒しで計上出来るのがメリットの場合、出た収益に対して支払う税金を合法的に圧縮出来るという事ですから、利益が出ない場合は基本的に意味がありません。
起業しても5年以内に8割は消えていく現実を考えれば、当初から金額の張る要件に合致した大型複合機コピー機の導入をすることは、少々無理があります。
大型複合機コピー機の導入は、リースで導入する事が大半ですが、起業から間もない期間では、リースの審査が通らない事も多くなります。
収益が出ていない場合や、起業してから間もないならば、中小企業経営強化税制を利用して機器を導入するよりも、レンタルプリンターサービス導入をオススメします。
プリント革命のレンタルプリンターサービスなら、初期費用もカウンター料金も掛からず、メンテナンス費用も掛かりません。リースとは異なり審査も無く、必要が無くなったり負担になったりすれば、返却することも出来る為、負担とリスクを大幅に削減出来ます。
国の指定した条件に当てはまらない場合は、申請することが出来ません。
指定事業が登記謄本に登記されていない場合や、税務署に対して青色申告の申請が出来ていない・通っていない場合には、中小企業経営強化税制の申請をする事は出来ません。