業務用プリンターと家庭用プリンターのスキャナー、FAX、接続方法の違い

オフィスにあるプリンターや大型複合機コピー機の、普段使う機能はプリントアウトとコピーが圧倒的で、それ以外は使わないまま、天寿を全うするケースも実際には多いです。
しかし、どちらも多機能な機種が多く、実は使っていない機能が数多くあります。

以前は大きな差が有った、家庭用のプリンターと業務用プリンターですが、時代のニーズに合わせて、業務用に近い機能を持つ家庭用も増えています。
使う人は頻繁に使っているけれど、使わない人は全然使わない機能を中心に、両者の違いを解説します。

「業務用プリンター」=「販売業者の営業マンを通して導入する大型複合機コピー機」
「家庭用プリンター」=「家電量販店やネット通販で購入出来るプリンター・小中型複合機」

という括りで分けた場合の、業務用プリンターと、家庭用プリンターの違いを解説する第三弾です。

目次

スキャナー

スキャナーの機能は、ペーパーレス化に必須です。
ペーパーレス化を進めているオフィスでは、頻繁に使う事が多いですが、全く使わないオフィスでは使われていない機能です。

スキャナーとは?

紙の書類や写真などを読み取って、デジタル化する事がスキャンで、それをこなす機器・機能をスキャナーと呼びます。

大きなガラス面や、ADF(用紙送り込み機能)が搭載されている複合機のそれは、コピーやFAXをするためだけでなく、スキャンする機能が搭載されています。

デジタル化したデータはjpeg・PDF化の他、OCR(Optical Character Recognition)機能を使って、スキャンした文章をテキスト化することも可能です。
ペーパーレス化に利用する場合は、資料をコピーのデジタルデータだけで残すのではなく、中身の文字が認識されている事で、実際に利用する中で検索を行った場合、検索精度が飛躍的に上がります。

スキャナーの機能は、最近では家庭用の安価なプリンターにも、搭載されているケースが増えています。

業務用プリンターでは、本体価格は連続印刷速度だけの違いになっていて、必要な機能は、殆どがオプションを加えて利用する形態が主流になってきています。
その中で、コピー機能とスキャナー機能は標準搭載されているケースが多く、利用に併せてメモリーを増強する・高性能なOCRの搭載をするなど、自由度があります。

解像度

スキャナーの性能を計る基準の単位として、光学解像度 (optical resolution)があります。
スキャナーの光学系の物理的な読み取り密度を表し、一般的に解像度と呼ばれているのはこの事です。

解像度は読み取り対象の単位距離を表現するのに使われる画素数によって表され、1インチあたりのピクセル(ドット)数を意味するdpi(dots per inch)やppi(pixels per inch)などの単位が用いられます。

dpiについての詳細は、「プリンターの画質と解像度の違いは?dpiって一体なに?」も併せてご覧ください。

必要な解像度

必要な解像度の目安は、文書で200 ~ 300 dpi・写真で300 ~ 600 dpi程度で、業務用・家庭用のどちらも、スキャナーの機能を搭載しているタイプなら、多くがクリアしています。

解像度に関しては、一般的に300dpi以上の印刷物になっても、殆どの人がその違いを認識が出来ず、よほど敏感な人でも上を見て600 dpi程度までです。

数値的だけ見れば、業務用に搭載されているものよりも、遙かに上の数値の解像度の家庭用が存在しています。

業務用にオフィスで利用されるのは、文字がハッキリと認識が出来て、グラフや印刷された画像が鮮明に解る事が求められます。
文字を認識する解像度としても、300dpi程度で充分な値です。
それ以上の解像度があっても、読み取り速度が遅くなるだけで、メリットは殆ど無いという割り切りがあります。

家庭用では、写真印刷に特化した使われ方も多く、他社との単純な数値比較で引けを取る事を避けるためもあって、読み込み速度や実用性には目をつぶって、9,000dpi以上の数値を標榜しているタイプもあります。

これらの超解像度の家庭用は、芸術関連やデザイン系などの仕事用に用いられているケースがあります。

読み込み速度

業務用の大型複合機コピー機と家庭用の複合機で、最も異なるのは読み込み速度です。
処理能力は、ストレートに本来のスペックが反映されます。

業務用では、用途に合わせてオプションのフィーダーを組み合わせる事で速度も変わってきますが、モノクロカラーを問わず、1分間に80枚程度から120枚程度を読み取る事が出来ます。

家庭用では、モノクロで1分間に15枚程度・カラーで10枚程度の読み取り速度になります。

FAX

Super G3というFAX規格は、伝送速度が速くなり、通信料を安く抑える効果が有ります。
以前は業務用のウリでしたが、現在は家庭用複合機でも搭載している機種が多く有ります。

同様に一斉送信出来る件数も、以前では両者に差が有りましたが、現在では殆ど無くなっています。

ペーパーレス化に貢献する、受信したFAXをプリントアウトしないで、データとして閲覧出来る機能も、家庭用複合機にも多く搭載されています。
パソコンから直接FAXを送信したり、受信したりする機能も両者に多く搭載があります。

操作性は業務用の圧勝

大きな液晶タッチパネルが搭載されていて、ボタンも一つ一つが大きく解りやすいため、操作性は業務用の方が圧倒的に優れています。

家庭用はFAXとして利用される事よりも、電話として使われる事の方が多い事もあり、操作性では業務用に全く敵いません。
基本的に家庭用は、FAX機能が搭載された電話機という位置づけになっています。

家庭用FAXは絶滅危惧種?

インターネット・スマートフォンが普及して、一般家庭でのFAXニーズは激減しています。
そのため、家庭用のFAXは発売されている機種も極めて少なく、限られたものになり、多機能化と高額化が進んでいます。

家庭で利用するニーズとは異なり、仕事ではまだまだ一定数以上がFAXをメイン利用している現実があります。
SOHOやスモールオフィスでFAXが業務に必要な場合、事業規模から考えて、家庭用のFAXを探すのはオススメ出来ません。

その場合には、ブラザーから販売されている、レーザー方式の複合機シリーズをオススメします。
家庭用と業務用の中間と言っても良いコンセプトで、高額になっている家庭用FAXよりも安価に導入が出来て、FAX機能だけでなく電話機の機能も持ち合わせたタイプもあります。

テレワーク・在宅ワークで利用するためのFAXを検討する場合も、このシリーズは最適です。

「プリント革命」のレンタルプリンターサービスでも、FAX用途に対応した機種が用意されています。「プリント革命のレンタルプリンターはスキャンもFAXもA3印刷もできる」も、併せてご覧下さい。

システムの発展性は業務用

システムに対して柔軟に対応出来るのは、業務用複合機です。

複合機自体がパソコンとして機能するタイプでは、従来の電話回線での通信だけでなく、インターネット回線を使ったFAX通信も行う事が出来ます。
データを溜める・サーバーに蓄積する・ネットワークのパソコンで自由にデータを使い、必要ならそのまま印刷する等、業務効率向上に貢献します。

単純なFAXとしての機能を大きく超えて、自社システムの中にFAXを取り入れる事が出来ます。
ペーパーレス化で最も手軽に始められるのは、FAXを紙印刷せずに、デジタル化してサーバーに取り込む事です。

用紙サイズと紙容量

物理的な制約も違いとしてあります。
家庭用のA4サイズ対応機種では、B4サイズやA3サイズの用紙はFAX出来ません。

大量に受信する場合は、補充出来る紙の量は、トレーに入る枚数に制約されます。
家庭用は100枚から200枚程度が一般的ですが、業務用は500枚から1,000枚入るタイプが多くなっています。

接続方法

一昔前は、プリンターと言えばUSB・もっと前はRS232-C・IEEE1284等の有線ケーブルで接続する事が一般的でした。

現在の家庭用プリンターは、パソコンだけで無くスマートフォンからも印刷が可能な、無線LAN(Wi-Fi接続)・Bluetoothなど無線接続が充実しています。
一般家庭で、ルーターが無い環境でも接続出来る様に考えられています。

同じ家庭用でもビジネス用のプリンターと、業務用プリンターは、ネットワークの中で共有して使う事が一般的で、ルーターが有る前提の有線LAN接続が主流になっています。

家庭用プリンターは、無線LANに標準対応している機種も多いですが、業務用プリンターではオプション扱いになっているケースが多くなっています。

現代のオフィスに業務用複合機を導入する場合、圧倒的にネットワーク内に組み込む接続をする事が多く、オフィスのどのパソコンや端末からも印刷が可能になっています。

この記事を書いた人

名古屋在住のIT・通信・格安SIMライターです。

プリンターはDOS時代のドットプリンターから使い始めて
初期のインクジェット、モノクロレーザープリンター
カラーレーザープリンターを使ってきて
モノクロ複合機を経てカラーデジタル複合機リースに到達。

業務用テキスタイル熱転写プリンター
業務用テキスタイルインクジェットプリンター見学に
国内・海外工場に何度も足を運ぶマニアで
日夜情報収集に励んでいます。

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