コロナ禍でペーパーレス化が再注目されている理由

2020年の幕開けと共に、中国武漢で発生した新型コロナウイルスに、人類は向かい合うことを強いられました。

正体不明のウィルスを広げないために、多くの手立てが取られました。
国は人との接触を極力避ける事を、国民に対して広く強く呼びかけて、緊急事態宣言の発令に至りました。

人が外出を制限されれば、必然的に経済は停滞します。
極力経済への影響を食い止める方策として、国は以前から提唱していた「働き方改革」で、ICTを積極的に活用した、自宅でも仕事がこなせる「テレワーク」を推奨します。

テレワークは造語で、英語圏の人間に言っても通じません。
離れてのTel+仕事 work を繋げた、和製英語です。
本来厚生労働省が定義していたテレワークの区分は、在宅勤務・モバイル勤務・サテライトオフィス勤務の3つがあり、働く場所によって区別されていました。
コロナ禍で注目されたのは、外出を制限されている以上、当然ですが在宅勤務です。

在宅勤務で仕事を行うのには、適した業種と難しい業種があるのは確かですが、同じ業種の中でも、在宅勤務に移行出来た企業と、事実上行う事が出来ない・非効率すぎて継続が出来ない企業に明暗が分かれます。

そのポイントになるのが、ペーパーレス化です。
その2つには、一見すると大きな関連が無い様にも感じますが、テレワークでの効率的な業務遂行には、ペーパーレス化が必要不可欠です。

コロナ禍前からペーパーレス化は行われてきましたが、その主たる目的はテレワークの実現ではなく、あくまで付随するだけだったことを考えると、扱われ方が大きく変わっています。

コロナ禍で、ペーパーレス化が再注目されている理由について解説します。

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、その名の通り「紙をなくすこと」を意味しています。

しかし、それほど単純な意味合いではありません。
ペーパーレス化は広範囲に渡って多様な意味合いが有り、ポイントを一口に説明するなら、企業や官公庁役所などで、資料や書類等を紙で保存するのではなく、デジタル化する事により、データで保存する事になります。

デジタル化には国も後押ししていて、2021年9月にはデジタル庁が発足しています。

昔のペーパーレス化とは

コロナ禍前のペーパーレス化の主たる目的は、長期的なコスト削減と業務の効率化です。

紙という資源を消費しなければ、廃棄する事も無くなって環境に優しい、という側面もあり、企業イメージの向上という表向きの理由を掲げていても、ペーパーレス化を行う為には短期的な投資が必要であり、働く人の負担も避けて通れない事から、完遂できた企業は多く有りません。

ペーパーレス化の主たる目的

紙を利用しない事で用紙代が節約出来る事も有りますが、ペーパーレス化の一番の目的は業務効率の向上です。

日々の業務の中で今必要な、社内には確かに有るはずの書類や資料を、膨大なファイルの山から探すのは多大な労力と時間を要します。
組織の中には多様な人間が働いていて、几帳面とは程遠い方も多くいらっしゃる事が大半であり、本来綴じられていなければならないファイルを、やっと苦労の末に見つけ出しても存在していないケースもあり、非常に不毛な労力を強いられることになります。

ペーパーレス化で書類や書面のデジタル化を行う事で、時間が経過した後にも、誰でも簡単に検索出来る環境が整います。
曖昧な記憶とカンだけで数日を費やしても見つからない事に比べれば、格段に業務効率がアップする事は明らかです。

保管場所のスペースが必要な大量の資料も、ペーパーレス化する事で不要になり、オフィスの限られたスペースを有効活用に向けたり、家賃を支払っているなら不要になった場所を引き揚げたりする事で、直接的な経費の削減に繋がります。

書類をデジタル化して、保管するサーバーに集約することで、働く場所を選ばない、働き方改革への対応にも、ペーパーレス化は有効な手段ですが、コロナ禍前は、それが主たるで行われてはいません。

それどころか、ペーパーレス化を目指して導入しても、志半ばで撤回する企業が数多くありました。

別項の「ペーパーレス化がうまくいかない理由」「ペーパーレス化に失敗する企業の特徴とは」も、併せてご覧ください。

今日の時代背景

コロナ禍によって、働く環境は劇的に変化しました。

職場でのクラスター発生や、通勤電車での感染拡大を防ぐために、以前から提唱しても広がらなかった働き方改革が、有無を言わせず行わざる得ない環境になり、テレワークが広く浸透しました。

ペーパーレス化を以前から行っていて、社内書類等のデジタル化が進んでいた企業は、テレワークに移行しても大きな問題はなく、通勤時間が不要になる事も併せて、業務効率が向上する事を図らずも実際に体験する事になりました。

多くの気づきがあり、オフィスの都心から移転をする企業や、従業員のスペースが従来通りには必要無くなったことで、フロアを縮小したり、適正なコンパクトサイズに引っ越したりする事で、より稼げる環境を整えつつあります。

ペーパーレス化の法整備

働き方改革で、急速にペーパーレス化が進んでいますが、まだまだ紙で文書を保存している企業は多いのが現実です。

昔からペーパーレス化が叫ばれていた中、実際に普及が進まなかったのはなぜなのでしょうか。その理由の一つとして、きちんとした法整備がされていなかったことが挙げられます。

ここでは、ペーパーレス化に伴う法律として、

  • e-文書法
  • 電子帳簿保存法
  • 改正電子帳簿保存法

以上の3つの法律についてご紹介します。

e-文書法

e-文書法とは、電子文書法ともいわれています。

e-文書法が制定されたことにより、

  • 財務・税務関係の帳票類
  • 取締役会議事録
  • 商法や税法で保管が義務付けられている文書

これらを、紙文書だけではなく電子化された文書ファイルに保存することが可能になりました。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、

  • 帳簿
  • 決算書
  • 請求書
  • その他国税関係の帳簿や書類

これらを、一定の条件を満たすことにより電子化して保存することが可能となる法律です。

改正電子帳簿保存法

電子帳簿保存法が制定されたあと、業務負担を軽減するという目的で2022年1月に「改正電子帳簿保存法」として法律が改正されました。

データ取引(電子取引き)については、取引内容を紙以外にデータにも保存することが義務化されたのです。

今日のペーパーレス化

コロナ禍以前のペーパーレス化と、今日のペーパーレス化では、行う事は変わらなくても、意味合いが大きく変わって来ました。

ペーパーレス化が困難だった理由

以前のペーパーレス化では、業務効率の改善が最大の目標でしたが、実際にペーパーレス化を行う為には、通常の業務を行いながら、書類のデジタル化という業務が新たに加わり、現場からは業務効率が悪くなったとの声が多く出ます。

短期的に見れば、従来の仕事に加えて今までは無かった仕事が増えるため、社内のペーパーレス化の推進を担った人間は、粘り強くその意義を説得する必要が有りました。

今まで紙で業務を行っていた事がデジタル化されることで、「使い辛い」「なぜ紙では駄目なのか?」などの声に対しても、辛抱強く説得を繰り返し、ITリテラシーが備わっていない社員には、使い方を一からレクチャーして輪の中に引き入れる必要がありました。

ペーパーレス化は、関わる人間が全員で行わなくては意味がありません。
一部だけデジタル化しても、後に検索するときに紙も探さなくてはならない環境では、業務効率の改善は望めないからです。

ペーパーレス化の変わる意味合い

ペーパーレス化の推進を妨げるのは、面倒くさい作業が増える割には、メリットの具現化が簡単には出来ない、社員に感じてもらえない事にあります。

コロナ禍によってテレワークの必要性が出ると、ペーパーレス化=書類のデジタル化=何処でも仕事が効率的に出来る という図式が具現化されて、多くの社員がその重要性とメリットを感じられる環境になったと言えます。

これが、コロナ禍でペーパーレス化が再注目されている理由です。

DX化とセキュリティ意識の向上も

昨今よく聞くDX化とは、デジタルトランスフォーメーションの略で、「デジタルによる変化」という意味です。

大きな時代の流れで、あらゆる物のデジタル化が避けられない空気感も、デジタル化が不可欠なペーパーレス化を後押ししています。

情報漏洩のリスクが一般的なニュースでも伝えられ、紙の書類はヒューマンエラーなどによって簡単に情報漏洩に繋がる事が広く知られて、セキュリティのためにもデジタル化が有効である事の浸透も、認識が変わってきたと言えます。

まとめ

コロナ禍という未曾有の中、働き方改革を通じて人々のITリテラシーが高まっています。

印刷が不要な文書をうまくデータベース化する仕組みができれば、コスト削減や業務効率アップにつながります。

多種多様な働き方が認められるようになり、国も法整備を整えはじめて、ますます企業のペーパーレス化が進むでしょう。

それに伴い、しっかりと正しい知識と情報を取り入れていきましょう。